バイクは第1通行帯だけを走れ!? 沖縄県の独自規制が3月30日0時から新たに一部解除 3年連続で実施
沖縄県公安委員会は、自動二輪車を含めたバイクは第1通行帯だけを走ることを定めた車両通行区分の規制の一部を解除することを決めました。同県警は3月30日0時から約13.5kmの規制解除を実施。県内に残る規制区間は約36kmまで短縮しました。
40年ぶりの規制解除から、3年連続の見直し
沖縄県公安委員会は、自動二輪車を含めたバイクは第1通行帯だけを走ることを定めた車両通行区分の規制の一部を解除することを決めました。同県警は3月30日0時から約13.5kmの規制解除を実施し、これで県内に残る規制区間は約36kmまで短縮しました。

2023年3月の規制解除は、2区間(約13.5km)です。
・約7.5km=国道330号の起点「コザ交差点」(沖縄市)~「普天間交差点」(宜野湾市)
・約6km=国道329号「兼城交差点」(南風原町/はえばる)~同507号「上間交差点」(那覇市)~同330号「古波蔵交差点」(那覇市)~同330号終点「旭橋交差点」(那覇市)
沖縄県の「二輪車の車両通行帯(車両通行区分)の交通規制」は1982年に定められました。
バイク業界などの長年の要望で、2021年に約40年ぶりに一部区間の規制が解除されました。その後、2023年まで3年連続で規制解除が実施されています。規制区間の推移は以下の通りです。
・約82km(~2020年)
・約71km(2021年~)
・約49km(2022年~)
・約36km(2023年~)
沖縄県交通規制課は、次のように説明します。
「規制解除は、中央分離帯があり、交通事故の減少している区間を対象にしました。また、交通状況の変化や、二輪車運転者のマナーの向上などで規制に一定の成果が見られたことを考慮しました」
沖縄ルールは「右左折が怖い」
車線が複数ある車道では、進行方向左側から第1通行帯、第2通行帯、第3通行帯と呼びます。沖縄県の車両通行帯(車両通行区分)の交通規制は、バイクは排気量に関係なく第1通行帯を走ることを定めた、他の地方には無い独自の交通ルールです。

道路交通法でも、原付や自転車は左端、自動車(四輪車や自動二輪車)は左側を走らなければなりませんが、この場合のライダーは混合交通の中では通行帯を選択することが重要です。
例えば、交差点を直進しようとする場合、第1通行帯が左折専用であることが予想されるので、通常であれば交差点に差し掛かる前にあらかじめ第2通行帯に変更して直進します。しかし、沖縄規制のルールでは、通過する交差点の第1通行帯が直進と左折が可能でないことを確認できるまで、うかつに第2通行帯に車線変更すると、違反になってしまうかもしれません。

右折しようとする場合も「あらかじめその前から、できる限り道路の中央によって」と県警ウェブサイトでは解説していますが、あらかじめ第2車線に変更して走り続けることは許されません。他の交通を妨げないところまで第1通行帯を走り、左から右へ車線を変更して右折体制を整える必要があります。
交通量の多い主要幹線道路で、125ccクラスの小型コミューターでも素早く適切な判断をする運転技量が求められるのです。
問題は、この影響がライダーだけに留まらないことです。
バイク免許を持たない県内の運転者や、沖縄にやってくる他県の運転者は、この規制に対する関心が高くありません。バイクがそんな動きをすることを知らない運転者もいます。利用するライダーの1人は「第1通行帯だけしか走れないことは、(四輪車と)同じ道路利用者として疑問。安心して走ることができるように早く規制を撤廃してい欲しい」と訴えます。

規制解除を訴えてきた沖縄県オートバイ事業協同組合も、次のように話します。
「規制当初は一定の効果があったが、今はできるだけ早い全廃を望んでいます。主要国道の中でもメーンの区間は据え置かれているため、この春にもさらなる要請を行ないたい」
沖縄県の2022年中の交通事故死者数は32人で、そのうち二輪車乗車中の死者数は11人でした。10年間の二輪車乗車中死者数推移(二輪/全体)では、最大24人/44人(2017年)、最少5人/22人(2020年)の幅の中で減少傾向を続けています。
設定された規制は、なかなか見直しが進みません。実状にあわせたスクラップ&ビルドのルール化が必要です。
Writer: 中島みなみ
1963年生まれ。愛知県出身。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者を経て独立。行政からみた規制や交通問題を中心に執筆。著書に『実録 衝撃DVD!交通事故の瞬間―生死をわける“一瞬”』など。