【自転車×映画】少年たちの夢を乗せて空を飛んだ!! 大ヒットSFファンタジー『E.T.』に登場するBMX
映画や音楽、アニメ、漫画といったさまざまなエンタメ分野に登場し、印象的なシーンで活躍する自転車。今回はスティーヴン・スピルバーグ監督の名作SF映画『E.T.』(1982年公開)に登場する自転車について紹介します。
映画のワンシーンを、記憶に残る名場面に
世界中で日常生活の足として使われている自転車は、その親しみやすさや持っているイメージなど、映画や音楽、アニメ、漫画といったエンタメ分野ではある種の共通言語と言えるかもしれません。一度でも自転車に乗ったことがあるなら、その経験は共有でき、作品に自転車が登場することで言葉は通じなくても似たような感情を抱くことができます。

そんなエンタメ分野に登場する自転車について、今回は自転車をテーマにした作品ではなく、自転車が印象的なシーンで使われている映画を紹介したいと思います。
公開から40年以上の年月が経っても、いまだに自転車が印象的な作品として挙がるタイトルが、スティーヴン・スピルバーグ監督の名作SF映画『E.T.』(1982年公開)です。
地球に取り残されてしまった地球外生命体(E.T.)と、10歳のエリオット少年との友情を描いた物語は、ジョン・ウィリアムズの劇中音楽とも相まって、涙なしには観られない感動作です。
自転車が印象的に使われるのは物語の終盤。故郷から迎えが来たE.T.を政府機関や警察から逃がすため、エリオットは自転車の前かごにE.T.を入れて、友人たちと一緒に郊外の森を目指します。
ところが、自転車のスピードでは逃げきれず、追い詰められて万事休すかと思われたとき、E.T.が念力で自転車ごと子供たちを浮遊させます。

唖然とする大人たちを眼下に、悠々と空を飛ぶ(漕ぐ)エリオットたち。印象的なこのシーンは、ポスターなどのビジュアルにも使われ、多くの人の心に残っていると思います。
ちなみに、劇中で空を飛んだ自転車は「BMX」という種類になります。「Bicycle Motocross(バイシクル・モトクロス)」の略で、1970年代初頭にモーターサイクルのモトクロス競技に憧れたアメリカ・カリフォルニアの子供たちが、自分たちの使っていた20インチのクルーザータイプの自転車で真似したことが始まりだと言われています。
そしてじつは、劇中で実際に使われた自転車が日本製であることを知る人も多いことでしょう。
当時、アメリカの少年たちの憧れの的だった、1918年創業の大阪の自転車メーカー「KUWAHARA BIKE WORKS」のBMXなのです。特徴的なハンドルとオールドスクールなデザインは、今なお色褪せない輝きを放っています。