原付二種スクーター加速力No.1は? パワーウェイトレシオ歴代10位を発表!

通勤・通学に最適な定番モデルとして人気の原付二種スクーター。軽量な車体にパワーを秘めたその存在は、まさにバイク版「街の遊撃手」です。そこで、交通の流れに合わせての速度調整や、信号待ちからのスタートダッシュに深く関わるパワーウェイトレシオ(重量/出力比)を比較し、加速力に優れた原二スクーター、トップ10を選出しました。

上位陣は現行スポーツバイク並みの加速力!

 通勤・通学に最適な足として、かねてより人気の高かった原付二種スクーター。コロナ禍での移動手段としてバイクが注目されていることもあり、市場での存在感はさらに増しています。さらに、排気量が50cc以下の原付一種とは違い、30km/hの速度制限や二段階右折のわずらわしさから解放され、維持費が比較的安く済む原二スクーターは、現在の日本の交通環境では最適解のひとつかもしれません。

 原付二種スクーターは、交通の流れに乗るために必要にして十分な動力性能を持ちますが、そのポテンシャルがもっとも発揮されるのは、信号待ちからのスタートダッシュなどの加速時でしょう。
 
 そこで今回は、前回ご紹介した歴代の原付二種モデルのパワーウェイトレシオ(重量/出力比)の続編として、スクーターのみのランキングをまとめてみました。

ヤマハ「CZ125 トレーシィ」
ヤマハ「CZ125 トレーシィ」

●第1位:ヤマハ CZ125 トレーシィ(1983)

・パワーウェイトレシオ:5.75kg/ps 

 水冷2ストローク123cc単気筒、最高出力:16ps/7000rpm、最大トルク:1.7kgf-m/6500rpm、乾燥重量:92kg、車両重量:97kg

 1979年頃から1983年頃にかけてのホンダ対ヤマハのいわゆる「HY戦争」末期に投入されたCZ125 トレーシィが、5.75kg/psとダントツの数値を叩き出し、トップに輝きました。

 女性向けのソフトバイクから拡大していったスクーター市場でしたが、徐々に若い男性向けや高級路線などと多様化。

 そんななかで、スポーツマインドを楽しむスクーターとして開発されたCZ125は、YEIS(YAMAHA Energy Induction System)装備の水冷2ストローク123cc単気筒エンジンを搭載。ギア付きスポーツモデルと比べても遜色ない最高出力16ps、最大トルク1.7kgf-mを発生する高回転型のエンジンは、加速だけでなく、省燃費性、静粛性にも優れています。
 
 XJ750Dのカウリング技術とデザインを踏襲したという、いかにも1980年代らしいカクカクとしたSF的なエアロダイナミクスボディも斬新で、フロントカウル内に鎮座するラジエーターが高いスペックを主張していました。

 フロントにスポーツバイクと同様のテレスコピック式フォーク、リアに5段階調整できるサスペンションをダブルで装着。前後ドラムのブレーキが貧弱という声もありましたが、一部では「スクーター版のRZ」とも囁かれた、スパルタンなモデルでした。

●第2位:ヤマハ BW’S 100(1998-2003) 

・パワーウェイトレシオ:7.33kg/ps

 空冷2ストローク101cc単気筒、最高出力:12ps/6500rpm、最大トルク:1.1kgf-m/6000rpm、乾燥重量:88kg、車両重量:96kg

 国内モデルとしては正式にラインナップされませんでしたが、街中でもしばしば見かけた台湾仕様のBW’S 100「4VP」型が、第2位に入りました。

 SA02J型の2代目BW’S 50を元にした車体に、グランドアクシス100用をベースとした空冷2ストローク101cc単気筒エンジンを積み、7.33kg/psをマークしました。

 2灯式ヘッドライトを守るパイプ製ガードやフォークブーツ、ハンドルのナックルガードなど、オフロード風味のユニークなデザインが魅力。

 極太10インチ(フロント:120/90、リア130/90)の前後バルーンタイヤに加え、フロントにディスクブレーキ、ロングストロークの前後サスペンションを採用するなど、イメージのみではなく、実際にダートを走った際の性能も意識されたモデルとなっています。

スズキ「アドレスV125」
スズキ「アドレスV125」

●第3位:スズキ アドレスV125(2005-2007)

・パワーウェイトレシオ:7.46kg/ps

 空冷4ストローク124cc単気筒、最高出力:11.4ps/7,500rpm、最大トルク:1.2kgf-m/6000rpm、乾燥重量:85kg、車両重量:97kg

 アドレスシリーズの1台が第3位。アドレス50およそそのままのボディに、100ccのエンジンを載せたような造りで、1991年に登場して以来、長きにわたって原付二種市場をリードしてきたアドレスV100の後継機種として、2005年に登場しました。

 新設計の空冷4ストローク124cc単気筒は国産125ccクラス初のフューエルインジェクションを採用し、最高出力11.4psを発揮。パワーだけでなく、燃費でもV100を上回りました。

 アドレスV100は、前期のCE11A型が9.0ps、乾燥81kgの9.00kg/ps、後期のBD-CE13A型が9.0ps、乾燥85kgで9.44kg/psと、それぞれスクーターのみのランキングでも10位、16位とイメージほどの順位を得られませんでしたが、このV125が4ストローク最上位の3位に食い込み、市場を開拓してきたアドレスシリーズの意地を見せたといえるでしょう。また、フロントフォークがV100のボトムリンクからテレスコピック式に変更されるなど、走りの面でも大きく進化しています。

●第4位:ヤマハ ジョグスポーツ90(1990-1997)

・パワーウェイトレシオ:7.88kg/ps

 空冷2ストローク82.5cc単気筒、最高出力:8.5ps/7000rpm、最大トルク:0.89kgf-m/6500rpm、乾燥重量:67kg、車両重量:70kg

 ジョグシリーズで初めてメットイン機能を採用した3代目ジョグ50「3KJ/3RY」型をベースにしたジョグスポーツ90が、4位にランクインしました。

 最高出力8.5psを発生するアクシス90と同型の空冷2ストローク単気筒82.5ccエンジンを、乾燥67kgの軽量なボディに積み、フロントにテレスコピック式フォークやディスクブレーキを装備するなど、足まわりも充実していました。

 ふたり乗車も可能なスズキのアドレスV100とは違い、ひとり乗り限定と「走り」に振り切った造りも特徴。

 先代の「2JA/3CP」を元にしたジョグ80も販売されていましたが、こちらは最高出力7.0ps、乾燥64kgの9.14kg/psで、スクーターのみのランキングでは第11位と、惜しくもトップ10入りを逃しました。

●第5位:ヤマハ チャンプ80(1986)

・パワーウェイトレシオ:8.43kg/ps

 空冷2ストローク79c単気筒、最高出力:7.0ps/6500rpm、最大トルク:0.8kgf-m/6000rpm、乾燥重量:59kg、車両重量:62kg

 当時50ccで最速クラスだったチャンプの原付二種モデル、チャンプ80が第5位にランクイン。

 チャンプ50とわずか3kgしか変わらない乾燥59kgの車体に、79ccの空冷2ストローク単気筒エンジンが搭載されたモデルです。

 フロントには95mmの大径ドラムブレーキやセリアーニタイプのテレスコピック式フォーク、リアにはガスショックなど、パワーアップに合わせて足まわりを強化。スピードメーターも、80km/h表示となっていました。

 フロント8インチ、リア10インチのタイヤがシャープなハンドリングを実現し、サイズこそチャンプ50と変わらなかったものの、タイヤの強度は2PRから4PR指定に変更。それに伴い、リアのホイールは3本スポークから4本にスポークにデザインが変更されました。

スズキ「ストリートマジック110」
スズキ「ストリートマジック110」

まだまだハイパワーな原二スクーターが続々登場

●同率6位:スズキ ストリートマジック110(1998-2000)

・パワーウェイトレシオ:8.50kg/ps

 空冷2ストローク113cc単気筒、最高出力:10ps/6500rpm、最大トルク:1.2kgf-m/6000rpm、乾燥重量:85kg、車両重量:91kg

●スズキ アヴェニス125(1999-2000)

 空冷2ストローク124cc単気筒、最高出力:14ps/9500rpm、最大トルク:1.1kgf-m/7500rpm、乾燥重量:119kg、車両重量:135kg

●第7位:ヤマハ アクシス90(1990-1997)

・パワーウェイトレシオ:8.59kg/ps

 空冷2ストローク82.5cc単気筒、最高出力:8.5ps/7000rpm、最大トルク:0.89kgf-m/6,500rpm、乾燥重量:73kg、車両重量:78kg

●第8位:スズキ ヴェクスター125(1994-2004)

・パワーウェイトレシオ:8.75kg/ps

 空冷2ストローク124cc単気筒、最高出力:12ps/7500rpm、最大トルク:1.2kgf-m/6500rpm、乾燥重量:105kg、車両重量:111kg

スズキ「ストリートマジックⅡ110」
スズキ「ストリートマジックⅡ110」

●第9位:スズキ ストリートマジックⅡ110(1998-2000)

・パワーウェイトレシオ:8.80kg/ps

 空冷2ストローク113cc単気筒、最高出力:10ps/6500rpm、最大トルク:1.2kgf-m/6000rpm、乾燥重量:88kg、車両重量:94kg

●同率10位:ヤマハ グランドアクシス100(1998-2007) 

・パワーウェイトレシオ 9.00kg/ps

 空冷2ストローク101cc単気筒、最高出力:10ps/7000rpm、最大トルク:1.1kgf-m/6,000rpm、乾燥重量:90kg、車両重量:95kg

スズキ「アドレスV100」
スズキ「アドレスV100」

●スズキ アドレスV100(CE11A型 1991-2000)

 空冷2ストローク99cc単気筒、最高出力:9.0ps/6000rpm、最大トルク:1.1kgf-m/5000rpm、乾燥重量:81kg、車両重量:86kg 

※ ※ ※

 1位のCZ125 トレーシィは、原二モデルの総合ランキングでもNSR125F、2代目RG125Γのパワーウェイトレシオ5.59kg/psに次ぐ5.75kg/psで、14位と大健闘。NSR80の6.58kg/psをも上回るモデルで、2位以下の車種でも現行のCB125RやGSX-S125に負けていない数値です。
 
 パワーウェイトレシオのみで加速力は決まりませんが、往年のスクーターのダッシュ力に懐かしさを覚える人は決して少なくないのではないでしょうか。

【画像】やっぱりバイクはパワフルじゃなきゃ!ハイパワーな原二スクーターを画像で見る(6枚)

画像ギャラリー

Writer: 井出ナオト

ロードレース専門誌時代にMotoGP、鈴鹿8耐、全日本ロードレース選手権などを精力的に取材。エンターテインメント系フリーペーパーの編集等を経て、現在はフリーランスとして各種媒体に寄稿している。ハンドリングに感銘を受けたヤマハFZ750がバイクの評価基準で、現在はスズキGSX-R1000とベスパLX150を所有する。
Twitter:@naoto_ide

最新記事