自転車ナビマーク・ナビラインをバイクで走っても良いのか
度々街で目にする、自転車のナビマークやナビライン。道路が渋滞している時などに、走行したいと考えるライダーもいるかもしれませんが、バイクで走行しても良いのでしょうか。
自転車ナビマーク・ナビラインをバイクで走っても良いのか
結論から言うと、自転車ナビマーク、自転車ナビラインをバイクが走ったとしても違法ではありません。東京都荒川区のホームページには、自転車ナビマークと自転車ナビラインの利用に関して「自転車やバイク等も通行可」と記載されています。

「自転車優先」とペイントされている場合は、文字通り自転車が優先となります。そのため、自転車の走行の妨げにならなければバイクも走行して良いです。しかし、お互いの安全のためにも、自転車ナビマークやナビラインをバイクで走行するのは推奨されるべき行為とは言えません。
道路の左端にある自転車ナビマーク、ナビラインは、バイクが走行するには十分な幅があります。クルマと接触するリスクを負いながらすり抜けをするくらいなら、左端にある自転車ナビラインを走り抜けるほうが手っ取り早いと感じるかもしれません。
しかし、そこをバイクが走ってしまうと、今度は自転車とバイクが接触する事故を起こす危険性が高まります。バイクと違い、自転車にはヘルメット装着義務がなく、プロテクターなどを装着している人はごく少数です。バイクと接触事故を起こした時、自転車に乗っている人が大けがをする可能性もあります。
以上の理由から違法性は無いとしても、バイクが自転車ナビマーク、ナビラインを走るのは避けたほうが良いといえるのではないでしょうか。
また、走行に際して明確な交通ルールがある自転車専用通行帯(自転車レーン)をバイクが走行した場合は違反扱いで取り締まりの対象になり、「通行区分違反」で反則金6000円、違反点数が1点科せられます。
自転車ナビマーク・ナビラインの設置目的は?
まず押さえておきたいのは、「自転車ナビマーク」や「自転車ナビライン」が新しく道路にペイントされても、交通ルールは変わらないということ。新しい道路標識も設置されず、道路の通行方法もそのままです。また、新しい罰則も追加されていません。交通ルールの変化や罰則がないのは、その役割がすでに規定されている自転車の通行方法を今よりわかりやすくするためのマークだからです。

自転車ナビマークや自転車ナビラインを道路の左端にペイントすると、自転車が安全に車道を通行でき、クルマの運転手からわかりやすく認知できるようになります。加えて、出会い頭事故の防止にもつながるでしょう。
本来、道路交通法では自転車は「軽車両」とされ、車道の左端を走るのが原則。しかし、多くの自転車が車道ではなく歩道を走行している光景を、目にしたことがある方も多いのではないでしょうか。また、進行方向はクルマと同じであるにもかかわらず、逆走している自転車を見かける機会も少なくはありません。
そこで、道路に自転車の走るスペースと進行方向をペイントし、交通整理を促すのが自転車ナビマーク、ナビラインの目的です。自転車ナビマークと自転車ナビラインは、それぞれ設置される場所が異なるのが大きな特徴です。

「自転車ナビマーク」は車道の左端に設置され、自転車の進行方向を表します。一方の「自転車ナビライン」は交差点内で設置され、色が青色の矢羽マーク。交差点の走るルートを示し、進行方向がバラバラになって錯そう状態になるのを防ぐのが目的です。
実際、警視庁が2017年(平成29年)に行った調査では、自転車ナビマーク、ナビラインを整備した場所の自転車事故の件数は下がりました。
警視庁のホームページでは、自転車ナビマーク、ナビラインの設置前6カ月と設置後6カ月を比較すると、自転車が関係した人身事故は447件から403件に低下。つまり、半年で事故の件数を約1割低下させることができたのです。
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車道の左端にペイントされる自転車ナビマーク、自転車ナビラインは、自転車が車道を安全に走行する際に利用するスペースです。罰則があるわけではないので、バイクで走っても一切違法性はありません。しかし、マナーやお互いの交通安全のために、バイクが自転車ナビマーク、自転車ナビラインを使用するのは控えるべきでしょう。
【了】