燃料タンクやエアクリーナーボックスを装着し、エンジンも無事始動! 車体周りに着手します……が、その前にオイル交換を済ませましょう。
エンジンオイルは真っ黒だ!
エンジン真下にあるドレンボルトを抜くと、オイルが出てきます。
エンジンオイル交換_古いオイルを抜く
真っ黒で、最後にいつ交換したのか……不安になる色ですね。
エンジンオイル交換_変形したドレンワッシャー
ドレンボルトについているドレンワッシャーはオイル交換ごとに新品に替えましょう。使いまわしていると、写真のように変形して、取れなくなってしまいます。
エンジンオイル交換_新品オイルの注入
ドレンボルトを締めたら、オイルを注入。
規定量は0.6Lですが、まずは0.5Lを入れて、軽く暖気運転。
エンジンオイル交換_オイル量のチェック
その後オイルゲージでオイル量を測ります。規定値内でしたので追加の注入はなし!
これはよくあること。いきなり規定量のオイルを入れるのではなく、必ず少し少なめを入れてから暖気運転をして、実際のオイル量を確認しましょう。
エンジンオイル交換_暖気運転
再度暖気運転をして、エンジン内にオイルを潤滑させれば、オイル交換は終了です。
フロントフォークはダストシールをチェック!!
いよいよ車体周りに着手します。
ジャッキアップ
まずはフロントフォークのチェック。ジャッキアップでフロントホイールを浮かせます。
Fフォークのオイル交換_ダストカバーを外す
いきなりバラすのではなく、まずはダストカバーを外して、オイルシールのチェックをおこないます。
その状況を見て、全バラのOH(オーバーホール)か、オイル交換のみかを判断するのです。
Fフォークのオイル交換_オイル漏れのチェック
オイル漏れ等はなく、きれいな状態! 今回は、オイル交換だけをおこないます。
Fフォークのオイル交換_フロントホイールを外す
フロントホイールを外すため、アクスルシャフトを抜きます。
腐食が激しいアクスルシャフト
グリスが完全に切れて、腐食も激しいですね……。
しかし、まだメンテナンスすれば再使用可能な状態。後ほど、しっかりメンテします。
“フルレストア”や“フルカスタム”であれば新品に交換するところですが、今回の趣旨はあくまで中古車として仕上げるための“プチレストア”。「使える純正パーツはなるべく再利用するつもり」とナインゲート店主・細井さん。
表面に焼けが見られるブレーキシュー
ホイールを外すと、ドラムシューが露出。残量はまだありますが、表面が焼けてしまっているので、今回は交換します。
ただし作業は次回。タイヤ交換の際におこないます。
ホイールベアリングのチェック
ホイールベアリングをチェックします。指でベアリングを回して、引っ掛かりやゴリゴリした感触がなければOK。
今回はスムーズに回り、問題はなさそうでした。
Fフォークのオイル交換_トップボルトを外す
フロントフォークを抜くために、まずトップボルトを外します。
Fフォークのオイル交換_アンダーブラケットのボルトを緩める
続いて、アンダーブラケットのボルトを緩めます。「抜く」のではなく、「緩める」のがポイントです。
Fフォークのオイル交換_フォークを抜く途中で一旦止める
フロントフォークを抜く途中でアンダーブラケットを再度締めて、フロントフォークを固定します。
Fフォークのオイル交換_トップキャップを外す
これがアンダーブラケットのボルトを抜かなかった理由。フロントフォークのトップキャップは固く締められていますが、フロントフォークは棒状で固定しづらい。そこでアンダーブラケットで固定することで、トップキャップを抜きやすくするのです。
Fフォークのオイル交換_トップキャップを外す
ところが今回は固着が激しく、抜けません……。仕方がないので万力で固定して、インパクトドライバーで外しました。
Fフォークのオイル交換_フォークスプリングを抜く
スプリングを抜く際に上下を確認しておきましょう。ただし、中古車の場合、そもそも間違っている可能性があります。
やはり、サービスマニュアルは必須です。
Fフォークのオイル交換_フォークオイルを抜く
フロントフォークを逆さにし、インナーチューブをストロークしてオイルを抜きます。相当古いようで、腐敗臭がしました。
ある程度オイルが出たら、パーツクリーナーを入れて、中のオイルやスラッジなどを出し切ります。
Fフォークのオイル交換_逆さにして、しばらく放置
フロントフォークをひっくり返し、しばらく放置。中に溜まっているオイルやパーツクリーナーを出します。
ステムベアリングでハンドリングが変わる!
フロントフォークを放置している間に、ステムベアリングをチェックします。ハンドルを左右に振った感じでは問題なさそうですが、実際に確認してみましょう。
ステムベアリングのメンテナンス_ステムナットを緩める
まずはステムナットを緩めます。
ステムベアリングのメンテナンス_ハンドルを宙吊り
効率よく作業を進めるために、ナインゲートではハンドルを宙吊りにします。
ステムベアリングのメンテナンス_ハンドルを宙吊り
天井の梁にタイダウンベルトを引っ掛けます。
青空メンテでは難しいですが、ガレージなどでは真似できそうですね!
ステムベアリングのメンテナンス_ベアリングのチェック
ステムを外し、ベアリングをチェック。
グリスは完全に切れていますが打刻痕はありません。これなら洗浄して、再組付けでOKでしょう!
ステムベアリングのメンテナンス_ベアリングのチェック
下側のベアリングも同様で、グリスは切れていますが、打刻痕はありませんでした。
ステムベアリングのメンテナンス_グリスを塗布
パーツクリーナーで汚れをしっかり落とした後、グリスを塗布。あとではみ出したグリスは拭き取ればいいので、ここは多めで問題ありません。
ステムベアリングのメンテナンス_グリスを塗布
車体側も忘れずに!
また、上側のベアリング各部にも同様にグリスを塗布します。
ステムベアリングのメンテナンス_ステムナットの汚れ落とし
ステムナットの汚れは真鍮ブラシで落とします。
ステムベアリングのメンテナンス_トップナットを磨く
トップナットもくすんでいたので、コンパウンドで磨きました。
ステムベアリングのメンテナンス_ステムを締める
最後にステムを元に戻せば終了。今回は新品ではなく、すでに座ついているベアリングを再使用するので、キュッと締まればOK。
ちなみにステムの締め具合は、ハンドルをロックした状態から、指1本で反対側のロックまで動かせるかどうかが目安。締めすぎるのも、緩すぎるのもNGですよ。
パーツを長持ちさせるために手間をかけましょう!
ステムベアリングのメンテナンスが終わると、フロントフォークの古いオイルやパーツクリーナーはすっかり抜けた状態。最後の仕上げにとりかかります。
Fフォークのオイル交換_オイルシールの保護
まず、オイルシールを長持ちさせるために、インナーチューブとアウターチューブの間に「フロントフォーク組み付け用グリス」を塗ります。
今回オイルシールは交換しませんが、こうした配慮をするだけで、パーツの寿命は大きく変わります。
Fフォークのオイル交換_フォークオイルの注入
フォークオイルを注入。泡だてないように、ゆっくり入れるのがポイントです。
オーナーがいればオイルの量は好みに合わせて調整しますが、今回はオーナー未定の中古車のため、マニュアル通りの55ccとしました。
Fフォークのオイル交換_フォークオイルを循環させる
インナーチューブをストロークして、オイルを循環させるとともにエア抜きをおこないます。
Fフォークのオイル交換_スプリングを入れる
スプリングを入れて、トップキャップを締めます。
Fフォークのオイル交換_インナーチューブを磨く
インナーチューブに点サビが見られたので、ナイロンたわしで表面の引っ掛かりがなくなるまでこすります。仕上げは細かめのコンパウンドで。
今回、摺動箇所は錆びていませんでした。しかし、もし錆びていたとしても、手入れをするとサイズ(φ)が変わってしまい、オイル漏れの原因となるので手入れはNG。摺動箇所が錆びていた場合は、基本的には要交換です。
Fフォークのオイル交換_アンダーブラケットの腐食を取る
アンダーブラケットのサビは、真鍮ブラシで落とします。その後、防錆とルク管理の均一化のため、グリスを塗っておきましょう。
Fフォークのオイル交換_フロントフォークを装着
フロントフォークを装着! きれいになったインナーフォークのおかげで、バイクの見栄えがさらに良くなりました!
アクスルシャフトの腐食を取る
アクスルシャフトはナイロンたわしで磨き、腐食を落とします。ひっかかりがなくなったら、グリスを塗ります。
フロントホイールの装着
フロントフェンダーとホイールを装着して、今回は完了! フロントフォークとステムの動きが見違えるように良くなりました!!
次回はリアの足周りをリフレッシュします。乞うご期待!!
カスタムバイク専門誌の編集長を経て、現在はヤマハSR400/500に特化したWEBマガジン「The SR Times」を運営する。自身も現在93年式と14年式の2台のSRを持つフリークだが、基本的にはバイクは何でも好き。