この装備で原付一種なの?過去に発売された原付一種に見えないバイク5選

50ccのバイクと聞いて多くの人が思い浮かべるのはスクーターと呼ばれる種類のバイクでしょう。しかし、かつて生産されていたバイクの中には、とても原付一種とは思えないような装備のものもありました。

原付一種なのにこんな迫力が!?50ccとは思えない原付一種5選

 1980年代には日本でバイクブームが巻き起こり、お金がない若者の間では原付一種が大流行しました。そんな若者をターゲットにいくつかのメーカーは50ccでありながら本格的なライディングが楽しめるモデルを多数展開。

 度重なる排ガス規制によってこうした原付一種はどんどん生産終了してしまいましたが、20世紀の間はとても原付一種には見えないような50ccのバイクが多数展開されていました。では、具体的にはどのようなモデルがラインナップされていたのでしょうか。

■ホンダ「NS-1」

ホンダのメットイン機能を内蔵した原付ロードスポーツバイク「NS-1(1991)」
ホンダのメットイン機能を内蔵した原付ロードスポーツバイク「NS-1(1991)」

 1991年に登場したバイクであるNS-1は遠目に見ると中型バイクと見間違えてしまうような車格もさることながら、原付一種としては珍しい前後ディスクブレーキやタコメーターの存在も影響して、本格的なバイクと比べても遜色ないクオリティに仕上がっています。

 また、このバイクの大きな特徴として、メットインスペースがあることが挙げられます。このメットインスペースは、発売当時の時代背景をよく表しています。

 実はNS-1が発売される少し前の1986年までは、原付一種にはヘルメットの着用義務がありませんでした。しかしそれ以降ヘルメットの着用が義務化されると、原付一種の売り上げは大きく落ち込みます。その困難な状況に立ち向かうため、NS-1にはメットインスペースが設けられたのです。

 原付一種のフルカウルバイクとしては唯一の採用となるメットインスペースでしたが、24Lもの容量を確保しており、非常に使い勝手は良さそうです。

■アプリリア「RS50」

アプリリア「RS50(2007)」
アプリリア「RS50(2007)」

 イタリアのバイクメーカーであるアプリリア社が製造していたRS50も、先述のNS-1と同様に迫力があります。1920mmの全長も目を見張るものがありますが、ただ全長が大きいだけでバイクの迫力が増すわけではありません。

 一般的な原付一種のスポーツバイクの特徴として、車体が大きくてもエンジンのシリンダーが小さいことによって原付らしく見えてしまうことが挙げられます。しかしこのRS50の場合はエンジンの部分がカウルで覆われているため、エンジン周りをスカスカに感じさせなくなっています。

 もちろんRS50の特徴は見た目の迫力だけではありません。本格的な倒立フォークや前後のディスクブレーキを採用しており、この車体の持つスポーツ走行へのこだわりが伺えます。

■ホンダ「マグナ50」

ホンダのアメリカンスタイルの原付一種カスタムスポーツバイク「マグナ50」
ホンダのアメリカンスタイルの原付一種カスタムスポーツバイク「マグナ50」

 原付一種としては珍しいアメリカンスタイルのマグナ50は1995年に発売され、2007年まで販売されていました。このバイクはホンダのマグナシリーズの末弟として生まれ、上位車種の遺伝子をしっかりと受け継ぐ質感が高いモデルであることでも知られています。

 通常の原付一種ではコストカットのため使用される機会の少ない、クロムメッキの輝くヘッドライトやエアクリーナーボックス、デザイン性の高いディスクホイールなど、兄貴分であるホンダ「Vツインマグナ」を連想させるような装備が特徴です。

 また、エンジンはスーパーカブと同系のエンジンを使用しているため、圧倒的な燃費を誇ります。原付一種とは思えない見た目とカタログ値105km/hと原付一種らしい好燃費のおかげで大人気モデルとなっており、生産終了した今でも多くの中古車両が市場に出回っています。

■ヤマハ「RZ50」

ヤマハ「RZ50(1981)」
ヤマハ「RZ50(1981)」

 RZ50は1981年、原付一種ブームの最盛期に発売された車体で、一旦生産終了した後1998年にモデルチェンジを経て復活するという数奇な運命を辿っています。

 RZ50は本格的なスポーツバイクと同じように6速ミッションを採用したスポーツモデルで、1805mmと十分大きな車格もあって販売されていた当時は原付一種ブームを牽引する代表的な車種となっていました。

 兄貴分であり、その速さから400キラーと称された「RZ250」やナナハンキラーと称された「RZ350」の遺伝子をしっかりと受け継いだ水冷2サイクルエンジンを搭載しており、当時としては最先端の原付一種でした。なお、復活後のモデルは2007年まで販売され、2ストロークのエンジンを搭載した国内最後のバイクでした。

■スズキ「ハスラー50」

1983年に登場したスズキ「ハスラー50(TS50W)」
1983年に登場したスズキ「ハスラー50(TS50W)」

 1983年に、水冷エンジンを搭載して発売されたオフロードモデルであるTS50Wは、本格的なオフロードバイクと同じくフロント21インチ、リア18インチの大きなタイヤを採用しており、高い走破性を有しています。また、RZ50と同じように6段変速ミッションを採用しており、走行性能への力の入れ具合が伺えます。

 TS50Wは本格的なオフロード走行を楽しめるモデルでありながら、カタログ値にして79.2km/Lと燃費も非常に良く、街乗りでも活躍が期待できる一台です。先代の空冷エンジンモデルと合わせると1971年から1995年までの20年間以上販売されたモデルであり、中古車もそれなりに出回っています。

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 これらのバイクは全て50ccであるため、普通免許を持っている人なら法律上は誰でも運転することができます。今回紹介した原付一種は手軽に乗れるにもかかわらず本格的な走行や迫力を楽しめるモデルなので、これからバイクに親しみたいと思っている人は一度検討してみるとよいかもしれません。

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