不動のホンダ「ダックス50」をプチレストア! チェーン装着&前後タイヤの交換【vol.6】
古いチェーンを外し、リヤブレーキをメンテナンス。さらに、せっかくなのでスイングアーム周りもリフレッシュしたのが前回まで。今回はその続き……チェーンの装着とリヤタイヤの交換、さらにフロントタイヤ交換もおこないます!
“合わせホイール”は、古い4ミニにはお馴染み!!
リヤタイヤを交換するために、まずは空気を抜きます。
ムシ外しを使ってバルブ内の「ムシ」を外せば、空気はどんどん抜けていきます。
ダックス50は、最近ではすっかり見なくなった『合わせホイール』を採用。これはその名の通り、ホイールの左右を真ん中で合わせることで成立するホイールで、ダックス50をはじめ、モンキー50、シャリィなどに採用されていました。
このホイールのメリットは、タイヤの脱着が比較的簡単にできること。リム内側のリブについているボルト・ナットを外すだけでホイールが割れ、簡単にタイヤを外すことができるのです。
まずはハブに接続されている4つのナットを外します。
前回も書きましたが、ボルトとナット、どちらにも工具をかけられる場合は、ナットに負荷をかけるようにしましょう。
ハブが外れました。残り4つのナットを外します。
ホイールが割れて、タイヤを外すことができました……というより、この場合はタイヤからホイールを外したという方が正しい表現のような(笑)。
ちなみにタイヤの側面には製造年月が4桁の数字で記されています。ダックスに装着されていたタイヤは「2902」……これは「02年の29週目に生産された」という意味。つまり、20年以上も前に生産されたということ!
これだけ古ければ、もし溝が残っていたとしても即交換! 油分が抜け切ってカチンコチンで、「路面にグリップすることは決してない」と言い切ってよいでしょう。
今回用意したのはスタンダードな街乗り用として人気の『DUNLOP D307』。
ダックス50にはブロックタイヤも似合いますが、今回はリーズナブルで安全にアスファルトを走れるようにオンロードタイヤをチョイスしました。
ホイール内側の腐食はパンクなど、トラブルの元。スチールブラシで表面をキレイにします。
チューブは劣化・硬化が見られずキレイな状態だったので、再使用します。
ホイールに噛み込まないよう、シリコンスプレーを塗って滑りを良くします。
タイヤの中にチューブを入れます。この時、バルブの位置をタイヤ側面のイエローマークに合わせましょう。
続いて、左右のホイールのうち、バルブ用の穴がある方をセットします。
もう片方のホイールを合わせる前に、チューブを挟み込んでいないかを再度チェック。チューブが出ているようなら、しっかり奥に入れましょう。
また、チューブが捩れていないかもチェックします。
まずは4つのボルト・ナットを留めて、ホイールを組み立てます。規定トルク値は28N・m。
この状態でエアを注入。空気圧はちょっと高めの200kPa。この時、パンっという音がしたら、ビードが上がった証拠です。
チューブからの空気漏れなどもチェックします。
最後に空気圧を適正値(175kPa)に調整。ちなみにフロントは125kPa。
ハブを装着して、タイヤ交換は完了。規定トルク値は28N・mです。
チェーン装着……クリップの向きに要注意!!
リアホイールを装着する際、アクスルシャフトのナットは、はじめは手締め。
チェーンの張り具合を確定してから本締めです。
フロントスプロケットは純正が出たので、新品に交換します。
スプロケットを装着したら、続いてチェンジペダルを装着。ギアをニュートラルに入れましょう。
チェーンを装着。今回は『D.I.D 420D S&S』をチョイス。シルバーのニッケルメッキが主張しすぎず、抜群の防錆効果を発揮する逸品。
装着方法は、まずリアスプロケットにチェーンを噛ませて、前方に引っ張っていき、フロントスプロケットにも噛ませます。
クリップジョイント式は、クリップの向きに注意。進行方向に対して反対側に向けて取り付けましょう。
理由は、チェーンが回っている時(走行時)に何かが引っかかったりした場合、クリップが進行方向に対して開いていると、外れてしまう可能性があるから。
チェーンが外れると大変危険です! 取り付ける方向は厳守してください。
チェーンの張りを調整し、位置が決まったらアクスルシャフトを本締めします。
リアブレーキの遊びを調整。ブレーキロッド後端のアジャストナットを回して、適切な遊び量で固定します。
分解前は変な針金がぶっ刺さっただけだった“割りピン”ですが、もちろんキチンとした新品を装着します!
これでリア周りのメンテナンスはすべて完了! タイヤとチェーンは新品で、スイングアームの動きも良くなりました! ブレーキの効きも復活です!!
フロントタイヤとブレーキシューの交換
続いて、フロントタイヤの交換です。
フロントにはメーターケーブルがあるくらいで、基本的には作業手順はリアと同じ。
ブレーキシューをチェックします。表面は灼けて、残量もあまりないので交換します。
その前にブレーキダストなどの汚れを落とします。何度も言いますが、メンテナンスの基本は洗浄・清掃ですよ!
リア同様にブレーキグリスなどを塗ったあと、新品のブレーキシューを装着。
メーターギアの受け部に、リチウムグリスを少し多めに塗っておきます。
メーターギアをホイールにセットする際は、ツメを合わせます。
あとは逆手順でホイールを組んでいくだけ。ブレーキの調整も忘れずに!
だいぶ端折りましたが(笑)、フロントタイヤとブレーキシューも完了です!
足周りがキマると、バイクがパリッとする!
フロントフォーク、チェーン、前後タイヤに前後ブレーキと……足周りのメンテナンスはこれで終了!
「オシャレは足元から」なんて言いますが、バイクも足周りがキレイになると印象が大きくアップしますね。
さて、プチレストア計画も大詰め……次回はスロットルワイヤー交換とシート補修、さらに錆びたメッキパーツを磨き込んで……いよいよ完成です!
Writer: 佐賀山敏行
カスタムバイク専門誌の編集長を経て、現在はヤマハSR400/500に特化したWEBマガジン「The SR Times」を運営する。自身も現在93年式と14年式の2台のSRを持つフリークだが、基本的にはバイクは何でも好き。