ハーレーダビッドソン米国本社CEOが来日 歴代最高峰の新「CVO」モデル発表
ハーレーダビッドソンの最新「CVO」モデル二機種が日本で初披露されました。ここではその特徴について解説していきます。
歴代最高峰のゴージャス&ハイテクなCVOモデル
2023年6月16日、東京都港区にある虎ノ門ヒルズの最上階にあるアンダーズ東京ルーフトップテラスにおいてハーレーダビッドソン(以下:H-D)のプレミアムモデルシリーズ、 CVO(カスタム ビークル オペレーションズ)のALL NEWモデル「CVO ストリートグライド」と「CVO ロードグライド」のジャパンプレミアが開催され最新モデルが発表されました。

すでに6月8日から全国ディーラーで予約が開始された同モデルですが、今回の新CVO発表のアンべールイベントには米国H-D本社CEOのヨッヘン・ツァイツ氏も就任後に初来日。H-Dジャパン株式会社の野田一夫代表と共に登壇し、ハーレーダビッドソンの日本市場における展望をプレゼンし、新CVOモデルを披露したのですが、こうした部分からも同モデルに対する力の入れようが伺えるものとなっています。

実際、最新のCVOモデルはこれまでのハーレー・ツーリングモデルのイメージを踏襲しつつもデザインを一新。ストリートグライド、ロードグライド共にベンチレーションを内蔵した新フェアリングとLEDシグネチャーライトが採用されているのですが、これは伝統的なスタイルの中に“未来的”なイメージが取り入れられた斬新な印象を与えるものとなっています。
そのフェアリング内におさめられたメータークラスター(各種メーターをまとめたユニットパネル)はまったく新しいインフォテイメント・テクノロジーが導入されており、12.3インチTFTカラータッチスクリーンは3種類のビューオプションを用意。
スピード・タコを備えた通常のメーターモードである“クルーザーモード”の他、ナビゲーションに特化した“ツアーモード”、そしてH-D社が現在、力を注ぐロードレースの“キング・オブ・ザ・バガーズ”のレーサーを彷彿とさせるタコメーター中心の“スポーツモード”が切り替え可能でライダーの意思や状況に応じたセッティングが楽しめるものとなっています。
ちなみにこのディスプレイはAppleおよびAndroidデバイスとも互換性があり、Wi-Fi接続によってワイヤレスで接続可能。ワイヤレスヘッドレスト用のBluetoothレシーバーもシステムに内蔵されているのですが、その装備の豪華さはあたかも高級四輪車のようです。

もちろん、走行性能に関しても新CVOはかなりの進化を遂げており、エンジンはハーレー史上過去最大の排気量を誇る1977ccのミルウォーキーエイトVVT 121エンジンを搭載。これは可変バルブタイミング(VVT)に加え、新吸気路とパフォーマンスエキゾーストシステムを備えたシリンダーヘッド冷却システムによって一部水冷化されたもので、従来のミルウォーキーエイト117エンジンに比べトルクは約8%、馬力は9.5%にそれぞれアップ。115馬力となった上でVVTでパワーバンドが広がったことにより、トルクマネジメント効果が高まり、従来モデルより燃費が約3~5%向上しているとのことです。
以前のハーレーといえば馬力を公式的に発表することもなく、あくまでも“テイスト”重視で語られることが多かったのですが、この新CVOではあえてパワーを公表。これはそれだけ同社がニューエンジンに対して自信を持つ表れといえるのではないでしょうか。
また、排気バルブ部分に焦点を当てたエンジンの冷却システムの変更により、ライダーに対する耐熱性も向上しているとのことで、その上で新型フェアリングと調整可能なエアコントロールベーンによって空力快適性も改善。風洞実験では振動が2022年ツーリングモデルに比較して平均で60%減少しているそうです。

さらに新エンジンと車体まわりによるパフォーマンスを受け止める足回りに関しても抜かりなく、ホイールは新型のCombo Cast Lacedを採用。フロント19インチ、リア18インチというコンビネーションのホイールにはタイヤ空気圧監視システムも搭載され、サスペンションも高性能な新型SHOWA製を採用。
フロントは倒立フォーク、リアのトラベル量も2022年モデルに比べて50%増加し、76mmを確保することでライダーの快適性を飛躍的に向上させています。またブレーキキャリパーもブレンボ製を採用し、絶大な制動力を発揮するものとなっています。

まさにデザインどおりハーレーの未来を感じさせる新CVOはストリートグライド、ロードグライドともダークプラチナ/ピンストライプのカラーリングは価格549万7800円(消費税10%込)、赤系のウイスキーニート/レイヴンメタリックは621万2800円(消費税10%込)となっています。
今夏よりデリバリーが開始されるH-D最高峰のモデルを、この機会にぜひ体感してみてはいかがでしょうか。
Writer: 渡辺まこと(チョッパージャーナル編集長)
ハーレーや国産バイクなど、様々な車両をベースにアメリカン・テイストのカスタムを施した「CHOPPER」(チョッパー)をメインに扱う雑誌「CHOPPER Journal」(チョッパージャーナル)編集長。カスタム車に限らず、幅広いバイクに対して深い知識を持つベテラン編集者。