ヤマハのスポーツe-BIKE「YPJ」ユーザーが集うファンミーティングに潜入
ペダルを回すだけで日常とは違う世界に連れて行ってくれる、ヤマハ発動機のスポーツe-BIKE(電動アシスト自転車)、そのユーザーやファンが集うイベント『YPJ Fan Meeting 2023 ~ Natural Holiday ~』では、普段使いとは異なるスポーツe-BIKEの新しい楽しみ方が垣間見えました。
ラクするための電アシから、楽しむためのスポーツe-BIKEまで
1993年に世界で初めて電動アシスト自転車(e-BIKE)を商品化したヤマハは、日常生活からレジャー領域まで、スポーツe-BIKEの分野でも先駆者として、これまでにさまざまなタイプのスポーツe-BIKEをリリースしてきました。ロードバイクタイプの「YPJ-R」やクロスバイクタイプの「YPJ-C」などが「YPJ」シリーズとしてラインナップされ、スポーツe-BIKEの世界を切り拓いてきたと言えます。

現在は、オフロードにも対応する太めのタイヤを装備し、舗装路も爽快に走ることができるグラベルバイクタイプの「WABASH RT」や、普段使いで街中を走行するというよりも、荒れた路面や野山を駆け巡ることに特化したマウンテンバイク(MTB)タイプで、「YPJ」シリーズのフラッグシップモデルでもある「YPJ-MT Pro」といった、刺激的な非日常の体験を提供してくれるタイプを展開しています。
このようなラインナップからもうかがえるとおり、ヤマハのスポーツe-BIKEは普段の生活とは切り離されたシチュエーションで、アウトドアアクティビティを楽しむために用意されています。そして年に1度、ヤマハでは「YPJ」ユーザーやファンを対象に、その魅力を存分に味わえるイベントも主催しており、2023年9月23日(土)『YPJ Fan Meeting 2023 ~ Natural Holiday ~』が開催されました。

会場となった静岡県富士宮市の「富士山YMCA グローバル・エコ・ヴィレッジ」は、まさにそんなアクティビティを楽しむのにピッタリなロケーションです。富士山を間近に感じながら、自然の中で未舗装路を走り回る快感はまさに非日常の世界。しかも当日の午前中は濃い霧が漂い、時には猛烈な雨が降るという悪天候に見舞われ、もちろん富士山の姿を拝むこともできませんでした……。
一般的には自転車に乗ろうとは思いもしない状況ですが、野山を駆け巡ることが大好きな人にとっては許容範囲(?)なのか、逆に冒険心をくすぐられるシチュエーションだったのかもしれません。

そんな会場に到着して驚かされたのは、ヤマハが会場に持ち込んだ車両と合わせて、全国各地からやって来たYPJユーザーが運んできた車両の数です。「YPJ-MT Pro」がズラリと並んだ光景は圧巻の一言。参加者の駐車場を見てみると、関東圏だけでなく関西圏から来ているクルマもあり、ユーザーの意気込みが感じられます。
会場では「YPJ」シリーズの大試乗会や、過去のコンセプトモデルの展示ブースに加え、富士宮市のご当地グルメを味わえるなどさまざまなコンテンツが用意されていました。
なかでも注目なのは、所要約1時間で富士山の麓、朝霧高原エリアを走るガイドツアーと、プロライダー3名によるビギナー向けのe-MTBライディングレッスンです。最悪とも言えるコンディションの中でスタートしたガイドツアーを見送りましたが、約1時間後に帰ってきた参加者のみなさんが、いずれも笑顔だったのが印象的でした。1人では体感することがない冒険を味わってきたのでしょう。

そしてライディングレッスンでは、講師に「YPJ-MT Pro」のテストライダーを務めた元ヤマハファクトリーライダーの鈴木健二さん、アトランタ五輪マウンテンバイク・クロスカントリーの日本代表として出場した小林可奈子さん、元マウンテンバイクダウンヒル全日本チャンピオンの増田まみさんという豪華な3名を迎え、広い草原に設けられた試乗コースで、1時間みっちりと指導を受けることができます。
普段はこれまでの経験と感覚だけで何も考えずに乗っている自転車ですが、「スポーツ」として電動アシスト自転車のMTB(e-MTB)の魅力を体験すべく、初級者向けを担当された増田さんにe-MTBの基本的な操作方法と、アシストがあるからこそのコツを教わることができました。
そもそもe-BIKEの開発コンセプトとしては「ラクするため」があります。日常生活の中で、長い上り坂や重い荷物などを乗せて目的地までいかにラクして辿り着くことができるかがポイントでした。そんなe-BIKEも誕生から30年を経て、「ラクするため」に加えて「楽しむため」という新たなステージに到達したようです。
「YPJ-MT Pro」を使ったレッスンでは、これまで自分が乗っていた自転車とは全く違う扱い方に目からウロコ、とても貴重な体験となりました。
アクティビティとして楽しむためのスポーツe-BIKEのハードルはまだまだ高いものかもしれませんが、今回のイベントに参加したYPJユーザーの楽しそうな笑顔を見ていると、その裾野が広がる可能性はおおいに秘めている気がします。