その過信が命取り!? 絶対にやめて欲しい自転車の「ながら運転」

自転車を自分の体の一部のように扱うことができると過信して、ついついやってしまう「ながら運転」。普段は意識しませんが、自転車の運転にはかなり高度なテクニックを必要としています。何かをしながら自転車に乗れるほど、人間は器用ではありません。

クルマもバイクも自転車も、運転には全集中!!

 気軽に扱えて、毎日のように乗っている自転車は、自分の足でペダルを漕ぐ力で進み、直感的に操ることができるハンドルやブレーキの操作性のおかげで、まるで自分の手足の延長線上にあるように感じ、自転車の運転に絶対の自信を持ってしまう(軽視してしまう)かもしれません。そんな勘違い、過信からついやってしまいがちなのが「ながら運転」です。

クルマもバイクも自転車も、「ながら運転」は危険な行為。スマホの確認は安全な場所に停止した状態で
クルマもバイクも自転車も、「ながら運転」は危険な行為。スマホの確認は安全な場所に停止した状態で

「慣れているから」「自転車だから……」といった油断は、絶対に禁物です。どんなに自転車の運転スキルが高い人でも、何かをしながら運転するのは、法律的に禁止されているからだけでなく、予期せぬアクシデントを招く恐れがあるのです。

 自転車の「ながら運転」については、道路交通法の第70条で定められた「車両等の運転者は、当該車両等のハンドル、ブレーキその他の装置を確実に操作し、かつ、道路、交通及び当該車両等の状況に応じ、他人に危害を及ぼさないような速度と方法で運転しなければならない」に違反し、3カ月以下の懲役または5万円以下の罰金といった罰則の対象になります。

 実際にはどのような行為が違反になるのか、各都道府県の道路交通法施行細則によって異なる部分もありますが、基本的にはハンドルやブレーキをしっかり操作できない状態で自転車に乗ることは、すべて違反になります。

 すでに多くの人が知っている通り、傘を差しながらの運転は、分かりやすい「ながら運転」でしょう。最近ではあまり見かけなくなった感もありますが、傘さし運転は片手を塞ぎ、予期せぬ動きで視界を遮ってしまうこともあり、雨というシチュエーションも重なって危険度がかなり高くなります。

 ちなみに、ハンドルに取り付けて手を使わずに傘をさすことができる「傘立てスタンド」などと呼ばれる商品もありますが、地方自治体によっては使用が禁止されているので注意しましょう。

 対して、近頃多く見られるようになってきたのが、スマホを操作しながらの運転ではないでしょうか。意識が手元のスマホに移ってしまうことは、傘さし運転よりも危険度が高いかもしれません。歩きスマホでさえ事故が発生しています。歩くよりも移動が速い自転車が、事故を起こさないという保証はどこにもありません。

 また、何かと衝突してしまった場合も、事前にぶつかることが分かっていれば何かしらの回避行動をとるので被害を最小限に抑えることができるかもしれませんが、スマホを見ながらでは、回避行動を取ることができません。心の準備ができていないので、転倒の際に受け身などが取れずにケガが大きくなる可能性があります。

 なお、ハンドルに取り付けてスマホを固定することができるスマホホルダーなどもありますが、クルマのカーナビなどと同様に、走行中に操作したり、注視する行為は違反になります。画面の確認は安全を確保した場所で停車した状態で行ない、走行中の操作や注視は絶対にやめるべきでしょう。

 そして意外と見落とされがちなのが、イヤホン(ヘッドホン)で耳を塞いだ状態での運転です。「両手でハンドルを操作して運転しているからいいじゃないか」と言われるかもしれませんが、人間は無意識下でも五感を使って周囲の状況を把握しています。聴覚は周囲を走るクルマの音などを拾い取って私たちに状況を伝える重要な役割を担っているので、これを塞いでしまうと状況把握能力は激減します。好きな音楽を聴きながら風を感じて走ることは気持ちの良いものですが、けしてオススメできることではありません。

 道路交通法にある「ハンドルやブレーキをしっかり操作できない状態」とは、物理的に片手が塞がっている状態だけを指すわけではなく、自転車の運転に集中できない状態を意味しています。

 なかなか意識することはないかもしれませんが、自転車の運転は全身でバランスを取りつつ、周囲の状況に気を配り、数秒先の未来を予測してスピードを制御するなど、かなり高度なテクニックを使っています。そこに他の何かをやりながら運転する余地は無いのです。自転車に乗っている時は、運転に全集中でいきましょう。

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