価格差10万円! ハンターカブとクロスカブ110、どっちを選ぶ!?

コロナ禍で「密」を避けられると人気が高まるバイク。手軽で利便性・経済性に優れると販売好調なのが原付2種(51~125cc)ですが、なかでもクラスを牽引する人気モデルがホンダ『CT125・ハンターカブ』、そして『クロスカブ110』です。両車を原2ユーザーのバイクライター青木タカオさんが乗り比べました。

日常での使い勝手と遊び心の融合

 1957年に初代が誕生したホンダ・スーパーカブシリーズは、使い勝手の良さや信頼性の高さなどからビジネスユースだけでなく、趣味のアイテムとして、また乗る人の個性を演出したり旅の相棒として、幅広いユーザーに愛されているベストセラーモデルです。

『CT125・ハンターカブ』と『クロスカブ110』にモーターサイクルジャーナリスト青木タカオさんが試乗
『CT125・ハンターカブ』と『クロスカブ110』にモーターサイクルジャーナリスト青木タカオさんが試乗

 いま人気の『CT125・ハンターカブ』と『クロスカブ110』はホビーユースにフィーチャーし、アウトドアスタイルを持たせたレジャーモデル。自然にも、街にもしっくりと馴染むスタイリングで、日常での使い勝手と遊び心が見事なまでに融合しているのが、人気の秘訣ではないでしょうか。

「ハンターカブとクロスカブ110、どちらにしようか迷っている」という声を耳にしましたので、比較しつつ乗ってみましょう。

クロスカブ110は約10万円安い

 まず、両車はエンジンの排気量が異なり、価格にも差があることを念頭に置き、比べていかなければなりません。つまり、同じ原2クラスのカブ系ながら、ラインナップにおける立ち位置が違います。ベース車両は『CT125・ハンターカブ』が『スーパーカブC125』、『クロスカブ110』は『スーパーカブ110』です。

■原2クラスの現行カブ系モデル
CT125・ハンターカブ:44万円
スーパーカブC125:44万円
クロスカブ110くまモンバージョン:35万2000円
クロスカブ110:34万1000円
スーパーカブ110プロ:30万2500円
スーパーカブ110:28万500円

細部を専用設計したハンターカブ

 ハイマウント吸気ダクトやアップマフラー、アンダーガードなど見るからにタフな『CT125・ハンターカブ』。さまざまな専用装備を持つだけでなく、車体設計も『スーパーカブC125』から変更を受けています。

ホンダの原付二種レジャーバイク「CT125・ハンターカブ」
ホンダの原付二種レジャーバイク「CT125・ハンターカブ」

 幅409mm×長さ477mmの大型リアキャリアを採用するのにあたって、リアフレームを長く設計。ホイールベースは10mm伸び、1255mmに。様々な趣味の道具を積載できます。

 シート高は+20mmとなる800mm。アップハンドルが備わり、ゆったりとした視線の高いライディングポジションとなっています。

足まわりの違いが走りに大きな差を生む

 クロスカブと大きく違うのは、フロントサスペンション。ハンターカブは通常のモーターサイクルのようにアッパーブラケットを持つテレスコピックフォークなのに対し、クロスカブはアンダーブラケットだけでフロントフォークを保持するユニットステアとなっているのです。

ハンターカブは、クロスカブに比べ路面追従性が高く、車体の安定性で勝ります
ハンターカブは、クロスカブに比べ路面追従性が高く、車体の安定性で勝ります

 実際に走ると、ハンターカブはフロントまわりに落ち着きがあり、路面追従性が高く、車体の安定性で勝ります。

 タイヤサイズは前後とも80/90-17と変わりませんが、ディスクブレーキを前後に備えるハンターカブは制動力やコントロール性でも上回ります。

街乗りで多用する低中速が力強い

 空冷SOHC単気筒エンジンは自動遠心クラッチ式4速ミッションを備え、運転操作がイージー。今さら言うまでもありませんが、セルスターター(キック式併設)も搭載し、始動も一発です。

空冷SOHC単気筒エンジンは自動遠心クラッチ式4速ミッションを備えています
空冷SOHC単気筒エンジンは自動遠心クラッチ式4速ミッションを備えています

 ハンターカブはドリブンスプロケットを『スーパーカブC125』の36Tから39Tにし、荷物積載時の登坂力を向上。低中速域を多用する街乗りでもキビキビ走ることができます。

 クロスカブも負けてはいません。スペック上ではハンターカブに軍配が上がりますが、出力の差はわずかで、実際に走っての体感的には車体重量の差で相殺され、ほぼ同等というレベルでしょう。

■CT125・ハンターカブ
ボア・ストローク:52.4×57.9mm
排気量:124cc
最高出力:8.8PS/7000rpm
最大トルク:1.1kg-m/4500rpm

■クロスカブ110
ボア・ストローク:50.0×55.6mm
排気量:109cc
最高出力:8.0PS/7500rpm
最大トルク:0.87kg-m/5500rpm

軽くて扱いやすいクロスカブ

 クロスカブは『スーパーカブ110』と同様の角断面パイプを用いたバックボーンフレームを採用し、2013年6月に初代が登場。初期型は110cc版のみで、クロスカブ用に減速比を変更し、低回転域での力強さを際立たせています。

ホンダの原付二種「クロスカブ110」と筆者(青木タカオ)
ホンダの原付二種「クロスカブ110」と筆者(青木タカオ)

 スーパーカブ伝統の実用的な車体構成を踏襲し、レッグシールドも備わったままでした。2018年2月にモデルチェンジし、『クロスカブ50』も新たに設定。このとき『クロスカブ110』と2本立てになりました。

 よりアクティブなイメージを高めるためにレッグシールドが廃止され、ヘッドライトガードもより堅牢に。スリット入りのマフラーガードやセミブロックタイヤも新採用されています。

クロスカブのシート高はハンターカブより16mm低い784mm
クロスカブのシート高はハンターカブより16mm低い784mm

 前後サスペンションは、『スーパーカブ110プロ』が採用するストローク量の多いタイプで、最低地上高は『スーパーカブ110』に比べ22mm高い157mm。快適な乗り心地にこだわった座面の広い厚手のシートを採用しつつ、シート高はハンターカブより16mm低い784mmとしています。足つき性に優れ、車体重量も106kgとハンターカブより14kgも軽い。小柄な人や非力な女性にも扱いやすいのが魅力と言えるでしょう。

クロスカブ110は、制動力が足りないと感じることはない
クロスカブ110は、制動力が足りないと感じることはない

 ブレーキは前後とも機械式リーディング・トレーリングで、リアはドラム径を130mmに大径化。走行して、制動力が足りないと感じることはありません。

知るほどに甲乙つけがたくなる

 ヘッドライトは両車ともLED式。ハンターカブはステアリング機構にマウントされ、ハンドルを切ればともに動きますが、無骨でタフな印象を際立たせるヘッドライトガード付きのクロスカブはフレームマウントという違いも見逃せないところです。

クロスカブは、よりスーパーカブにより近く走りも穏やかで気軽に乗ることができます
クロスカブは、よりスーパーカブにより近く走りも穏やかで気軽に乗ることができます

 クロスカブは、よりスーパーカブにより近く走りも穏やか。気軽に乗れるという親しみやすさもあります。

スーパーカブの枠組みを越える運動性能を得たハンターカブは、オフロードでも楽しめる
スーパーカブの枠組みを越える運動性能を得たハンターカブは、オフロードでも楽しめる

 ハンターカブは走りのレベルも高く、スーパーカブの枠組みを越えようという運動性能で余裕を感じます。エンジンを守るパイプガードやアンダーガードも備わり、10万円の価格差も納得というか、装備内容を考えればお買い得と思えてくるではありませんか。より価格の高いハンターカブの方が売れ行き好調なのも頷けます。

 しかし「ハンターカブとクロスカブ110、どちらにしようか迷っている」という答えは、最後まで導き出せません。価格、スタイルの好み、用途、複合的に考え、欲しい人それぞれがご自身で決めていただきたいと思います。

「とはいえ、筆者ならどっち?」と聞かれたのなら、スーパーカブとして手に入れるならクロスカブかもしれません。カブにこだわらず、1台のバイクとして見るならハンターカブ。あれれ、答えになっていませんね。大いに迷う2台、皆さんのご意見も聞いてみたいというのがホンネです。

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Writer: 青木タカオ(モーターサイクルジャーナリスト)

バイク専門誌編集部員を経て、二輪ジャーナリストに転身。自らのモトクロスレース活動や、多くの専門誌への試乗インプレッション寄稿で得た経験をもとにした独自の視点とともに、ビギナーの目線に絶えず立ち返ってわかりやすく解説。休日にバイクを楽しむ等身大のライダーそのものの感覚が幅広く支持され、現在多数のバイク専門誌、一般総合誌、WEBメディアで執筆中。バイク技術関連著書もある。

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