一体なぜ?二輪免許の教習には路上教習が無い理由

免許を取得する際は、さまざまな教習項目を学びます。自動車免許を取得する場合、仮免許を取得した後の第二段階として路上教習がおこなわれますが、二輪免許には路上教習は存在しません。一体なぜなのでしょうか。

なぜ二輪免許には路上教習がないの?

 自動車免許を取得する際は、仮免許を取得した後の第二段階として路上教習がおこなわれますが、二輪免許には路上教習が存在しません。その理由を解説します。

教習所内で二輪教習を受けるイメージ
教習所内で二輪教習を受けるイメージ

 そもそも、路上教習を受講するためには、仮免許を取得しなければなりません。一般的に自動車免許を取得するために教習所に通う場合、学科教習と技能教習からなる第1段階の集大成として、仮運転免許技能検定に合格すると仮免許が交付され、路上教習を含む第2段階に進むことができます。

 一方で普通二輪車の場合は、第1段階と第2段階の間に仮運転免許技能検定がありません。

 第1・2段階の教習をクリアした後、卒業検定を受け、その後公安委員会での学科試験に合格することで、晴れて二輪免許を取得。路上にデビューするという流れとなります。

バイク自体に仮免許という制度が存在しないため、路上教習は実施されません
バイク自体に仮免許という制度が存在しないため、路上教習は実施されません

 つまり、バイク自体に仮免許という制度が存在しないため、路上教習も実施されません。

 仮免許の条件として、道路交通法第87条の2には「仮免許を受けた者は、練習のために自動車を運転しようとするときは、その運転者席の横の乗車装置に、当該自動車を運転することができる第一種免許を受けている者(免許の効力が停止されている者を除く。)で当該免許を受けていた期間(当該免許の効力が停止されていた期間を除く。)が通算して三年以上のもの、当該自動車を運転することができる第二種免許を受けている者(免許の効力が停止されている者を除く。)その他政令で定める者を同乗させ、かつ、その指導の下に、当該自動車を運転しなければならない」と規定されています。

クルマで教習を受けるイメージ
クルマで教習を受けるイメージ

 この規定により、仮免許保持者が路上でクルマを運転する際は、そのクルマを運転できる第1種免許(通算3年以上)所持者または、第2種運転免許保持者、あるいは自動車学校の教習指導員を助手席に乗せた状態でなければならないということになります。

 そうなるとバイクに助手席はないため、もしバイクに仮免許が存在しても公道で運転をする場合は、前述の資格保有者をタンデムシートに乗せた状態で走ることになりますが、教習生はタンデム走行をすることはできません。

 なぜなら、交通法71条の第4、第5、第6項目により、免許取得後1年以上(高速道路は3年以上)が経過してからでなければ、タンデムでの運転はしてはならないと定められているからです。つまり、まだ免許を取得していない教習生はタンデム走行をする資格がありません。

 法律上の問題以外にも、クルマの場合は、助手席に座る教習指導員側にもブレーキがあるほか、助手席側からハンドル操作に介入することも可能など、助手席に座る教官が走行時の安全性を担保することが可能です。しかしバイクの場合は、もしタンデムシート側でもブレーキ操作ができたとしても、ドライバーである教習生がバランスを崩せば転倒に繋がる可能性大。逆に危険性を高める結果に繋がりかねないのです。

教習所内で第1・2段階の教習をクリアした後に卒業検定を受け、その後公安委員会での学科試験に合格することで二輪免許を取得し、路上にデビュー
教習所内で第1・2段階の教習をクリアした後に卒業検定を受け、その後公安委員会での学科試験に合格することで二輪免許を取得し、路上にデビュー

 これらの理由から、クルマであれば助手席側から教習指導員が危険を察知し、しかるべき時は運転をサポートしてくれますが、バイクの場合はそれができません。

 教習生や教習指導員はもちろん、周囲のドライバーや歩行者にとっても、バイクの路上教習は危険度が高い行為となってしまうのです。

※ ※ ※

 二輪免許を取得するために初めて教習所へ通った人は、路上教習が存在しないことに戸惑うかもしれません。しかし、免許取得後に安全に路上デビューをするためにも、教習所でバイクの運転の基本をしっかりと身につけることが重要です。

【画像】バイクで公道デビューするイメージを画像で見る(16枚)

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