「バイクはクルマよりも燃費が悪い」は、間違い? ~木下隆之の、またがっちゃいましたVol.123~

レーシングドライバーの木下隆之さん(筆者)は、バイクはクルマに比べて燃費が悪いと言います。どういうことなのでしょうか?

「クルマに比べるとバイクの燃費は悪い」は、間違い?

 ふと、僕(筆者:木下隆之)は思った。「バイクって、燃費悪くないですか?」と。マシンによって、あるいは走り方によって数値の高い低いはあるだろうが、排気量が750ccや1000ccの大型バイクになろうものなら、平均的に20km/l前後が燃料消費率だろう。ロッシや平忠彦に憧れて前傾姿勢で峠を攻めようものなら、リッター12から15キロも覚悟しなきゃならない。

燃費性能に優れたホンダの原付バイク「スーパーカブ110」(排気量109cc)
燃費性能に優れたホンダの原付バイク「スーパーカブ110」(排気量109cc)

 そこで「俺はもっと燃費が良いゼ」と言うのならば、「ライディングが上手ですね」と褒めるだろう。逆に「俺はもっと燃費が悪いゼ」との御仁には「さすがですねぇ、ペースが速すぎますよ」と、やはり褒めたかのような言葉を贈るだろう。

 ともあれ、市街地トロトロの節約ライディングで20km/l程度、前のめりライディングで10km/l程度、そのあたりが相場ではないだろうか。

 いや、それにしてもバイクの燃費はクルマと比較してしまうと悪い。それを実感したのは、先日トヨタ・ヤリスを試乗したときのことだ。富士スピードウェイでのマシンテストの帰り道、御殿場から新宿までの燃費を計測したところ、軽々とリッター30キロを超えてしまったのだ。

 確かに、東名高速道路の御殿場から東京までは下り区間が多い。だが首都高が渋滞していたので、用賀インターからは流れの悪い国道246号を移動している。エコランは意識せず、流れを軽くリードするペースで追い越し車線も利用している。

 ヤリスはトヨタ自慢のハイブリッドであり好燃費が身上である。とは言うものの、車両総重量は1.4トンを超える。空力特性に影響する前面投影面積は、全幅1695mm×全高1500mmから想像すると、バイクよりあきらかに不利だろう。

 凹凸が剥き出しのバイクは、空気抵抗係数CD値が悪かろう。だがCD値と前面投影面積の積で解が得られる空気抵抗はトントンじゃないかと文系の僕は想像する。なのにヤリスよりも多くのガソリンを消費する。

 ちなみに、カタログ値で言うならば排気量948ccのカワサキ「Z900RS」の60km/h定地燃費値は28.5km/hとなっている。加速も減速もせず、ただひたすら正確に60km/hで巡航したときの燃費は、実現不可能な最高燃費だと言っていい。

 かたや、ヤリスは東名高速の追い越し車線をグイグイと突き進み、国道246号でイライラしながらの燃費である。これはどうしたものかと首を捻りたくなるのだ。

燃費性能に優れたホンダの原付バイク「スーパーカブ C125」(排気量123cc)
燃費性能に優れたホンダの原付バイク「スーパーカブ C125」(排気量123cc)

 まあしかし、排気量が小さくて燃費もすこぶる良い日本が世界に誇るホンダ「スーパーカブ」という名車もあるし、そもそも「そんなこと気にしてちゃ、バイクは楽しめないからね」と、元も子もないことを言って締めくくることにする。

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Writer: 木下隆之

1960年5月5日生まれ。明治学院大学卒業後、出版社編集部勤務し独立。プロレーシングドライバーとして全日本選手権レースで優勝するなど国内外のトップカテゴリーで活躍。スーパー耐久レースでは5度のチャンピオン獲得。最多勝記録更新中。ニュルブルクリンク24時間レースでも優勝。自動車評論家としても活動。日本カーオブザイヤー選考委員。日本ボートオブザイヤー選考委員。

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