1960年代の「スーパーカブ」のバリエーションモデルは、「スポーツ」と「可愛い」
1958年に発売されて大ヒットとなったホンダ「スーパーカブ」に、次々とバリエーションモデルが誕生します。本格的原付スポーツ車「スポーツカブC110」と、現代の「リトルカブ」にも通じる、女性にも好まれる外観と装備が特徴の「ポートカブC240」です。2台を眺めて、新しい楽しさを知りました。
「スポーツカブC110」と「ポートカブC240」の魅力とは?
1958年の発売以来、大ヒット商品となったホンダ「スーパーカブ」は、1960年には鈴鹿製作所が操業を開始し、56万4千台の生産台数を記録しました。

一方、1959年にはマン島TTレース出場もあり、国内二輪市場も実用車だけでなく、スポーツバイクの需要が盛り上がり始めました。しかし排気量250ccクラスの「CB72スーパースポーツ」は価格が18万7000円と、当時のサラリーマンの平均月収の10倍近い高価な存在でした。
そこでホンダは、「スーパーカブC100」をベースに、庶民でも手が届きやすいバリエーションモデルを発売しました。その2機種を紹介します。
青と白の2トーンカラーの明るいイメージの「スポーツカブC110」は、シート前に燃料タンクが置かれているので現代的な目線で見ても普通に見えますが、エンジンや足まわりは「スーパーカブ」と同様であることが分かります。

エンジンは「スーパーカブC100」をベースに、冷却効果を高めたシリンダーヘッドを装備。当時のGPレーサー譲りの吸排気技術などで5ps/9500rpmと高出力化。自動遠心クラッチに変えて手動式クラッチを装備していました。
より深いバンク角を確保できるアップマフラーなども、当時のレーサースタイルで若者から人気を集めました。

淡い紫色の小ぶりな「ポートカブC240」は、幅広いユーザーに向けて軽量化、装備の簡素化したうえで扱いやすさを考慮し、さらに低価格を実現しています。「スーパーカブC100」を頼れる兄貴と例えるなら、「ポートカブC240」は可愛い妹分と位置つけられそうです。
女性を意識した可愛いデザインで、ホイールサイズは17インチから15インチへ小径化。また、跨がずにキック始動できるよう左側にキックペダルを移しました。C100ベースの新設計エンジンの最高出力は2.3ps/5700rpmで2段変速でした。
フロントフォークやレッグシールドなど、丸く柔らかい印象のボディパーツなど、現在のカブカスタムの素材としても魅力的と言える秀逸なデザインです。

当時の販売価格は、「スポーツカブC110」(1960年)は5万8000円で、「ポートカブC240」(1962年)は4万3000円でした。ちなみに「スーパーカブC100」(1958年)は5万5000円です。
■ホンダ「スポーツカブC110」(1960年型)主要諸元
エンジン種類:空冷4ストローク単気筒OHV
総排気量:49cc
最高出力:5PS/9500rpm
車両重量:66kg(乾燥)
最高速度:85km/h
■ホンダ「ポートカブC240」(1962年型)主要諸元
エンジン種類:空冷4ストローク単気筒OHV
総排気量:49cc
最高出力:2.3PS/5700rpm
車両重量:54kg(乾燥)
最高速度:50km/h
【取材協力】
ホンダコレクションホール(栃木県/モビリティリゾートもてぎ内)
Writer: 柴田直行
カメラマン。80年代のブームに乗じてバイク雑誌業界へ。前半の20年はモトクロス専門誌「ダートクール」を立ち上げアメリカでレースを撮影。後半の20年は多数のバイクメディアでインプレからツーリング、カスタムまでバイクライフ全般を撮影。休日は愛車のホンダ「GB350」でのんびりライディングを楽しむ。日本レース写真家協会会員










