オフロードバイクメーカー「BETA」をご存じですか?

イタリアの「BETA」は、上質なオフロードバイクを製造するバイクブランドです。ここでは2022年モデルのインプレッションに先立ち、BETAというメーカーの歴史について紐解いていきます。

100年近い歴史を持つBETA

 BETAというバイクメーカーをご存じですか? BETAと書いてベータと読みますい。ベタではありません。国内へは、富山県にあるベータジャパンからトライアル、そしてエンデューロ、トレッキング用の上質なオフロードモデルが紹介されています。

 今回はそのベータから2ストローク、4ストロークエンジンを搭載したエンデューロモデル、X-Trainerというトレッキングモデルの2022年モデル、一挙、6モデルを紹介したいと思います。しかし、本題のインプレッションに入る前に「そのベータってなんだい?」というところから解説をしていこうと思います。

イタリアのブランド「BETA」が過去に手掛けていたオフロードモデル

 ベータが本拠を構えるのは、イタリア中部、風光明媚な風景が広がることで知られるトスカーナ州です。その州都、フィレンツェの南東に位置するピアンレッティーゾラという町に本社、生産工場があります。ベータの歴史をひもとくと社史は100年近い歴史があり、1950年代から60年代はモータースポーツにも熱心に参加する傍ら、スクーターのようなコミューター生産にも乗り出します。

 マニアの間ではトライアルバイクのベータとしてよく知られています。現在のようにオフロードバイク界で強烈に認知されるようなったのは、ベータが生産するトライアルバイクが、世界選手権で強さを発揮してからと言えるでしょう。

トライアルバイクの世界で地位を確立するイタリアのブランド「BETA」

 時は遡り、1980年代。ベータをはじめヨーロッパの大小様々なメーカーがしのぎを削っていた70年代のモトクロスシーン。しかし80年代になるとモトクロスの世界を日本の4メーカーが席巻し、ヨーロッパメーカーの多くは活動の縮小で行き場を見失います。そのタイミングでベータはトライアルバイクへと技術と生産力をシフト。そちらの世界で頭角を現し、20世紀後半をトライアルブランドとして不動の地位を築くことになります。この時期もスクーターは作っていたのですが。

 しかし、転機が訪れたのは21世紀になってから。ビジネス的な改革を行い輸出市場へも積極的に取り組み始めたベータは、エンデューロバイク、つまりトライアルバイク以外のオフロードバイクの生産を再開します。2005年になるとオーストリアのKTM、日本のスズキと協力関係を築き、KTM製の2ストローク250、4ストロークの450、500㏄エンジンを乗せ、ベータ製の車体のオフロードバイクを送り出すのです。

 その後、バイクのキャラクターの要となるエンジンの自社開発に乗り出したべータ。2010年には4ストロークの400,450、500㏄モデルを、翌2011年には350㏄モデルをリリース。その後、2013年には2ストロークモデルも自社開発。2018年には125㏄、200㏄エンジンを追加し、フルラインナップ化します。

イタリアのブランド「BETA」の2022年モデルと筆者(松井勉)

 そしてベータは自らの方向性に確固たる信念を持っているようで、より乗りやすく強いバイクを造り出すため、ライダーの意見に耳を澄ませ、2015年には4ストロークのラインナップを350、390、430、480㏄と排気量を縮小し、持て余すこと無くアクセルを開けられるベストバランスを求める方向にシフトしています。明らかに職人集団気質なコトが解ります。

 そして今回テストをしたモデルの特徴をお伝えすると、クラッチスプリングにダイヤフラム型のスプリングを採用。これはレバータッチや駆動力伝達性の向上のためで、簡単なセッティング変更でクラッチ圧着力を調整できるのも特徴です。

イタリア「BETA」RR2T 200に搭載された2ストロークエンジン。バランサーシャフトを備え、振動を低減しています

 2ストロークモデルのエンジンが採用するバランサーシャフトも、振動を低減することで、車体の軽量化にも貢献しているのは間違い無くコンペティションで何が求められているのかをしっかり体現しています。

 2ストローク、4ストロークともに採用しているドライ/レインを選択出来るモードスイッチを持ち、特性を場面に合わせてスイッチングすることが可能です。これはECUマップによりエンジンを制御するもので、ストリートバイクが採用するABS、ECU、電子制御燃料噴射装置、点火系制御、トラクションコントロールなどの協調制御よりはるかにシンプルなものなのです。

 2ストロークモデルでは分離給油式を採用することで、混合ガソリンを造る必要がなく、キャブレターを使うのもベータの特徴。これもベータが考える特性を間違い無く引き出せるから、というもの。FIにすることよりもライダー、ショップの負担が少ないという見立てなのでしょう。

左からRR4T125LC/X-Trainer250LD/RR4T350/RR2T 200、250、300

 今回テストをしたエンデューロコンペティション向けモデル、RRシリーズからは、4ストロークのRR4T350、そして2ストロークからは、RR2T 200、250、300の3モデル。そしてストリートエンデューロとも言える、水冷4ストローク125㏄エンジンを搭載したRR4T125LC、そしてX-Trainer250LDというモデルにも試乗しました。最後に着くLDはローダウンの頭文字で、日本専用モデル。サスペンションストロークを縮め、足付き性を向上させてモデルです。2022年モデルは、7月から来年5月まで通常生産されるそうです。しかし、モデルによっては早期に売り切れることもあり、とのこと。年間、2万2000台ほどを生産するベータ。生産工場やロジスティックの現場でコロナ禍の影響が出ている今、どうやら気になるモデルの発注は早めが吉のようです。

【了】

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Writer: 松井勉

モーターサイクル関係の取材、 執筆、プロモーション映像などを中心に活動を行なう。海外のオフロードレースへの参戦や、新型車の試乗による記事、取材リポートを多数経験。バイクの楽しさを 日々伝え続けている。

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