【自転車の種類】アクロバティックな走りと驚異的なトリックを決める「BMX」 名作SF映画で日本製が大人気に!!
自転車には様々な種類があり、なかには競技に合わせてその形を進化させてきたモデルも存在します。シンプルな構造で常人では真似できないアクロバティックな走りやトリックを繰り広げる「BMX」を紹介します。
驚異的な技を支える、頑丈な自転車
自転車には様々な種類があり、なかには競技に合わせてその形を進化させてきたモデルも存在します。シンプルな構造で常人では真似できないアクロバティックな走りやトリックを繰り広げる「BMX」を紹介します。

オリンピック種目にも採用され、東京2020オリンピックでは国内の若手選手たちの活躍が大きな注目を集めた「BMX」ですが、この名称は「Bicycle Motocross(バイシクル・モトクロス)」の略で、1970年代初頭にモーターサイクルのモトクロス競技に憧れたアメリカ・カリフォルニア州の子どもたちが、自分たちが使っていた20インチのクルーザータイプの自転車で真似したことが始まりだと言われています。もともとは競技名でしたが、次第にそこで使われる自転車もBMXと呼ばれるようになりました。
現在、BMX競技は大きく分けて「レース」と「フリースタイル」の2つの種目に分かれています。「レース」はその原点であるモトクロスの形を色濃く残した競技で、すり鉢状のカーブや連続する大小のコブなど、様々な障害が用意された1周約400mほどのダートコースを、最大8人の選手が一斉に走りタイムを競います。
転倒は当たり前、時には選手たちが衝突することもあるので、ヘルメットやゴーグル、プロテクターの着用が義務付けられるハードなレースで、予測のつかない展開は迫力満点です。
もう一方の「フリースタイル」は、スピードではなくアクロバティックな技を披露し、そのテクニックや独創性を競い合う競技です。そこからさらに、次の5つの種目に分かれます。
「フラットランド」=舗装された平坦な場所で、地面に足をつかないようにバランスを取りながら、スピンやウィリーなど、自転車と踊っているようなトリックを繰り広げる。
「パーク」=スケートボードやインラインスケートなどでも使われる、凹凸した大きなスロープや曲面などで構成された競技専用の施設で行なわれ、主にジャンプ台を利用して空中で繰り出すエアートリックの技術やスタイルを競い合う。
「ストリート」=階段や手すり、縁石、壁などの日常生活で目にする地形や構造物を使い、段差に飛び乗る&飛び降りる、手すりを使って滑り降りるなどのトリックを決める。
「トレイル」=ダートジャンプとも呼ばれ、森や河川敷などの大自然の中に作った大きなジャンプ台が多数あるコースで、連続ジャンプしながら空中でトリックを披露し、駆け抜ける。
「ヴァート」=スノーボードで見るような巨大なハーフパイプの中を何度も往復して勢いをつけ、一気に3~4mの高さまで飛び出して空中でトリックを決める。
5つの種目では、いずれも常人では真似できない驚異的なテクニックを見ることができます。
自転車としてのBMXは、それぞれの種目によってセッティングが異なりますが、基本的には20インチのホイールを採用した小さい車体で、過酷な競技に耐えられるようかなり頑丈に作られています。そして競技に必要のない要素を極限まで排除した、とてもシンプルな構成です。
日常生活で使うにはまるで適さないBMXですが、そのシンプルでスタイリッシュな見た目で人気の高い車種でもあります。もちろん、公道で使用する際は前後ともにブレーキの装備が必要です。
ちなみに、スティーヴン・スピルバーグ監督の名作SF映画『E.T.』(1982年)で、主人公の少年が月を背景に空を飛ぶ自転車は、当時のアメリカの少年たちの憧れの的だった大阪の自転車メーカー「KUWAHARA BIKE WORKS」のBMXです。