MotoGPの広いパドックは、まるで電動バイクの走る展示会!?

MotoGPのパドックでは、選手や関係者は移動に電動バイクを使っている姿を見かけます。2022年シーズン最終戦のバレンシアGPのパドックで、どんな電動バイクが走っているのかに注目しました。

パドックを走る電動バイクたち@MotoGP第20戦バレンシアGP

 MotoGPが開催されるサーキットのパドックでは、移動にスクーターや電動スクーター、電動キックボード、自転車などが使われています。パドックは広いので、ピットからホスピタリティ、モーターホームなどへ移動するために、それらはライダーや関係者には大事な移動手段なのです。また、スクーターや電動スクーターは、カメラマンなどの移動でも使われています。

ドゥカティ・レノボ・チームのパドックバイクはVmoto「CPx」。Vmotoは2022年、2023年、MotoGPのドゥカティ・レノボ・チーム、SBKのAruba.it レーシング-ドゥカティの電動スクーター公式サプライヤー
ドゥカティ・レノボ・チームのパドックバイクはVmoto「CPx」。Vmotoは2022年、2023年、MotoGPのドゥカティ・レノボ・チーム、SBKのAruba.it レーシング-ドゥカティの電動スクーター公式サプライヤー

 移動するときにはライダーがハンドルを握ることもあれば、ライダーがタンデムシートに座ることもあります。

 MotoGPライダーがスクーターを使い、パドックでたくさんの人の間をスルスルとかわしながら走る様を見ていると、「MotoGPライダーは何に乗っても速いし上手いんだなあ」と、当たり前のことをあらためて思う筆者(伊藤英里)なのでした。

 じつは、2022年サンマリノGPで3年ぶりにMotoGPのパドックを訪れ、筆者が印象的だったのは、パドックを走る電動バイクの数でした。2019年よりも電動バイクの割合が増えていたのです。その印象はバレンシアGPでも変わりませんでした。

 正確な数字を確認することはできないので、あくまでも印象という曖昧なものになりますが、以前よりも増えていることは間違いないと思います。

 そしてパドックを歩いていて感じたのは、電動バイクの静かさです。筆者はこれまでに、公道で電動バイクに乗った経験を通して「静かであることはメリットだけれど、周囲に気付かれにくいというデメリットもある」と感じてきました。これと同じことを、MotoGPのパドックで、歩行者の立場で感じたのです。

モンスターエナジー・ヤマハMotoGPが使用するのはヤマハ「E01」。トレーラーから充電を行なっていた
モンスターエナジー・ヤマハMotoGPが使用するのはヤマハ「E01」。トレーラーから充電を行なっていた

 パドックは多くの人が行き交い、賑わっていますから、すぐ後ろにバイクが迫っていても気付きにくいのですが、電動スクーターの場合はとくにそうでした。

 筆者も背後から電動スクーターが来ていることに気付かず、電動スクーターが急に(と、歩行者側は感じるのです)すぐ横をビュン、と通り過ぎてびっくりすることが何度もありました。電動バイクには、ホーンとは別に、必要に応じて常時音が出る仕組みも必要なのではと、ここでも感じた次第です。

 少しネガティブな話になってしまいましたが、パドックでは、そのくらい多くの電動バイクが走っていました。ブランドも様々で、パドックを走る、または停められている電動バイクを眺めていると、まるでパドックが電動バイクの「走る展示会」のようです。

 ガソリン不要、充電すれば走る。長距離を走るわけではないので、航続距離の心配もありません。電動バイクは、パドックのような「ちょっとした移動」に適しているモビリティとして、定着しつつあるのかもしれません。

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Writer: 伊藤英里

モータースポーツジャーナリスト、ライター。主に二輪関連記事やレース記事を雑誌やウエブ媒体に寄稿している。小柄・ビギナーライダーに寄り添った二輪インプレッション記事を手掛けるほか、MotoGP、電動バイクレースMotoE取材に足を運ぶ。

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