ヤマハ日高社長も絶賛!? TWベースの3輪「TMW」製作の意図は? 開発者に直撃インタビュー
ヤマハは、2023年10月26日より東京ビッグサイトで開催されている「ジャパンモビリティショー2023」でコンセプトモデル「TMW」を展示しました。どのような意図で製作されたのでしょうか。開発者に話を伺ってみました。
次なるLMWモデル登場を示唆!?
ヤマハは、2023年10月26日より東京ビッグサイトで開催されている「ジャパンモビリティショー2023」でコンセプトモデル「TMW」を展示しました。

ジャパンモビリティショー2023のヤマハブースには、水素エンジンの研究用スクーターや、知能化技術を融合させた「MOTOROiD2」など、様々なコンセプトモデル、参考出品車が展示されていましたが、それらの中でヤマハ独自のフロント2輪機構「LMW」(LMW=Leaning Multi Wheel。一般的なバイクのようにリーン(傾斜)して旋回する3輪以上の車両の総称)を採用したのがTMWです。
ここでは、開発主要メンバーの一人である梅谷利明さん(PF車両ユニット PF車両開発統括部 車両実験部 ブレーキグループ 主務)に話を伺ってみました。

―――改めて、TMW開発のキッカケについて教えて下さい。
梅谷さん 私はトリシティ300の開発を担当していまして、その時からLMWの高い走行安定性、安心性を感じていたんです。
しかしながら、現在他インナップしているトリシティ・シリーズやNIKENなどは今まである形のプラスαといったものだったので、なかなかLMWの良さが伝わりにくいなというのが一つありまして。
であれば、自分たちが考えるLMWの安心・安定感を最大限にアピールできるようなインパクトのある、「見て楽しそう、乗ってみたい」と思わせるようなものを作りたいよね、というのがキッカケで、それを上司に相談して「部活」のような感じで製作をスタートしました。
―――TMWのフロントに搭載された機構は、現在あるLMW技術の転用になるのでしょうか。
梅谷さん 基本的には現在あるLMWの技術がベースで、フロントに3モーターで3輪化、LMWとしては初めてのハイブリッド車両になります。
すべての駆動力が独立していますので、エンジンだけ、モーターだけ、エンジン+モーターという形もできますし、フロント左右の駆動も振り分けることができます。
よりクイックに旋回したい場合にはフロントを片側だけ動かしたりと、いうなれば電動式デフとでもいいましょうか。
(※デフ=左右のタイヤが回る回転数を上手く調整し、スムーズに曲がるように調整する機構)

―――駆動の切り替えは手動で行うのでしょうか。
梅谷さん ハンドル部に装備されたスイッチで切り替えることができますが、将来的にはリーニングセンサーなどでそうした制御を自動化できればいいなと考えています。

―――ちなみに、フロントのLMW以外の箇所はTWを転用しているのでしょうか。
梅谷さん まさにそのとおりで、TW200のヘッドパイプをバサッと切ってトリシティ300をそのままくっつけています(笑)。溶接等も自分たちで行っています。

―――TMWの社内的評価はいかがですか?
梅谷さん 私達は普段、車両実験部、通常は市販車の開発、いわゆるテストライダーなんですけど、みんなで乗り合わせしても安定感はものすごく感じましたね。
うちの日高社長(高いははしごだかです)にも乗ってもらいまして、「これ、めちゃめちゃおもしろいね!」とご好評は頂いています。

―――ずばり、今後はこうしたファン領域のLMWも積極的に開発されていくのでしょうか。
梅谷さん 私達の立ち位置からでは申し上げずらいのですけど、こうしたテイストや制御というのは面白いですし、求めているユーザーさんもいらっしゃると感じていますので、企画部のほうに提案はしていきたいと思っています。