原付一種と二種どっちもダメ? 原付通行禁止標識の「原付」が示す意味とは
街中を走行していると、たびたび「原付通行禁止」を表す標識が設置されているのを目にします。 一口に原付と言っても一種と二種が存在しますが、どちらも通行することはできないのでしょうか。
原付通行禁止の標識は原付二種もダメ?
バイクを運転していると、二輪車の通行を禁止する標識を見かけることがあると思います。なかでも、よく目にするのが「原付」の通行を規制する標識。しかし原付には、排気量が50cc以下の原付一種と、51㏄から125cc以下の原付二種が存在します。
原付二種に乗るライダーのなかには、運転中に原付通行禁止の標識に出くわして、引き返したことがある人もいるでしょう。
一方で、原付通行禁止の道路を原付二種バイクが走っているのを見かけたという人も居ると思います。果たして、どちらの行動が正しいのでしょうか。

原付通行禁止の標識について、警視庁交通相談コーナーの担当者は、次のように話します。 「原付通行禁止の標識に関しては、原付一種のみ走行NGで、原付二種は気にせず通行して構いません。ただ、二輪車走行そのものがNGな道路もあるため、補助標識含め、きちんと確認するようにしてください」
つまり、原付通行禁止の標識は、50㏄以下のバイクのみに適用される道路標識という事です。
具体的には、バイクのイラストに赤の斜線が引いてある「二輪の自動車・原動機付自転車通行止め」の標識。これは、バイク全般の通行を禁止する標識ですが、その下の補助標識に「原付」と書かれていれば、50㏄以下のバイクのみ通行禁止となります。
街中で見かける二輪車通行禁止の標識には、「原付」などの補助標識がついていることがほとんどで、主に規制されているのはアンダーパスや高架橋など。道路の幅が狭く高低差がある場所です。
特に原付一種はエンジンの出力が低いうえに、制限速度が30km/hであることから、交通の流れを妨げたり、事故を誘発するおそれがあります。そのため、原付一種だけ通行が禁止されている場所が多くなっているようです。
紛らわしい原付1種と2種という名前の理由
ではなぜ、51㏄から125cc以下の原付二種も「原付」という言葉が含まれているにも関わらず、原付二種は原付通行禁止の標識に該当しないのでしょうか。

バイクに関する法律は、主に「道路交通法」と「道路車両運送法」の2つに分かれています。そして、それぞれの法律で、排気量や呼び方の区分に違いがあり、このことが道路標識をややこしくしている要因となっているのです。
そこで、道路交通法と道路車両運送法の原付に関する区分を見ていきましょう。道路交通法は、道路の交通ルールに関する法律で、教習所の学科で教わる内容は主にこちらです。
車両の区分は、排気量別で50㏄以下が原付、51ccから400cc以下が普通二輪、400ccを超えるバイクが大型二輪の3区分。
一方、免許の種類は、原付と大型二輪は同じですが、普通二輪がさらに2つに区分され、51ccから125cc以下が小型限定、126㏄から400㏄以下が普通二輪の4つの区分となっています。

そして道路車両運送法は、車両の保安基準や登録、車検などに関する法律。自動車税や重量税などの税金や自賠責保険などは、この区分によって異なります。
そんな道路車両運送法では、排気量125cc以下の二輪車を「原付」と、ひとくくりに定められているのがポイント。さらに、排気量50cc以下を第一種原動機付自転車(原付一種)、51ccから125cc以下を第二種原動機付自転車(原付二種)としています。つまり、原付は道路交通法では50cc以下の二輪車が該当し、道路車両運送法では125cc以下の二輪車が該当するという訳です。
なお、道路の交通ルールは、道路交通法に基づいて決められています。したがって、道路標識もこれに準じているので、「原付」と書かれた標識は、排気量50cc以下のバイクのみが該当することになります。

そのほかにも原付の通行が禁止されているのが高速自動車国道および自動車専用道路、いわゆる高速道路です。法律で125cc以下の原付二種も通行が禁止されており、規制の標識がなくても通行することはできません。
一方で、バイパスも原付の通行を禁止している場所が多数ありますが、標識で規制されていなければ走ることが可能。ただし、バイパスはスピードを出すクルマが多いので、原付で走るには速度差が危険です。そのため、原付でバイパスを走る場合は、いつもよりも慎重に運転するようにしましょう。
また、原付だけでなく2輪車の通行を規制している道路も少なくありません。日本二輪車安全普及協会によると、全国に約500か所もバイクの通行規制が敷かれた区間が存在するそうです。
規制の対象もさまざまで、原付を除く125㏄以下、250㏄以下などのほか、二輪全般を規制している区間もあり、道路標識の下にある補助標識で表示されています。
これらの道路が規制される理由には、2輪車が走行するには危険な道路であったり、一部のライダーによる無謀な運転や騒音問題など、さまざまなケースがあるようです。また、これらの規制には、終日や土日祝日、22時から翌5時までなど、時間で細かく指定されている場所も多いので、誤って入らないよう十分注意してください。
ちなみに、標識を見落としてうっかり進入してしまうと「通行禁止違反」が適用され、違反点数2点と、反則金が二輪車で6000円(原付5000円)が科せられます。