一体なぜ? オフロードバイクのタイヤにチューブタイプが多い理由

オフロードバイクは山道や林道など、起伏の多い未舗装路を走行することに特化したモデルです。そんなオフロードバイクの多くには、チューブタイヤが採用されています。一体なぜなのでしょうか。

チューブタイヤの特徴が深く関係

 タイヤは大きく分けて「チューブタイヤ」と「チューブレスタイヤ」の2種類が存在します。

 チューブタイヤは、ホイールとタイヤの間にエアーを入れるチューブが入ったタイヤ。そしてチューブレスタイヤは、チューブは使わずタイヤとホイールの間に直接エアーを入れるタイヤのこと。

フロントにチューブタイヤ、リアにチューブレスタイヤを採用するヤマハ「ツーリングセロー」
フロントにチューブタイヤ、リアにチューブレスタイヤを採用するヤマハ「ツーリングセロー」

 チューブタイヤのホイールは、スポークと呼ばれる細い棒状の金属部品を使用した、スポークホイールを組み合わせる場合がほとんど。スポークホイールは衝撃吸収効果があるだけでなく、複雑な構造の美しさにより、レトロなデザインがマッチします。そのため、チューブタイヤはアメリカンやクラシックスタイルのバイクに採用される傾向があります。

 また、山道や林道など起伏の多い未舗装路を走行するのに特化したオフロードバイクにも多く、チューブタイヤが採用されています。では、なぜオフロードバイクには、チューブタイヤが多く採用されているのでしょうか。

オフロードタイヤはチューブタイヤが主流
オフロードタイヤはチューブタイヤが主流

 結論からいうと、チューブタイヤの性質やメリットが、オフロードバイクのライディングシーンに向いていることが理由。

 チューブレスタイヤは空気圧が下がるとタイヤとホイールを接続している部分の密着性が落ちる性質上、常に一定以上の空気圧をキープした状態にしておく必要があります。それに対して、チューブタイヤはホイールとタイヤの間にチューブが格納されているため、意図的に空気圧を下げて走行することが可能です。

 タイヤの空気圧を下げるとタイヤのテンションが弱くなるため、タイヤと地面との接地面積が増加する仕組みとなっています。

 そしてオフロードのコースは、未舗装かつ激しいアップダウンがあるハードでイレギュラーな条件下で走行することが想定されます。そのため、時には砂利や小石だらけの河原や川のなか、泥や小石、小枝が落ちている山道や林道、ガレ場と呼ばれる大小の岩場など過酷なコースを走ることもあるでしょう。

 そんな時、オフロードバイクは前述したチューブタイヤの特性を利用し、わざと空気圧を下げて地面との接地面積を増やすことで、タイヤのグリップ力を上げ、悪条件下の道でも走行しやすくする必要があるのです。

チューブタイヤが採用されたホンダ「CT125・ハンターカブ」
チューブタイヤが採用されたホンダ「CT125・ハンターカブ」

 また、チューブタイヤと一緒に使用されている、スポークホイールのスポーク部分にも衝撃吸収効果があるため、ライダーにとって快適性の向上や負担の軽減にもつながります。

 実際にチューブタイヤが採用されているバイクとしては、オフロードバイクの人気車種であるホンダ「CRF250」や、ホンダ「CT125・ハンターカブ」などが挙げられます。

チューブタイヤが採用されたホンダ「CT125・ハンターカブ」
チューブタイヤが採用されたホンダ「CT125・ハンターカブ」

 一方で、チューブタイヤはパンクには弱いという側面を持っています。

 一度パンクしてしまうとエアーが急激に漏れてしまい、走り続けることは困難。もしもパンクをしてしまった場合は、まずホイールを脱着し、タイヤのなかのチューブを取り出して、穴が開いてしまった部分を補修する必要があります。この作業は手間がかかるため、ツーリングなど出先でパンクしてしまうと大変かもしれません。

 また、チューブ自体の強度は強いわけではないため、障害物などによる物理的なパンクの他、チューブの劣化によってパンクする場合もあるので注意してください。

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