ジムでのトレーニングは不要!? レーシングライダー濱原颯道的バイクを速く走らせるためのトレーニング方法とは

国内外で活躍するモータースポーツ総合エンターテイナーの濱原颯道選手が、自身が行うレーシングライダーとしてのトレーニング法を紹介してくれました。

一番のトレーニングはとりあえずバイクに乗りまくる事

 こんにちは!濱原颯道です!モータースポーツ総合エンターテイナーを勝手に名乗っているプロライダーです。

 最近友人に「そーどーが書いているバイクのニュース、よく読んでるよ!面白いね」と言ってもらった後に、「ライダーって普段どんなトレーニングしているの?気になってる人多いと思うよ!」との質問をもらったので、今回はトレーニングの話。

 先に言っておきますが、トレーニングが合う合わない、やるやらないは全て個人差があります。その為、内容は僕の独断と偏見。ライダーってどんなトレーニングをしているの?と題しましたが、ほぼ僕独自の話をしていきます。

自転車トレーニングは結構好き。漕いでいて気持ちいい
自転車トレーニングは結構好き。漕いでいて気持ちいい

 トレーニングといえばジムに行ってダンベルを持ったり、器具を使った筋トレをイメージする人が多いと思います。他にはいわゆる体幹トレーニングをしたり有酸素トレーニングなど様々あります。

 しかし僕は、人と違って身長がデカく、体重も重い(191㎝90㎏)なので、減量しかしていませんでした。毎日2時間自転車を漕ぐだけです。なので基本、皆さんが想像するようなトレーニングをしていませんでした。

「2時間も自転車を漕いでいたら、それはトレーニングだよ」と言ってくれる人もいますが、僕の目的はあくまで減量です。

 ここからは僕の持論。レーシングライダーがトレーニングをする目的といえば、バイクに乗ると疲れる。バイクで疲れるから筋力、体力を補うためにトレーニングをする。と言った流れが一般的だと思います。

 しかし、皆さんも慣れてない事をしたから疲れたや、久々に動いたから筋肉痛などという経験はあると思います。それと同じで、バイクに乗って疲れるのは、筋力や体力の問題ではなく、要は慣れていないんだと思うんです。

 なので、「呼吸する」、「食事を摂る」くらいの感覚まで、バイク操作というものを落とし込むことができれば、疲れる事はそうそうないと思います。

「バイクに乗る」事自体に疲れなければ、トレーニングの必要はない。なので、そもそもバイクの操作が上手くなれば良いのでは?というのが僕の考え。そのため、色んなカテゴリのバイクにたくさん乗って、バイクを操作するという事が疲労に繋がらないための体作りがトレーニングだと、僕は思っています。

冬は冬にしか出来ないようなバイクトレーニングをしたりします。まあ半分遊びですが、バイクで遊べば楽しめてトレーニングにもなるから一石二鳥です
冬は冬にしか出来ないようなバイクトレーニングをしたりします。まあ半分遊びですが、バイクで遊べば楽しめてトレーニングにもなるから一石二鳥です

 昔から僕は色んな人に「バイクの筋肉はバイクでつける」と言っていました。

 とは言っても、ジムに行ってウエイトトレーニングをしている人達が間違っているとは全く思いません。むしろ僕はそういう地道な事ができないので、言い訳をしているタイプの人間です。

 以前「お前はバイクに乗って楽しい事ばかりしているけど、追い込みも大事」と言われた事があります。僕は追い込むトレーニングばかりして結果が振るわなかった時に「あれだけ追い込んだのに」と、落ち込んでしまうタイプなので、そう言ったトレーニングは一切しなくなりました。

 食事制限やお酒の制限も同じ理由で、ほぼしていません。

トレーニングはトライ&エラーの繰り返し

 そんな一般的なトレーニングの中でも、ひとつだけ僕がいつも疑問を持ってしまうのが体幹トレーニングです。

 あれだけは本当によくわからなかったというか、必要性を感じませんでした(笑)

ローラー台は1か月で1000キロ漕いだ事もありました。結構好きでした
ローラー台は1か月で1000キロ漕いだ事もありました。結構好きでした

 バランスボードの上に立ってボールを受け取ったり、バランスボールに乗ったりと色々と体幹トレーニングと言われるものがあると思うのですが、動いていない乗り物の上でバランスをとった所で「物の中心」を捉えられるだけで、1番バイクに大事な「速度の中心」にいる事ができなくなるんです。

 僕も散々やりました。しかし、その結果、滑ってブレたマシンを抑えようとしてステップを瞬時に踏み替えてしまいグリップが回復して、ハイサイド。結果的に1年間、転倒ばかりして怪我をたくさんしました。

 ですが、やってみて「効果がある!」と感じる人はぜひやった方がいいです。僕も他の選手の走りを見て、「もっと体幹を鍛えろ」と言うこともあります。

 何が言いたいかというと、僕が今の「毎日、自転車2時間」というトレーニング方法は、過去に色々やってみた取捨選択の結果がそれだったというだけの話です。

冬の間、グアムに行ってトレーニングもしたりしていました。辛くなきゃいけないんだろうけど、結構楽しかった思い出です。
冬の間、グアムに行ってトレーニングもしたりしていました。辛くなきゃいけないんだろうけど、結構楽しかった思い出です。

 ジムに行って、ウエイトトレーニングも散々やりました。でも、あれも力を入れてたぐり寄せるみたいな動きが多く、そんな動作はバイクに乗っている時には一切しないよな。これは、何の意味があるんだろう?とたくさんの疑問を持ったので、やらなくなってしまいました。

 それと同時に思う事がありまして、僕は水泳や自転車、体幹に反射神経と、何もしないでも人より優れている事が多々あります。特に体幹と反射神経。だからやらなくなってしまったのかも知れませんし、バイクにたくさん乗っているから、それらが自然に備わったのかも知れません。そこの真相だけは僕自身もわかりません。

 いかがでしたが?バイクで速く走るためのトレーニングなどを期待して読んでくれた人もいると思いますが、僕からのアドバイスは「とにかくたくさんバイクに乗れ」です。

 街中でもなんでも良いので、アクセルやブレーキ、クラッチにシフトチェンジなどの精度をとにかく上げる事も、バイクに乗った際に疲労に繋がらない方法のひとつだと思います。

 速くなる事、上手くなる事に近道はないので、そう言った面ではたくさんバイクに乗るという地道な事を僕は出来ているのかな?と、書きながら改めて思った、僕的トレーニング理論でした。

濱原 颯道 I AM YOUR RIDER

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Writer: 濱原颯道(プロライダー)

全日本ロードレースでは国内2位、全日本スーパーモトでは国内3位の経験があり、他にもオフロードやストリートまでバイクならなんでも好きな男。普段は個人レッスンにマシンセットアップ、テストライダーなどと色々な活動をしている。バイクに関することならビギナーから国際ライダーまで、多くの人から相談を受けたりもしている。

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