一体何が違う? 最近主流のTFT液晶ディスプレイと普通のディスプレイ

技術の進歩が目覚ましい昨今、クルマやバイクにも新たな技術が続々と採用されています。TFT液晶ディスプレイもそのうちのひとつではありますが、普通のディスプレイとどういった点が異なるのでしょうか。

続々と採用されているTFTディスプレイってなに?

 バイクの電子制御の進化によって、従来の小型液晶メーターでは電子制御の複雑な表示や設定をおこなうことが難しく、モノクロ全面液晶が主流となりました。

 そして現在は、さらに進化したTFT液晶ディスプレイが普及し始めていますが、普通のディスプレイとどういった点が異なるのでしょうか。

最近の主流となっているTFTディスプレイ
最近の主流となっているTFTディスプレイ

 TFT液晶(Thin Film Transistor Liquid Crystal)は、薄膜トランジスタを使ったアクティブマトリックス方式の液晶ディスプレイです。従来のLCD液晶は決められた表示しかできませんでしたが、TFT液晶ディスプレイではスマートフォンのように異なる表示が可能となっています。

 また、複雑な機能を持たせることが可能ということもあり、2010年代ごろから欧州メーカーのスーパースポーツモデルで積極的に採用され始め、国産車でも普及が進んでいます。

 そんなTFT液晶のメーター画面は、手元のスイッチやボタンで切り替えがおこなえることがほとんど。そして、現在どのモードで走行しているのか、パワーの出力やエンジンブレーキの利き具合、サスペンションの調整や平均燃費、シフトインジケーターやトラクションコントロールのON/OFF、クイックシフターのON/OFFなど、表示できる情報はさまざまです。

 TFT液晶ディスプレイを搭載しているバイクの例としては、ホンダ「CBR1000RR-R」が挙げられます。

5インチのフルカラーTFT液晶画面が搭載されるホンダ「CBR1000RR-R」
5インチのフルカラーTFT液晶画面が搭載されるホンダ「CBR1000RR-R」

 CBR1000RR-Rのメーターには、5インチのフルカラーTFT液晶画面が採用されていて、背景色が昼間はホワイト、夜間はブラックに自動で切り替わるほか、好みの背景色に切り替えることも可能。

 また、ディスプレイの表示パターンも変更でき、左下から右上横方向に伸びるようにタコメーターを表示する「デジタル」と、針式のタコメーターを表示する「アナログ」、真横に伸びるタコメーターを表示する「バー」に加え、スピードとギアポジションを優先的に大きく表示し、タコメーターが表示されない「ノーレブ」、タコメーターとセンサーで車体の傾きを表示する「プラクティス」の5つが用意されています。

 このように、TFT液晶ディスプレイなら、メーターのカラーやデザインを自分好みに変更することができるというわけです。

自由度の高いTFT液晶ディスプレイのさらなる機能とは?

 同じくTFT液晶ディスプレイを採用するBMW「R1250RT」は、10.25インチの巨大なTFT液晶ディスプレイが搭載されています。

 同モデルでは、この大きな画面を活かし、ディスプレイの左半分にはスピードメーターとタコメーター、右半分にはナビ画面を表示するといった、分割して様々な機能を同時に表示することが可能となっています。

ホンダ「ゴールドウィング」などアップルカープレイに対応したTFT液晶ディスプレイも登場
ホンダ「ゴールドウィング」などアップルカープレイに対応したTFT液晶ディスプレイも登場

 例えば、バイクの走行モードをノーマルからスポーツに変えたとすると、従来のディスプレイであれば現在のモードが表示されている文字が変わるだけでした。

 しかしTFT液晶ディスプレイであれば、ノーマルモードではタコメーターは小さく、スピードメーターが小さく表示される配置となっていたものが、スポーツモードでは逆に大きなタコメーターと小さなスピードメーターの表示に切り替わるというようなことが可能となります。

 また、最近のTFT液晶ディスプレイ採用モデルでは、スマートフォンとの接続が可能なモデルが増えてきています。ハンドルのスイッチで音楽プレイヤーを操作したり、メーターに電話やメールの通知を表示したりすることが可能なほか、逆にバイクの走行ログや車体情報をスマホで確認することも可能なモデルが続々登場。

 例えば、カワサキのバイク連動用アプリ「RIDEOLOGY APP」では、バイクの最大バンク角やスロットル開度、エンジン回転数などの細かいログを記録することができます。

 さらに一部の上位モデルでは、TFT液晶ディスプレイにタッチパネルが導入されはじめており、ハンドルスイッチよりもさらにダイレクトな操作が可能。

 また、ホンダ「CRF1100L アフリカツイン」やホンダ「ゴールドウィング」は、クルマと同じように、アップルカープレイに対応しており、メーターパネルで接続したスマホのアプリを操作できるようになりました。

【画像】TFT液晶ディスプレイが採用されたバイクたちを画像で見る(9枚)

画像ギャラリー

最新記事