これって違反!? バイクのヘッドライトのカラー変更

ヘッドライトは、常時点灯が義務付けられるなど、バイクを運転する際に非常に重要なパーツのひとつとなっています。そんなバイクのヘッドライトの色を変更することは、違反にあたるのでしょうか。

バイクのヘッドライトのカラー変更は違反?

 バイクのヘッドライトには、夜間やトンネルなどで視界を明るく照らすだけでなく、昼夜にかかわらず自分の存在を周囲にアピールする役割があります。常時点灯義務により、走行中は常に点灯しているヘッドライト。

 そんなヘッドライトをカスタムして、フロントまわりの見た目を変えたいと考えている人も多いと思いますが、これは違反ではないのでしょうか。

ヘッドライトは保安基準で白色に定められている
ヘッドライトは保安基準で白色に定められている

 ヘッドライトは、ただ明るく光っていれば良いというわけではありません。保安基準によって、明るさや発光色、光軸(照らす方向)などの要件が決められています。そのため、むやみにライトの色を変えたりすると、車検に通らないだけでなく、違反に問われる可能性が出てきます。

 そもそもヘッドライトの色は、道路運送車両法の保安基準によって指定されており、原則として「白色」しか認められていません。また、たとえランプの色が白色でも、色つきのフイルムを貼ったり、カバーを変えたりすることで、ヘッドライトの色が白色以外になると、車検に通らなくなります。

 ヘッドライトが白色になったのは、保安基準の一部が改正された2002年6月のこと。しばらく猶予期間をもたせたのち、2006年1月1日から施行されました。

様々あるバイクのヘッドライト
様々あるバイクのヘッドライト

 それまでの法律では、ヘッドライトの色は「白色」または「淡黄色」となっていましたが、法改正後は「前照灯の灯光色は白色」と定められています。

 ただし、保安基準が新しくなっても、施行前に生産された車両は適用外。つまり、2006年1月1日以降に生産された車両は、黄色いヘッドライトはNGですが、2005年12月31日以前に生産された車両であれば、現在でも継続して黄色のヘッドライトを装着していても問題ありません。ちなみに、フォグランプは年式にかかわらず、白色と淡黄色のどちらでもOKです。

 このように、法改正後の車両はヘッドライトを白色以外に変更すると、車検を通すことができません。また、白色以外のヘッドライトに変更して公道を走行すると、保安基準を満たすことができず、道路運送車両法第99条の2の「不正改造の禁止」が適用される可能性も。

 不正改造とみなされた場合は、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられることになります。くれぐれも、軽い気持ちでヘッドライトの色を変えることのないよう気を付けましょう。

ヘッドライトが白色なら安心!ではない?

 ヘッドライトを白色にしてさえいれば、必ず車検をパスできるかというとそうではありません。なぜなら、道路運送車両法の保安基準には、バイクのヘッドライトに関するさまざまな要件が定められているからです。

 ヘッドライトには、ハイビーム(走行用)とロービーム(すれ違い用)があり、保安基準で明るさや発光色、照射範囲、個数などが厳しく規定されています。

バイクのヘッドライトは保安基準で明るさや発光色、照射範囲、個数などが厳しく規定されている。
バイクのヘッドライトは保安基準で明るさや発光色、照射範囲、個数などが厳しく規定されている。

 まず、バイク用のヘッドライトには、最高光度点で1万5000cd(カンデラ)以上の明るさが必要。cd(カンデラ)は、光源が照らす範囲の光の強さを表す単位で、数値が大きくなるほど明るくなります。

 次に、ヘッドライトの色は「白色」と定められていますが、車検に通すにはケルビン(K)という単位がひとつの目安になっています。ケルビン数は明るさを示すのではなく、「色温度」の単位で数値が低いと黄色味を帯びた色になり、高いと青白い色になることが特徴。車検に通る目安としては、太陽光が5000K程度といわれているので、4000Kから6000Kの範囲であれば問題ないといえるでしょう。

 なお、改正前に生産されたバイクは3000K程度でも車検は通りますが、ヘッドライトの色については、明確な数値の基準はなく、人の目視による判断に委ねられています。そのため、検査員によっては同じ数値でも車検に通らないケースもあり、3000Kから6000Kの範囲が、ひとつの目安と考えておくのが良いでしょう。

バイクのヘッドライトの保安基準で一番厳しいのは光軸
バイクのヘッドライトの保安基準で一番厳しいのは光軸

 そして車検を通すときに一番ハードルが高いのが、ヘッドライトの「光軸」。光軸とは、ヘッドライトが照らす方向のことで、照らす向きは保安基準で決められているので、正しい位置になるよう調整する必要があります。光軸は運転中の振動などが原因で、少しずつズレが生じることがあります。保安基準では、壁から1m離れて照らしたときと、10m離れて照らしてときのもっとも明るい点のズレがどのくらいなのかが測られます。

 車検の基準は、左右のズレが27cm以内、上方向のズレが10cm以内、下方向のズレが地上からヘッドライトまでの距離の1/5以内に収まることが条件です。特に、上下のズレに対しては厳しく設定されていますが、これはヘッドライトのズレによって対向車や前走車を運転する人の目線と同じ高さになる可能性があり、事故を誘発する恐れがあるためです。

 そのほかにも、ヘッドライトの数はハイビームとロービーム共に2個以下で、計4個以下とされています。ちなみに近年の新型車では、LEDヘッドライトの普及が進んでいますが、まだまだハロゲンバルブを使用したバイクも少なくありません。

 そうしたなかで、ハロゲンより明るいLEDや、HIDにカスタムする人も増えてきています。LEDやHIDは、ハロゲンに比べて十分な明るさがあるため、カスタムに関してはまったく問題ありません。ただし、LEDやHIDは青っぽく光るものもあるため、検査員の判断によっては車検に落ちることもあるようです。また、LEDによっては光が拡散しやすいものもあり、光軸に適合しないこともあります。 つまり、LEDやHID自体が問題というわけではなく、保安基準に適合したバルブを選ぶことが重要となります。

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