源流はモータースポーツの2社!AMG・SL43とホンダ・CBR1000RR-Rの魅力に迫る

HRCとAMGは、名門ワークスの血が流れている。似た立ち位置の2社が作り上げたCBR1000RR-RとSL43をレーシングドライバーの木下隆之さんが解説する。

名門ワークスの血が流れるHRCとAMG

 ホンダCBR1000RR-RとAMG・SL43はともに、名門ワークスの血が流れている点です共通項がある。CBR1000RR-Rは言わずもがな、ホンダのレース部隊であるHRCがチューニングする。

ホンダCBR1000RR-RとAMG・SL43と筆者(木下隆之)
ホンダCBR1000RR-RとAMG・SL43と筆者(木下隆之)

 一方のSL43をモディファイするAMG社はつまり、ホンダのHRCと似た立ち位置。源流はモータースポーツ専業のガレージであり、メルセデスの武闘派部隊となった。パワーユニットからサスペンションチーニングまで、AMGのスポーツテイストが注がれている。

 興味深いのは、HRCはそれまでバイクを素材にモータースポーツ活動をしてきたはずなのに、四輪にも進出した。それまでのホンダレージングの冠をHRCに置き換えた。ホンダのクルマとバイクがともにHRC傘下に組み込まれたのである。

 ゆえに今年から四輪の世界でも、HRCとAMGがサーキットで刀を重ね合うシーンを目にすることができる。

 もっとも、HRCは純粋に脈々とレースでの勝利を追求しているのに対してAMG社は、クラフトマン的な丁寧にものづくりのイメージにシフトしている。やみくもに速さに固執するのではなく、上質な走り味を信条とするのだ。

2023 FIM世界耐久選手権(EWC)第3戦 “コカ・コーラ”鈴鹿8時間耐久ロードレース 第44回大会で優勝したTeam HRC with Japan Post
2023 FIM世界耐久選手権(EWC)第3戦 “コカ・コーラ”鈴鹿8時間耐久ロードレース 第44回大会で優勝したTeam HRC with Japan Post

 ゆえに、CBR1000RR-RとAMG・SL43の性格はまったく異なる。CBR1000RR-Rはサーキットを根城にするタイム至上主義であるのに対してAMG・SL43は、むしろ優雅にハイウエイをクルージングするシーンが似合う。

 あるいは、ルーフを開け放って海岸線をながす、もしくは正装して高級ホテルのエントランスに横付けする・・といった姿が生えるのだ。そこから創造するキーワードは「ラグジャリースポーツ」である。生息地はまったく異なるのである。

ラグジャリースポーツ「AMG・SL43」をドライブする筆者(木下隆之)
ラグジャリースポーツ「AMG・SL43」をドライブする筆者(木下隆之)

 AMG・SL43が登載するパワーユニットは平凡なものだ。世界的なダウンサイジングに流れを受け、わずか2リッターの直列4気筒ターボを搭載する。さすがに最高出力は381ps、最大トルク480Nmを誇るが、高回転まで回す気はなく、極低回転域、つまり、アイドリング+αからユルユルと進む姿が相応しい。

 そのために、BSGが組み込まれている。ベルトドライブ・スターター・ジェネレーターであるそれは、アイドリングストップからの最初の一歩をスターターで発進させるもの。広義の意味ではマイルドハイブリッドとなるのかもしれないが、役割はスタートの瞬間だけだ。そのわずかに時間、背中を押すだけである。それが証明する様に、日常のユルユルしたゾーンが生息地なのである。

 HRCとAMGは共に、モータースポーツに積極的ではありながら、趣きはまるで背を向けるようだ。

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Writer: 木下隆之

1960年5月5日生まれ。明治学院大学卒業後、出版社編集部勤務し独立。プロレーシングドライバーとして全日本選手権レースで優勝するなど国内外のトップカテゴリーで活躍。スーパー耐久レースでは5度のチャンピオン獲得。最多勝記録更新中。ニュルブルクリンク24時間レースでも優勝。自動車評論家としても活動。日本カーオブザイヤー選考委員。日本ボートオブザイヤー選考委員。

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