警察に聞いた!走行することも多い高速道路の追い越し車線…どれくらい走り続けていいのか?
ツーリングシーズンは、高速道路を走る機会が増えるというライダーも多いでしょう。これにともなって、高速道路の追い越し車線を走行する機会も多くなります。では、追い越し車線はどれくらい走り続けると違反になってしまうのでしょうか。
追い越し車線はどれくらい走り続けると違反になるのか
ツーリングシーズンは、高速道路を走る機会が増えるというライダーもいるでしょう。これにともない、追い越し車線を走行する場合もあります。ただ、追い越し車線をずっと走行していると違反に該当する、ということを理解してはいても、実際どのくらいの距離や時間、走行したら違反になるのか、わからない人は多いでしょう。

そもそも、高速道路の一番右端の車線である「追い越し車線」は、原則として前を走る車両を追い越す場合にのみ走行が認められています。当たり前のことではありますが、追い抜かないにもかかわらず意味もなくずっと追い越し車線を走り続けていたら、車両通行帯違反になります。
車両通行帯違反に該当すると、違反点数1点に加えて、6000円の反則金が課せられてしまいます。ちなみに反則金を支払わなかった場合は、道路交通法第120条によって5万円以下の罰金に処されることになります。

では、追い越し車線はどれくらい走り続けると違反になってしまうのでしょうか。警察庁交通相談コーナーの担当者は、以下のように話します。
「正直な話、何メートル・何秒走行したら通行帯違反になるのかは、道路交通法では記載されていません。なので、こちらから明確に「何メートル・何秒走行したから違反に該当する」とはいえないのが実情です」
担当者が話すように、追い越し車線をどれくらい走り続けると違反にあたるか、明確な基準は定められていません。追い越し車線については、道路交通法第20条3項で次のように規定されています。
・車両は、車両通行帯の設けられた道路においては、道路の左側端から数えて一番目の車両通行帯を通行しなければならない(以下略)
・車両は、車両通行帯の設けられた道路において、道路標識等により前項に規定する通行の区分と異なる通行の区分が指定されているときは、当該通行の区分に従い、当該車両通行帯を通行しなければならない
・車両は、追越しをするとき、第二十五条第一項若しくは第二項、第三十四条第一項から第五項まで若しくは第三十五条の二の規定により道路の左側端、中央若しくは右側端に寄るとき、第三十五条第一項の規定に従い通行するとき、第二十六条の二第三項の規定によりその通行している車両通行帯をそのまま通行するとき、第四十条第二項の規定により一時進路を譲るとき、又は道路の状況その他の事情によりやむを得ないときは、前二項の規定によらないことができる。この場合において、追越しをするときは、その通行している車両通行帯の直近の右側の車両通行帯を通行しなければならない
つまり、追い越しが終わったら、すみやかに左側の走行車線に戻らなくてはいけませんが、何メートル、何秒追い越し車線を走行したから違反になるとは明記されていないというわけです。

また、前述の担当者は、次のようにも話します。
「例えば、高速道路を60km/hで走行していたとします。その車両を追い越すためには、それ以上の速度を出さなければなりません。例えばその車両を追い越すために70km/hほど出した場合、脇を通過するのに350mかかってしまいます。追い越しできないほど、追い越し車線を走行する距離も時間も伸びていくわけですから、それが例えば1分近く走行していたとなると、相当な距離になるはずです」
高速道路では一般道路よりも早いスピードで走行するため、自分でも気づかないうちに長い距離・時間、追い越し車線を走行してしまう可能性があります。ついうっかり違反に該当してしまった…ということがないよう、十分に注意しておきたいところです。

ただ、担当者は「ただ、もし車両通行帯違反として取り締まりを受けたときに、『今私はどのくらい走っていたんですか?』といったことを、対応している警察官に聞けば、正確な数字ではないものの、『あなたはここからここまで、何メートルくらい走っていました』と説明してくれると思います」とも話します。
そもそも、取り締まりは受けないように安全な走行を心がけなければなりませんが、もし車両通行帯違反として違反切符を切られてしまった場合は、今後より一層安全な運転をするためにも、どれくらい走行していたのか聞いてみると良いかもしれません。
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ツーリング時期で高速道路を走行する機会も増えると予想されますが、追い越し車線を走行し続けたり、無理な追い越し・追い抜きはしてはいけません。楽しいツーリングと自身や周囲のクルマを守るためにも、安全な運転を心がけたいものです。