レギュラー指定にハイオク入れたら速くなる(都市伝説)? 指定以外だとエンジン壊れるの?

バイクの燃料のガソリンは、ハイオクとレギュラーの2種類があります。呼び名的になんとなくハイオクを入れた方がパワーが出そうな感じがしますが……。レギュラー指定のバイクにハイオクを入れても大丈夫なのでしょうか?

ハイオクを入れても、ハイパワーにはならない!

 レギュラー指定のバイクにハイオクを入れると、何か良いことがあるのでしょうか? 逆に壊れてしまうのでしょうか……? 最初に答えから言ってしまうと、レギュラーが指定されているバイクにハイオクを入れても、パワーアップや速くなることはありません。そして、エンジンが壊れたり傷んだりすることもありません。端的に言えば、レギュラーを入れている時と何も変わりは無いのです。

ハイオク(無鉛プレミアム)はレギュラーよりも、呼び名のイメージ的にパワーが出そうな気もするが……
ハイオク(無鉛プレミアム)はレギュラーよりも、呼び名のイメージ的にパワーが出そうな気もするが……

 ハイオクは、「High(ハイ)」とオクタン価の「Octane(オクタン)」を合体した造語で、「オクタン価の高いガソリン」という意味です。

 ちなみにガソリンスタンドの給油機を見ると、ハイオクではなく“プレミアム”と表記していたり、両方を併記していることもあるのでややこしいのですが、どちらも同じです。世界的にはプレミアムの呼び名の方が一般的です。

ガソリンスタンドの給油機の「ハイオク」のノズル。「PREMIUM(プレミアム)」と併記されている
ガソリンスタンドの給油機の「ハイオク」のノズル。「PREMIUM(プレミアム)」と併記されている

 話を戻して、「オクタン価」とは何かというと、ガソリンに含まれる「isooctane(イソオクタン)」の比率のことです。そしてイソオクタンは、ガソリンを自然着火しにくくする成分です。

 なので、ハイオクはザックリ言うと「燃えにくいガソリン」で、レギュラーの方が燃えやすいガソリンということになります。

 ……そう聞くと「燃えやすい方がパワーが出るんじゃないか?」と、なんとなく矛盾しているようにも感じますが、これはエンジンのタイプや設計が関係しています。

 国産車でハイオクを指定するバイクは、いわゆるスーパースポーツ系などの高性能車が多く、これらのバイクのエンジンは大きなパワーを引き出すために「高圧縮」に設計されています。

 しかし圧縮が高いと、エンジンが吸い込んだ混合ガス(空気とガソリンが混ざったガス)が、高負荷や高温時に点火プラグの火花ではなく、勝手に燃え始めてしまう(=自己着火、自然着火)ことがあります。

ハイオクが指定されているホンダ「CBR1000RR-R FIREBLADE SP」
ハイオクが指定されているホンダ「CBR1000RR-R FIREBLADE SP」

 これが「ノッキング」と呼ばれる現象で、エンジンから“カリカリ……”や“チリチリ……”と異音が発生し、パワーダウンするだけでなくエンジンを傷める原因にもなります。

 そのため高圧縮なハイパワーのエンジンは、自己着火しにくい(勝手に燃えにくい=オクタン価の高い)ハイオクのガソリンを使うように指定し、それに合わせてエンジンを設計しているのです。

 対するレギュラーガソリンを指定するバイクは、一般的に(ハイオク指定車よりも)エンジンの圧縮が低く、もちろんレギュラーのオクタン価に合わせて設計しています。

 またそう聞くと、レギュラー指定のバイクに燃えにくいハイオクを入れたらダメなんじゃ……と感じるかもしれません。しかしハイオクはあくまで自己着火させないためなので基本的に問題はなく、キチンと性能を発揮できます。

 とは言え、繰り返しになりますが、レギュラーのオクタン価に合わせて設計しているので、ハイオクを入れたからといって、それ以上の性能が出るワケではありません。

 したがって、レギュラー指定のバイクにハイオクを入れても、レギュラーより価格が高い分のメリットは、基本的に無いと言えるでしょう。

ハイオク指定車にレギュラーを入れるのはNG!

 それでは、ハイオク指定のバイクにレギュラーを入れたらどうなのか? それはココまで読んだらもう理解していると思いますが、NGです。パワーを得るために高回転でエンジンを回し続ける時だけでなく、長い坂道を上り続けたり、気温の高い真夏に渋滞でダラダラ走るようなエンジンに高い負荷をかけると、ノッキングを起こしてエンジンが傷むからです。

燃料タンクの給油キャップ付近に貼られた、ハイオクの指定と注意を促すステッカー。写真はカワサキ「Ninja ZX-10R」
燃料タンクの給油キャップ付近に貼られた、ハイオクの指定と注意を促すステッカー。写真はカワサキ「Ninja ZX-10R」

 ……ですが、高回転や急加速などの負荷をかけずにおとなしく運転すれば、すぐにエンジンが壊れたり傷むようなことはありません。

 また、ハイオクとレギュラーは、トイレの洗剤のような「まぜるな危険」ではないので、たとえばガソリンスタンドで間違えてレギュラーを入れてしまったような場合は、なるべくおとなしく走って、ガソリンが減ってきたらハイオクを入れれば(オクタン価が上がるので)問題ありません。

 ちなみに、現行車の中にはエンジンに「ノッキングセンサー」を備える車両もあり、オクタン価が低いレギュラーを入れてしまった場合には点火時期などを自動調整してノッキングを防ぐ機構もあります。

 とは言え、本来のパフォーマンスを下げて破損を回避する機能なので、レギュラーでも大丈夫ということではありません。

 さらに言うと、たとえば新車からのメーカー保証期間内のバイクであっても、万一故障したときに指定と異なるガソリンを使っていることが発覚すると、誤った使用方法だと判断されて保証が効かなくなる場合もあります。

 というワケで、レギュラー指定車にハイオクを入れてもメリットは無いし、ハイオク指定車に間違えてレギュラーを入れてしまっても控えめな運転をすれば大きな問題はありませんが、いずれも指定を守ることが間違いない、と言えるのではないでしょうか。

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Writer: 伊藤康司

二輪専門誌『ライダースクラブ』に在籍した後(~2005年)、フリーランスの二輪ライターとして活動中。メカニズムに長け、旧車から最新テクノロジー、国内外を問わず広い守備範囲でバイクを探求。機械好きが高じてメンテナンスやカスタム、レストアにいそしみ、イベントレース等のメカニックも担当する。

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