ウクライナでミニバイクレース「ピットバイク選手権、コサックカップ」ってどんなレース!? レーシングライダー大久保光のレースレポート
レーシングライダーの大久保光選手が参戦したウクライナのミニバイクレース「ピットバイク選手権、コサックカップ」のレポートです。
ウクライナでミニバイクレースに参戦!?
皆様こんにちは!レーシングライダーの大久保光です。
前回の記事でバレンシア郊外にあるチバサーキットで、ウクライナのレーシングチーム、SP motoとのトレーニングのことを書かせていただきましたが、まだ戦火の中ではありますが、今年からウクライナでロードレース選手権がキーウ郊外にあるチャイカサーキットで再開されました。
残念ながら本コースの方はロシアからのミサイル攻撃による損害が激しく使用できる状態ではないため、今回はミニコースの方で開催されたとのこと。
それを機に今回は少し過去を振り返り、2019年に私が参加しましたウクライナのピットバイク選手権、コサックカップに参戦した際のレポートを書きたいと思います。

この話をする前に、まずは私の過去について触れておきたいと思います。
私は2016年から2020年までスーパースポーツ世界選手権に参戦していたのですが、その間の約2年半、ウクライナを拠点にして各レースを転戦していました。理由は様々ありますが、一番大きなもので言えばヨーロッパに滞在するにあたり、物価が他の国に比べて安かったことでした。
そのため約1年はウクライナ東部にある街、スラビャンスクというところに、残りの約1年半はウクライナの首都キーウを拠点に生活していました。
また、私が参戦していたスーパースポーツ世界選手権と併催のスーパースポーツ300世界選手権の中にウクライナ人ライダーが走っており、私もウクライナを拠点としていたことで、話をしてみると意気投合。
それならウクライナで行われているピットバイク選手権、コサックカップに出てみないかという話になり、参戦に至りました。

ちなみに彼はオデッサ出身のライダーでした。
その彼からマシンを借りて6月に行われたコサックカップに参戦。サーキットはキーウ郊外のチャイカサーキットのミニコースです。
このコサックカップはチャイカサーキットの他にも、ドニプロにある大きなショッピングモールの駐車場の一部を市街地サーキットのようにして行われたりと、比較的大きな規模のシリーズ戦。クラスは150ccクラスと190ccクラスがあり、マシンは12インチのモタードバイクが主流でした。
日本では馴染みのないミニバイクですが、ウクライナを始めとしたヨーロッパでは比較的メジャーで、近年、日本でも代理店ができたりしているジャンルなので、気になる人は是非チェックしてみてください。
コサックカップのレース内容とは?
コサックカップは土曜日にフリー走行と予選、日曜日は朝フリーと決勝というスケジュールです。
ウクライナ人以外にもロシア人やベラルーシ人も参戦する国際色豊かなレースでしたが、もちろん日本人は私一人だけ(笑)

私がレンタルしたのはノーマルの150ccのピットバイクだった上に、排気量とタイヤのサイズさえ合っていれば、ほぼどんな改造をしても良いというレギュレーションだったことに加え、初めてのバイクということもあり予選ではかなり苦労しました。
決勝でも厳しい戦いでしたが、前方を走るライダーが転倒した事にも助けられ、結果はクラス優勝。やはりどんなレースでも勝てると嬉しいものです。
そこで副賞としてタイヤやオイルをもらったのですが、誰かに売りたいなぁなんて考えていたところ、SP motoの代表であるユージンさんと出会い、副賞を売った事をきっかけに、交流が始まりました。

そして、そのまま話を続けているうちに、ウクライナにいるのならインストラクターの仕事をしないかという話にもなり、彼のチームに所属している若手ライダーやホビーライダーのアドバイザーを務めながら、自分自身もピットバイクを手に入れてウクライナでのバイクトレーニングを始める事ができたという流れです。
しかし2020年から始まったコロナのパンディミックで、ウクライナへの渡航が1年半ほど難しくなりましたが、2021年の秋頃には再びウクライナに渡航できるようになり、久々しぶりに再会。
そしてウクライナでのバイクトレーニングも再開でき、そのタイミングがコサックカップの年間表彰式とも重なり、ゲストとして呼んでいただくなど、貴重な体験をたくさんさせていただきました。
そのような経緯で、ウクライナとの交流を深めていった私でしたが、2022年の2月末からロシアによる一方的な軍事進行が始まってしまい、戦争へ突入。
当時一緒にレースに参戦していたライダーの中には、ウクライナのために戦っている人が何人もおり、中には残念な報告を耳にしたりする事もあります。
少しでも早くウクライナで、みんなでレースが楽しめる世の中になってほしいと願います。
皆様、よろしくお願い致します! https://t.co/T9HvdEXeAa
— Hikari Okubo 大久保 光 (@hikari_No78) November 5, 2023