ライダーにとって厄介な存在のマンホールの蓋には、表情がある ~木下隆之の、またがっちゃいましたVol.205~
レーシングドライバーの木下隆之さん(筆者)は、ライダーにとって厄介な存在であるマンホールの蓋には、表情があると言います。どういうことなのでしょうか?
マンホールの蓋は避けて走っているが……
バイククルージングをしていて、クルマのドライブと決定的に異なるのは、路面に対する注意力です。4輪で踏ん張るクルマはそれほど路面の影響を受けませんが、バイクではちょっとした突起や轍も気になるものです。ハンドルが取られてフラついたり、旋回中だとコケる心配もあります。バイク生活をしていると、常に路面コンディションに気を配っている自分(筆者:木下隆之)に気づきます。

とくに厄介なのは「マンホールの蓋」です。そのほとんどは鉄製で、濡れていればとても滑ります。雨の日などは、目を凝らしてマンホールを見つけるようにしますし、それを避けて走らせることも少なくありません。
そもそもマンホールの蓋は大概、不自然に盛り上がっています。バランスを保って走るバイクには天敵なのです。
ただし、よくよく観察してみると、マンホールの蓋も可愛いもののようです。デザイン性があり、カラフルにペイントされていることもあります。
マンホールの役目は、水道管やガス管を埋設するための管への入り口であり、定期的な点検口でもあります。それにデザイン性を持たせたのは、日陰の存在であるマンホールの蓋を認知してもらうためだとか。全国各地の自治体が個性的なデザインを描くようになっています。
【東京都・千代田区】はお茶の水があることから、お茶の水博士が産み育てた「アトム」がデザインされているそうです。お茶の水博士やウランちゃんが描かれています。
【福岡県・北九州市】は、松本零士先生が描いた『銀河鉄道999』のメーテルなどだそうです。
【広島県・広島市】はもちろん、広島東洋カープのマスコット「カープ坊や」ですね。
【茨城県・つくば市】は、最先端科学の町です。JAXA筑波宇宙センターが開設されており、多くの日本人宇宙飛行士を輩出しています。そのデザインは筑波山を背景にスペースシャトルが飛行しています。
【静岡県・伊豆の国市】は、富士山と韮山反射炉が描かれています。
新しいところでは【岩手県・久慈市】でしょう。久慈市の水族館の応援団長を務めているのが、東京海洋大学名誉博士のさかなクンです。彼はタレントでもあり、漫画家でもあります。彼が描いたさかなクンがモチーフなのも納得です。
というように、ライダーにとってはちょっと厄介な存在であるマンホールの蓋にも表情があります。全国をツーリングして回るライダーも少なくありません。全国マンホールの蓋巡り、というのはいかがでしょうか?
Writer: 木下隆之
1960年5月5日生まれ。明治学院大学卒業後、出版社編集部勤務し独立。プロレーシングドライバーとして全日本選手権レースで優勝するなど国内外のトップカテゴリーで活躍。スーパー耐久レースでは5度のチャンピオン獲得。最多勝記録更新中。ニュルブルクリンク24時間レースでも優勝。自動車評論家としても活動。日本カーオブザイヤー選考委員。日本ボートオブザイヤー選考委員。