バイクの走りに影響大!? スプロケの役割を徹底解説
エンジンの力を後輪に伝えるのはチェーン、そしてスプロケット、通称スプロケです。スプロケは駆動力を伝える歯車としてだけでなく、走りの味つけを簡単に変更できる部品として、その形を変えることなくバイクに採用され続ける重要なパーツです。一体どのような役割を持っているのでしょうか。
スプロケットの役割とは?
エンジンの力を後輪に伝える重要なパーツであるチェーンとスプロケット。特にスプロケット、通称スプロケは駆動力を伝える歯車としてだけでなく、走りの味つけを簡単に変更できる部品として、形状を変えることなくバイクに採用され続けている重要な存在です。
そんなスプロケは、どのようなパーツなのでしょうか。解説します。

バイクは前輪と後輪の間に積んだエンジンとトランスミッションから動力を取り出し、それを後輪に伝えることで走ります。動力を後輪に伝える方法はシャフトドライブもありますが、今も昔もチェーンが主流。
一見するとシャフトドライブのほうが効率や耐久性がよさそうですが、チェーンはコストが安くメンテナンス性に優れるだけでなく、ホイールベースを自由に調整できるメリットもあることが主流たる所以。そして、チェーンを使用するのに欠かせないのがスプロケです。
エンジンと後輪にそれぞれ付いていて、前者はフロントスプロケやドライブスプロケ、後者はリアスプロケットやドリブンスプロケットと呼ばれています。簡単に言ってしまうと自転車と同じ構造や形状なのですが、自転車と違うのはフロントが小さくリアが大きいという点。前後で大きさを変える理由としては、エンジンの回転をミッションからさらに落としてやるためで、これを二次減速と呼びます。
スプロケにメンテナンスは必要?
スプロケは常にチェーンが当たっていて高速で回転しているなど、かなり過酷な環境で使用されています。
チェーンの張りを適切にしていれば、チェーンはストレスなくスプロケの歯に当たるので、すぐに摩耗することはありませんが、それでも徐々に歯の先端が摩耗していくため、横から見て歯が鋭く尖っているようなら交換するようにしましょう。

また、チェーンからのオイルなどによって汚れやすいので、定期的にクリーニングすることも大切。チェーンをきれいにするついでに一緒におこなえば問題ありませんが、フロントはカバーが付いていて内部も汚れていることが多いので、外してきれいにすることがおススメです。
なお、これはカスタムにも関係することですが、ホイールを社外品にした際などは、前後のスプロケが直線になるようにしないとチェーンなどに負担がかかり、走行時のストレスになるだけでなく、切れやすくなるなど危険なので注意しましょう。
スプロケの選び方とは?
スプロケを交換するのは、消耗した時だけではありません。乗り味を変えたい時にもスプロケ交換は効果があります。スプロケは歯の数だけでなく、ブランドや素材などによってさまざまな種類が用意されています。
精度に関係するブランドや素材は好みで選べば問題ありませんが、重要なのは歯数。
歯数は36Tなどと表されており、TはTeeth(歯)の頭文字に由来しますが、日本語の丁が使われていることもあります。これは字の形が似ているからなど理由は定かではありませんが、T字路と丁字路は同じ意味。
この歯数を変えることができるのですが、イメージとしては変速機付きの自転車で変速することと同じ。つまり歯の数を変えると、ペダルが軽くなったり重くなったりするのを思い浮かべてもらえればわかりやすいと思います。

バイクの場合は自転車の変速機のように複数のスプロケが付いているわけではないので、歯数を選んで交換する流れ。歯数を増減すると得られる効果は以下のようになります。
●フロントスプロケ
増やす=最高速が伸びる、加速が悪くなる、巡航時の回転数を下げられる、燃費が良くなる
減らす=最高速が伸びない、加速がよくなる、巡航時の回転数が高くなる、燃費が悪くなる
●リアスプロケ
増やす=最高速が伸びない、加速がよくなる、巡航時の回転数が高くなる、燃費が悪くなる
減らす=最高速が伸びる、加速が悪くなる、巡航時の回転数を下げられる、燃費がよくなる
このように、前後のスプロケでは効果が逆になります。
バイクメーカーはエンジン出力や使い方などを考慮に入れて最適なT数を設定していますが、不満がある場合、たとえば出足や加速を良くしたい場合は、フロントスプロケの歯数を減らすか、リアスプロケの歯数を増やせばいいということ。
前後どちらを交換してもいいのですが、フロントの1Tはリアの3Tに相当するので、大きく変えたい時はフロントを交換すれば費用も抑えられる事も。一方で、取り付けスペースに限りがあるので、あまり大きくできないという問題も発生します。
そのため、フロントで大まかに合わせて、リアで細かく調整するというように覚えておくと良いでしょう。