走行レーンのカラー塗装にルールはあるのか?

街中を走行していると、バスが通る茶色の走行レーンや、道路の左端を青色に塗装された通行帯、路肩の緑色の塗装など、鮮やかな色で塗装されたアスファルトを見かけることがあります。これらは、意図的に人目を引くように塗装をした「カラー舗装」と呼ばれるものですが、塗装する際のルールは存在するのでしょうか。

臨機応変に色を変えられるアスファルトのカラー舗装

 街中を走行していると、バスが通る茶色の走行レーンや、道路の左端を青色に塗装された通行帯、路肩の緑色の塗装など、鮮やかな色で塗装されたアスファルトを見かけることがあります。これらは、意図的に人目を引くように塗装をした「カラー舗装」と呼ばれるものですが、塗装する際のルールは存在するのでしょうか。

カラー舗装は、道路標識のように色の規定が細かく決まっていません
カラー舗装は、道路標識のように色の規定が細かく決まっていません

 実はカラー舗装は、道路標識のように色の規定が細かく決まっておらず、地方自治体が臨機応変に変えることが許されています。

 警察庁から通達された「法定外表示等の設置指針ついて」では、バスレーンに関する塗装は茶色、自転車通行空間路面は青色系、通学路における路側帯では原則緑色系という記載がされています。しかし、景観保全と地元の意向などを考慮した場合、他の色を使うことも認められています。

 その一方で、他の道路標示の視認性を妨げないように、白や黄などと同系色は避けることが望ましいとも、されています。 つまり、およその色は決まっているものの、全国で色が統一されているわけではなく、地域によっては、景観を損なわないような色に変更されている場合があるということです。

 実際に、静岡県と京都府では色彩の設定にかなり違いがあり、京都府のほうが街並みに配慮して、より茶色に近い色になっています。そのため、必ずしも「青色のカラー舗装=自転車通行レーン」と思わないように注意が必要です。

 カラー舗装は、レーンだけではなく、ゾーンを定める際に使用されている場所もあります。例えば、住宅街や商店街などの、歩行者の安全な通行確保のため、自治体と警察で区域を決め、最高速度を時速30kmと制限したエリアが該当します。

 その区域に入る場所には標識だけでなく、道路に緑色のカラー舗装をして、その上に白文字で「ゾーン30」という塗装を施します。

 また、国土交通省の道路のデザインに関する検討委員会「景観に配慮した道路附属物等ガイドライン」の中では、カラー舗装の目的は「注意喚起などの情報を視覚的に表現して、通学路や急曲線などの線形変化点の明示といった交通事故防止対策のほか、交差点内の右左折の誘導などで様々な目的で施工されている」と記載されています。

 つまり、運転者や歩行者の注意を集めて、交通事故の抑制や交通ルールの順守につなげるための塗装ということです。逆にいえば、カラー舗装が施される主な場所は、交通事故が発生しやすい場所であり、歩行者と運転者の双方が十分な注意が必要な場所、ということになります。

国土交通省の道路のデザインに関する検討委員会は、カラー舗装の目的は「注意喚起などの情報を視覚的に表現して、通学路や急曲線などの線形変化点の明示といった交通事故防止対策のほか、交差点内の右左折の誘導などで様々な目的で施工されている」と記載されています
国土交通省の道路のデザインに関する検討委員会は、カラー舗装の目的は「注意喚起などの情報を視覚的に表現して、通学路や急曲線などの線形変化点の明示といった交通事故防止対策のほか、交差点内の右左折の誘導などで様々な目的で施工されている」と記載されています

 前述の資料の中には、カラー舗装の色の使い分けについて、説明がされています。それによると、赤色系は「歩道と車道区分や交差点などの注意喚起をする場所」であり、青色系が「自転車通行帯、緑色系がスクールゾーン等など学校に関係する場所」と、警察庁の通達と同様のものとなっています。

 しかし、カラー舗装の色の彩度と明度については、推奨される数値が存在します。内容を抜粋すると「原色を避け、彩度6以下で明度が6程度の色彩とすることが望ましい」とされています。

 理由としては、鮮やかな赤色を使用すると景観に与える影響が大きいことから、彩度を落としたやや黒みがかった赤色が推奨されています。同様に、青色や緑色も鮮やかな原色は避け、中間的な彩度と明度の色が推奨範囲として記載されています。

 実際にカラー舗装を施した結果として、それぞれの地域で情報を公開している自治体もあります。例えば香川県では、交差点を鮮やかな青色でカラー舗装するのを進めており、施工前に比べて、出会い頭の交通事故が平均で約7割減少と公表しています。

 また、兵庫県の中播磨県民センターでは、路肩のカラー舗装の効果を検証しており、カラー舗装を施工した前と後で歩行者とクルマの動きを比較しています。それによると、路肩のそばを走行するクルマの平均速度は、カラー舗装をした後は落ちており、事故件数も減少したと結論を出しています。

カラー舗装にはスリップ防止になるショットブラスト工法で工事が施されている場合があります
カラー舗装にはスリップ防止になるショットブラスト工法で工事が施されている場合があります

 ところで、ライダーとして気になるのは、カラー舗装の色よりも、その上を通行する場合かもしれません。もし道路の白線やマンホールの蓋と同様に、スリップしやすい場所になっているのであれば、非常に神経を使う路面ということになります。

 しかし、一概には言えませんが、カラー舗装には樹脂系すべり止め舗装(以下ニート工法と記載)が多く施工されている場合があります。

 ニート工法とは、舗装路面にバインダ(可とう性エポキシ樹脂、MMA系樹脂)を薄く均一に塗布し、その上に耐摩耗性に優れる硬質骨材(黒色および着色)を散布して路面に固着させる工法です。硬質骨材の固着によって粗面を形成し、タイヤのグリップ力を高め、急ブレーキをかけた時の制動距離を短くし、追突や施設への接触を抑止する効果があります。着色磁器質骨材とカラートップコートを組み合わせることにより、路面を色分け施工することができ、運転者や利用者相互に注意喚起と視線誘導を促して、車線区分、スクールゾーンの明示など交通安全対策として多く施工されている。排水性舗装の区間においては、排水性ニート工法を適用することにより排水機能を保つことができるという特徴があります。(参照:一般社団法人 樹脂舗装技術協会)

 古いマンホールの蓋のように、表面がツルツルにならないよう手が加えられているため、身構えなくても良いかもしれません。しかし前述の通り、カラー舗装がされている場所は、事故が起きやすい場所でもあります。そのため、速度を落として周りに注意を払って通行したほうが良いといえます。

※ ※ ※

 注意を引く色でアスファルトを塗装するカラー舗装は、歩行者と運転者に事故防止と注意喚起を促すためのものです。カラー舗装には、白や黄色など他の道路標識と誤解を招かないような色が望ましいとされていますが、細かく規定があるわけでなく、景観保全と地域の意向により、使用される色が変わることがあります。アスファルトがカラー舗装されている場所を通行する際は、いつにも増して、周りに十分な注意を払いながら運転することが求められます。

【画像】ルールは存在?カラー塗装された道路を見る(5枚)

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