どっちを見るのが正解? 自転車運転時の信号機
道路には車両用と歩行者用、2種類の信号機が存在します。自転車で走行する際は、どちらを見れば良いのでしょうか。
自転車の運転中に見るべき信号機は原則車両用
昨今は、コロナ禍による自転車通勤の増加や、ウーバーイーツなどの普及により、以前より自転車利用者への交通ルール順守が求められるようになっています。
そこで改めて確認しておきたいのが、自転車を運転する際に見るべき信号機。道路には大きく分けて、車両用と歩行者用の2種類の信号機が存在しますが、自転車での走行時はどちらに従えば良いのでしょうか。

そもそも自転車は「軽車両」に分類され、交通ルール上では車道の左側を走行するものとされています。
警視庁のホームページでも、自転車は「クルマのなかま」という表現で掲載されていることがほとんど。つまり自転車での走行時は原則として、車両用の信号機に従って、停止、直進、右左折をする必要があります。しかし、基本は車両用ですが一定の条件下では、歩行者用の信号機を見なくてはならない場合もあります。
車道の信号機に従うケースの一例としては、交差点で信号待ちをしている時に、歩行者用の信号機が先に青になっても、車道の信号機が赤なら前進をしてはいけない、というケースが挙げられます。
道路交通法の第7条(信号機の信号等に従う義務)では、「道路を通行する歩行者又は車両等は、信号機の表示する信号又は警察官等の手信号等(中略)に従わなければならない」と規定されています。
この規定を都合よく解釈してしまい、歩行者用の信号機に従って自転車で交差点に進入すると「信号無視」に該当。3か月以下の懲役又は、5万円以下の罰金が科される可能性があります。

一方で、歩道に設置された信号機の隣に「歩行者・自転車専用」という標識が付いていた場合は、見るべき信号機が変わり、今度は歩行者用の信号機に従わなければなりません。
ちなみに、横断歩道の隣に「自転車横断帯」がある場合に、歩道の信号機が「歩行者・自転車専用」となっている可能性が高いです。
つまり自転車を運転する際は、歩道に設置された歩行者用の信号機に「歩行者・自転車専用」という標識があるかないかを、確認することが重要。もし設置されていれば、歩行者用の信号機を見て交差点を渡り、無ければ車道の車両用信号機に従いましょう。
まだまだある!? 自転車を運転する際の注意点
道路交通法施行令第2条(信号の意味等)には、「人の形の記号を有する青色の灯火」の信号の意味が規定されており、そのふたつ目に「普通自転車(中略)は、横断歩道において直進をし、又は左折することができること」と記載されています。

そのため、厳密に交通ルールに従おうとすると、自転車の運転中は歩道と車道の両方の信号機を一度確認しておかないと、交通ルール違反に該当する可能性が出てきます。また、信号機のなかには、進行方向を矢印で表示するタイプも存在。その場合は、右折の矢印に従うのではなく、直進と左折の矢印に従って進む必要があります。
自転車は原則左側しか走行できず、二段階右折が必須。クルマのように交差点内の右折帯に入って、右折をすることはできません。そのため、自転車で交差点を右折するためには、まずは一度交差点を直進して向きを右に変え、向かい側の信号機が青になるまで待つことになるのです。また、自転車はクルマに比べると検挙されることが少ないため、交通ルールが無視される傾向にありますが、道路交通法上は「クルマの仲間」であるため、運転講習が用意されています。
2015年6月1日から、自転車で危険な行為を3年以内に2回以上繰り返して検挙された場合、「自転車運転者講習」の受講が義務づけられました。

自転車の「危険行為」は全部で15項目設定されており、その内容は信号無視や通行区分違反、交差点安全進行義務違反等、酒酔い運転など、クルマとあまり大きな違いはありません。これらの15項目に該当する行為をおこなって2回以上検挙された場合、6000円を支払って3時間の自転車運転者講習を受講することになります。もし受講命令に従わなかった場合は、5万円の罰金が科されます。
最後に、自転車が「歩行者扱いになる」条件としては、バイクと同様に押し歩きをしている場合が挙げられます。そのため、交差点で歩行者の信号機に従い通行したい際は、自転車に乗らずに押し歩きをする必要があることも、覚えておいて損はありません。
※ ※ ※
自転車は軽車両かつクルマの仲間であるため、原則は車両用の信号機に従って道路を通行します。ただし、歩道の信号機に歩行者・自転車専用という標識がある場合は、歩道の信号を見て通行するのが正解。
また、自転車を押し歩きすると歩行者扱いになるため、歩行者と同じ信号機を見て道路を渡ることができる点もポイントです。自身や周囲の人を守るためにも、自転車に乗る時は交通ルールをきちんと守りましょう。