自転車のブレーキレバーは右が前輪で左が後輪 一体なぜ?
自転車のブレーキは、一部の特殊な車種を除いて、ハンドルの左右に取り付けられたブレーキレバーを握ることで操作します。右が前輪で左が後輪になっている理由について解説します。
日本では右が前輪、左が後輪のブレーキに
自転車のブレーキは、走行中のスピードを抑えたり、車体を安全に停止させるために絶対に必要な部品です。日本国内で公道を走る場合は、前輪と後輪のそれぞれに動きを止めるブレーキが装備されている必要があり、どちらかが欠けていると道路交通法違反になります。

自転車のブレーキは、一部の特殊な車種を除いてハンドルの左右に取り付けられたブレーキレバーを握ることで操作しますが、なぜ右手が前輪で左手が後輪のブレーキになっているのか? その理由は意外と知られていないでしょう。
結論から言うと、日本国内では「右=前、左=後」が一般的であり、日本の国家規格のひとつであるJIS規格でも定められています。
ただ、これは法律などで規制されているわけではなく、逆の「右=後、左=前」でセッティングされていても罰せられることはありません。実際、ロードバイクやクロスバイクのようなスポーツタイプの自転車愛好家の間では、扱いやすさから「右=後、左=前」を好む人もいます。
なぜ日本では「右=前、左=後」が一般的なのか? 根拠のある理由は見当たらず、人によって見解も分かれており、諸説あります。
その根拠を紐解くには、まず前後輪に取り付けられているブレーキの種類について知る必要があります。自転車のブレーキには大きく分けて、車輪の外側の鉄の輪(リム)をブレーキシュー(ゴム)で挟んで動きを止める「リムブレーキ」と、車輪の中心にある回転軸(ハブ)の動きを止める「ハブブレーキ」の2つに分かれます。
「リムブレーキ」は制動力が強く、ブレーキレバーの握り具合で繊細にスピードコントロールができますが、もし操作を誤って咄嗟に強く握り込んでしまった場合、車輪がロックしてしまうリスクがあります。一方の「ハブブレーキ」も、よほどの力で握り込めばロックしてしまいますが、比較的緩やかにスピードを落としてくれます。
スポーツタイプの自転車は前後輪ともに「リムブレーキ」を装備しており、ママチャリ(シティサイクル)の場合は前輪に「リムブレーキ」、後輪に「ハブブレーキ」を装備しているのが一般的です。

ここまでを念頭において、日本は左側通行で、自転車は車道の左側を走行するので「右=前、左=後」が一般的であるという説があります。
自転車は車道を走行する際、(なかなか実行している人は少ないと思いますが)左右のどちらかに曲がる時や停止する時に、クルマのウインカーのようにハンドサイン(手信号)を出す義務があります。その際、車道の左側を走っているので、クルマからよく見えるように右手でハンドサインを出すことになります。
つまり、一時的に片手運転となり、急制動の可能性がある前輪(リムブレーキ)に手を残していると危険なので、比較的急ブレーキを起こしにくい後輪(ハブブレーキ)を左手側に取り付けている、というワケです。
ただ、スポーツタイプの自転車は前後輪ともに「リムブレーキ」を装備しているのでこの理由に当てはまりません……。モヤモヤが残りますが、国内で最も普及しているママチャリに合わせたと言われれば、ある程度納得はできます。
なお、右側通行の国では自転車のブレーキは日本とは逆の「右=後、左=前」でセッティングされており、日本で使う場合はワイヤーの取り回しが少々複雑になります。その点から考えても、この通説にはある程度の根拠があるように思えます。
ちなみに、原則として片手運転が禁止されている自転車で、ハンドサインを出すことは合法なのか? といった議論もありますが……また別の機会に解説したいと思います。