無意識にあおり運転をしちゃう人急増中!? バイク運転時の適切な車間距離とは
クルマであれバイクであれ、走行時は前方を走る車両との適切な距離を保つことが重要です。では、バイクを運転している際の適切な車間距離とは、一体どれくらいなのでしょうか。
なぜ、車間距離を開けなければいけないの?
バイクに限らず、どんな車両を運転していても、前方車両との適切な車間距離を保つことは、非常に重要です。では、なぜ車間距離を保たなければならないかというと、その理由は3つあります。

まずひとつ目の理由は、適切な車間距離を取らないと危険なためです。
前方車両との車間距離を詰め過ぎると、前方の交通状況が見えにくくなります。そのため、急な交通状況の変化により前方車両が急ブレーキをかけた場合、ブレーキが間に合わず前方の車両に追突してしまう可能性が高まります。
特に、生身で走るライダーは事故の際、怪我のリスクが高いので適切な車間距離を取り、事故を未然に防ぐことが重要です。
ふたつ目の理由は、前方車両との車間距離を詰め過ぎると、ライダーはそのつもりがなくても、前方車両のドライバーから不快に感じられてしまうという懸念。
人によって不快に感じる車間距離には差があります。そのため、最悪の場合はドライブレコーダーの証拠映像を添えて、煽り運転として通報されてしまう可能性もあるでしょう。加えて、それが実際に適切な車間距離でないと判断されると、法令違反として罰則を受けなければなりません。
そして3つ目の理由は、適切な車間距離を取ることが法令で規定されているからです。
道路交通法第二十六条には、「車両等は、同一の進路を進行している他の車両等の直後を進行するときは、その直前の車両等が急に停止したときにおいてもこれに追突するのを避けることができるため必要な距離を、これから保たなければならない」と規定されています。また、適切な車間距離を取らなかった場合、同法第百十七条の罰則規定により、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金が科せられます。
このように車間距離に注意して走行することは、安全にバイクやクルマを走らせるために非常に重要です。
バイク運転時の車間距離はどれぐらい開ければいい?
適切な車間距離とは一体どれくらいの距離なのでしょうか。

実は適切な車間距離については、法令にも具体的に明記されていません。
警視庁のホームページには、「具体的に何メートルの車間距離を保つ必要があるのかについては、道路の構造及び状況、天候、速度等のほか、各種技術の性能により、個々具体的に判断すべきものであると考えられる」また、道路交通法第二十六条には、「その直前の車両等が急に停止したときにおいてもこれに追突するのを避けることができるため必要な距離」と規定されています。
したがって、適切な車間距離とは危険を発見しブレーキが効き始めるまでの空走距離と、ブレーキをかけてからバイクが停止できる制動距離を合わせた、停止可能距離以上の距離が必要ということです。
ちなみに、ホンダのホームページに掲載されているバイクの停止可能距離の目安は、50km/h走行時で約32m。その内訳は空走距離が14m、制動距離が18mとなっています。そのため、100km/h走行時であれば空走距離28m、制動距離84mで、停止可能距離は約112m必要になるというわけです。
また、車種やタイヤによっても制動距離は変わります。特にオフロードバイクのブロックタイヤは、舗装道路ではかえって接地面が少なくなり、オンロードタイヤより制動距離が伸びるので注意してください。

とはいえ、具体的に適切な車間距離が何mと決められていても、前方を走る車両の大きさや周囲の風景などから目の錯覚が生まれるため、なかなか適切な距離を目測で把握することは難しいでしょう。
そこで、目測距離ではなく時間で適切な車間距離を測ることがオススメ。その方法として埼玉県の「ゆとり車間距離0102運動」が挙げられます。具体的な方法は、埼玉県警察音楽隊オリジナルソング「ゆとり車間距離0102運動音頭」にも歌われており、前方車両が電柱などの目標物に差し掛かったら2秒以上数え、適切な車間距離を取るというものです。
バイクの場合、クルマより制動距離が伸びるので、3秒以上空けたほうが良いでしょう。