ル・マンのパドックはまるでラビリンス……? MotoGPフランスGPの開催地で「ぶら歩き」

「ル・マン-ブガッティ・サーキット」のMotoGPパドックは、これまでに見てきたどのパドックとも、印象が違いました。そして「ここはちょっとした迷宮かも……」、そんな感想を抱く場所でもありました。

初めて訪れたサーキットで受けた、洗礼?

 MotoGP第5戦フランスGPの取材のために、初めて訪れた「ル・マン-ブガッティ・サーキット」のパドックは、まるで迷路でした。少なくとも、私、伊藤英里にとっては……いや、パドックどころか、どこに行くにも「ココハドコ?」状態だったのです。

ピット側とホスピタリティ側をつなぐ通路。正面に見える建物の1階がピットになっている。とても大きな建物だ
ピット側とホスピタリティ側をつなぐ通路。正面に見える建物の1階がピットになっている。とても大きな建物だ

 サーキットに向かった初日の木曜日、メインエントランスからクルマで入ってまず、駐車場が分からない……。

 ようやっと駐車場に着いてクルマを降りると、今度はどちらにパドックがあるのかわからない……というわけで、駐車場から徒歩5分のパドックにたどり着くまで、立っていたスタッフに2回も「どこからパドックに入れるんですか?」と聞くはめになりました。

 あちこち惑いながら歩く様子を不安に思ったのか、ようやくパドックの方向を知ってそちらに向かう私を、スタッフのお兄さんが心配そうに見守っていました……。

 この時点で、精神的にすっかり疲弊しているのですが、パドックに着いてからもまだまだル・マンのラビリンスは続きました。

「メディアセンターは……どこだ!?」

ホスピタリティの建物の前にはバイクを展示しているところもある。ホンダのホスピタリティ前には「CB750ホーネット」が展示されていた
ホスピタリティの建物の前にはバイクを展示しているところもある。ホンダのホスピタリティ前には「CB750ホーネット」が展示されていた

 果たして、私はパドックに入っても迷うことになりました。おそらく10分以上、彷徨っていたと思います。サーキットの中で、これほど目的地にたどり着けなかったことがあっただろうか……。

 これまで私が行ったことのあるサーキットのパドックでは、常設のピットの上、またはその近くの建物の中に、ジャーナリストやフォトグラファーが仕事をするメディアセンターという部屋があります。そして、大抵の場合、パドックに入ればおおよその場所が分かるものです。

 しかし、しかし!です。ル・マンはパドックに入ってもどこにメディアセンターの入り口があるのか、全く分からないのでした。私がこれまでに経験してきたサーキットのパドックとは少し違ったレイアウトをしていたからかもしれません。

最終コーナー側にあるコントロールタワー
最終コーナー側にあるコントロールタワー

 ル・マンのパドックは、最終コーナー側にコントロールタワーがあり、メインストレートに沿って、1コーナー側に向かって常設のピットが並びます。ピットの前にはMotoGPクラスのチームのトレーラーが並び、その後、Moto2、Moto3クラスのピットとトレーラーが続いていきます。

 レースウイーク中に何度もそのトレーラーの前を通っていると、MotoGPクラスに参戦するフランス人ライダー、ファビオ・クアルタラロ選手とヨハン・ザルコ選手のチームトレーラーの前で、たくさんのファンが出待ちをしていました。

 ちなみに、このピットの巨大な建物の中に、私が木曜日の朝っぱらから大汗をかいてたどり着いたメディアセンターがありました。

 最終コーナー側から見ると、左手にピットとトレーラーが並ぶわけですが、右手はというと、パドックを隔てる金網が立っていて、金網のさらに右側は、チームのホスピタリティなどが並ぶエリアになっています。ピット側のエリアと、ホスピタリティエリアを結ぶのは、主に中央と1コーナー側の出入口です。金網がパドックを隔てているので「行き来に大回りしなきゃいけないなあ」という印象でした。

2023年シーズンの「Eパドック」の建物は2階建てになった
2023年シーズンの「Eパドック」の建物は2階建てになった

 1コーナー側の突き当りから右手の坂を上っていくと、その先の右手にはMoto2、Moto3クラスのホスピタリティエリアがあり、左手に向かうと、「Eパドック」があります。「Eパドック」というのは、電動バイクレース『FIM Enel MotoE World Championship』のピットだけが集まるエリアです。

 というわけで、パドックはいくつかのエリアに分かれてレイアウトされていました。

 それにしても、ル・マンではなぜここまで迷ってしまったのか……おそらく、サーキットの中の動線やレイアウトが、ちょっと複雑なのかもしれません。ル・マンのパドックは「まるで迷宮」……そんな印象を私に残したのでした。

【画像】ぶら歩き。ル・マンのパドックは迷宮か!? を見る(15枚)

画像ギャラリー

Writer: 伊藤英里

モータースポーツジャーナリスト、ライター。主に二輪関連記事やレース記事を雑誌やウエブ媒体に寄稿している。小柄・ビギナーライダーに寄り添った二輪インプレッション記事を手掛けるほか、MotoGP、電動バイクレースMotoE取材に足を運ぶ。

最新記事