一体なぜ? クルマやバイクの電動化が進められている理由とは

電動化が重要なキーワードになっている昨今の乗り物業界。そもそもなぜ、電動化が推進されているのでしょうか。そこには、複雑な事情があるようです。

環境保護や株主対策など、「電動化」を推進する目的はさまざま

 クルマやバイクを含めたモビリティリゾート業界では、「電動化」が近年の重要なキーワードとなっています。具体的には、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンといった内燃機関から、ハイブリッド車やプラグインハイブリッド車、そして電気自動車(EV)を主流とする流れ。

 当然、バイクもこの流れに乗っており、数多くの電動バイクメーカーが登場。大手バイクメーカーも、徐々に電動バイクのラインナップを増やしています。

 では、そもそもなぜ電動化を推進する流れとなっているのでしょうか?

セグウェイの電動スクーター「B110S」
セグウェイの電動スクーター「B110S」

 まず、もっともわかりやすい理由は、電動化を進めることで二酸化炭素の排出量を減らし、地球環境を守るというもの。ガソリンエンジンやディーゼルエンジンは、走行時に必ず二酸化炭素を排出します。これまでも、さまざまな技術改善によって排出量を減らす努力がおこなわれてきましたが、原理上ゼロにすることはできないのです。

 一方で、電動化の最たる存在であるEVや電動バイクでは、走行時に二酸化炭素を排出することはありません。地球環境を守り、サステナブル(持続可能)な社会をつくることは現代に生きる人々の使命であり、これまで二酸化炭素を排出するクルマやバイクを世に送り出してきた自動車メーカーやバイクメーカーが率先して貢献しようとするのは、ある意味当然のことといえるのです。

新生EVバイクメーカーXEAMがラインナップするEVモデルたち
新生EVバイクメーカーXEAMがラインナップするEVモデルたち

 もちろん、ビジネスにおける株主対策という側面も持っています。日本の自動車メーカーやバイクメーカーの多くは、世界トップクラスの大企業。さらに、その多くが株式上場しているため、株価や株主の意向を常に意識して経営をおこなっています。

 そして、現在では、電動化を推進する企業がより評価されやすいという傾向。株式市場では一般的に、将来性のある企業が評価されます。現時点では圧倒的に内燃機関車が多く販売されていますが、その数が将来的に2倍になるとはあまり考えられません。

 一方、EVや電動バイクは、今後数十倍に増える可能性を秘めています。そういった意味では、投資家は電動化を推進している企業に対し、投資をする流れになるのです。

 現在、自動車メーカーのなかでもっとも株価の時価総額が高いのは、世界最大のEVメーカーであるテスラです。

 時価総額とクルマの良し悪しや販売台数は必ずしも比例するものではありませんが、企業価値を高めるという意味で、既存の自動車メーカーやバイクメーカーにとって、電動化は必要不可欠な要素であるといえるのです。

「電動化」は国家存亡の危機にも関わる重大な問題

 電動化は国家政策にも関わっており、特に日本ではその側面が強いという指摘もあります。世界有数の自動車大国である日本では、減少傾向にあるとはいえ、3万近いガソリンスタンドが全国に点在しており、ガソリンを容易に手に入れることができます。

 しかし、産油国でない日本では、ガソリンの原材料となる原油のほぼすべてを海外からの輸入に頼っています。さらに、そのうちの80%以上が中東からの輸入です。そのため、世界情勢によってガソリン価格が大きく変動するだけでなく、もし中東で政情不安などが起こってしまえば、ガソリンそのものが手に入らなくなってしまう可能性も高まります。

ヤマハの電動スクーター「E01」
ヤマハの電動スクーター「E01」

 いうまでもなく、原油の輸入が止まれば、国家としては一大事。そこで、エネルギーの海外依存を減らすために、日本では原子力発電を推進してきたわけですが、2011年の東日本大震災以降、原子力発電所の稼働には多くの困難が伴うようになってしまいました。このように、日本が電動化を進める背景には「エネルギー安全保障」という国家戦略という側面もあるのです。

 そのほかにも、各国の政治的思惑や各メーカーの戦略、ユーザーの嗜好などさまざまな事情が複雑にからみあっているのが実情。

 急速な電動化には多くの人々が警鐘を鳴らしていますが、その一方で電動化を強力に推進しようという勢力も少なくありません。しかし、電動化を目指す目的が共通認識となっていないために、それぞれの意見が平行線をたどっていることも多いようです。

 そのため、センセーショナルな報道や意見にまどわされることなく、各自が冷静な検討を続けていくことが重要です。

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