自転車以上クルマ未満! ホンダ「PCX」は日常の足に最適な原二スクーター

2010年に初代モデルがデビューして以来、ホンダの原付二種モデルを牽引する人気を誇るロングセラースクーター、「PCX」の2021年モデルに試乗しました。

ホントに原付二種? な安定感

 PCXは、「クラスを超えた質感の高さと先進スタイリング」、「高い動力性能と環境性能の両立」、「スクーターに求められる快適さと使い勝手の良さ」をキーワードに、ワンランク上の次世代125ccスクーターとして2010年に登場したモデルです。

 今回試乗したのは、初代の登場から約10年の時を経て、2021年にフルモデルチェンジされた4代目モデル。

 軽快なハンドリングと日常での取り回しやすさが追求された新設計フレームに、出力向上とさらなる低燃費が実現された、新設計の水冷4ストローク4バルブ124cc単気筒エンジン、「eSP+(イーエスピープラス)」が搭載された1台です。

ホンダ「PCX」と筆者(先川知香)
ホンダ「PCX」と筆者(先川知香)

 そんな現行モデルは合計4回のフルモデルチェンジを経てはいますが、外観は大きく変わらず、安定のPCXという印象。初代モデルの発売当初から、125㏄といわれなくては気付かないレベルの、しっかりとした車格と安定感、そして利便性の高さが魅力となっています。

 とはいっても、個人的な原付二種モデルの魅力といえば、自転車のように気軽に乗れる上に、50㏄以下の原付一種モデルとは違い、2段階右折などの規定がなく、クルマや普通二輪以上のバイクと同様に道路を走行できること。

 一方で、自動車専用道路や一部のアンダーパスなど、走行できない道路もある為、遠出をするための移動手段というよりは、日常の足というイメージです。

 特に、高速道路など乗れないことが明確な自動車専用道路はいいとして、場所によっては走行可能なアンダーパスなど、走り慣れた土地でないと混乱してしまうような不明瞭な道路法規も、私が遠出用として原付二種モデルを使いたくない理由。

自転車より速く、荷物も多く積める「PCX」は、街中での利便性は抜群
自転車より速く、荷物も多く積める「PCX」は、街中での利便性は抜群

 そう考えると、コンセプトどおりワンランク上の次世代125ccスクーターとなっているPCXの大きさや重さは、少し不便に感じます。しかし、走る地域が限定されていれば、原付二種スクーターの利便性は抜群。自転車より速く、荷物も多く積めるなど、その使い勝手はかなりのものです。

 そんな原付二種スクーターのなかでも、PCXを特におススメしたい理由は、その安定した車体の作りや快適な乗り心地。

 たまに、幼稚園への送り迎えや買い物などのために、小さな子どもをバイクの後ろに乗せている光景を見かけますが、そういった用途でも、シート面積が広く安定感の高いPCXは比較的安全性が高く、おススメできるモデルだと思います。 

結局、ホンダ「PCX」の魅力って何?

 足つきは身長165㎝の筆者(先川知香)で、両足の裏がべったりと着くレベル。信号待ちなどで足を着いた際に、不安を感じることはありません。

ホンダ「PCX」の足つき(身長165㎝)
ホンダ「PCX」の足つき(身長165㎝)

 跨ってみた感覚も、125㏄の原二スクーターといわれなければ分からない程の、安定感と座り心地の快適さに驚きを隠せませんでした。

 一方で車体は132㎏と重く、形状もボリュームがあるので、取り回しには少し神経を使います。

ホンダ「PCX」で走行する筆者(先川知香)
ホンダ「PCX」で走行する筆者(先川知香)

 そして迷ったのは、エンジンの始動法。

 スマートキーシステムが採用されているため、鍵をポケットに入れ、ブレーキを握りながらスタートスイッチを押すとかかるはずなのですが、ブレーキの握り方が甘かったのか、中々反応してくれず四苦八苦。何度もやり直してやっとかかるということが度々あり、これは車体の個体差なのかもしれませんが、少し不安を感じる要素でもありました。

好き嫌いが分かれるかもしれないスマートキー機能
好き嫌いが分かれるかもしれないスマートキー機能

 クルマのスマートキー機能は便利だし、付いていないと嫌ですが、バイクは鍵を挿して回したいと思ってしまった筆者。この機能は、好き嫌いが分かれるかもしれません。

 そんな、ハイテクすぎる最新バイクに付いていけずアタフタとしながらも、遂に発進!跨った際の125㏄とは思えない乗り味と同様に、走りも加速感も原付二種とは思えないレベル。

 スムーズな走りにより、クルマに混じって一般公道を走っていても、ストレスを感じることはありませんでした。

ホンダ「PCX」で走行する筆者(先川知香)
ホンダ「PCX」で走行する筆者(先川知香)

 それはコーナリングも同様で、視覚的な車体の大きさからは想像もできない程、小回りが利き、素直に曲がってくれる印象。原付二種モデルの操作性とビックスクーターの持つ安定感が上手く共存していて、いいとこ取りをしたような乗り味です。

 小型スクーターは自転車のような気軽さで乗れる一方でクルマの死角に入りやすく、ボディ剛性もあまり高くないため、車格が大きなPCXは安全に乗れる原付二種スクーターといっても過言ではないでしょう。

フロントの左側には500mlのペットボトルを収納可能なフロントインナーボックスや、電源ソケットなども用意
フロントの左側には500mlのペットボトルを収納可能なフロントインナーボックスや、電源ソケットなども用意

 また、30Lという大容量が確保されたシート下スペースはもちろんのこと、フロントの左側にも500mlのペットボトルを収納可能なフロントインナーボックスや、電源ソケットなども用意されていて使い勝手は抜群と、日常の足には文句無しの1台。

 ちょっとそこまで行きたいけど、クルマを出すほどの距離ではないといった普段使いには、最高のモデル! PCXの価格(消費税込) は、35万7500円です。

【画像】ホンダ「PCX」の走りを楽しむ様子を画像で見る(12枚)

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