カワサキ「Z2」エンジン 予熱段取りで塗装の「タレ流れ」を防止 DIYでガンコートペイントに挑戦!! 〜日本の至宝「空冷4発」を未来へ継承〜Vol.24

ある程度までペイントが進んだら、重いシリンダーでも持ち上げ、光にかざして冷却フィンの奥がしっかり塗れているか確認しましょう。LEDライトを照射して、フィン奥を確認するのも良いです。ペイントが薄い部分を発見したら、追加吹きしましょう
シリンダーヘッドも、シリンダーと同様に奥深い冷却フィンなど、見え難い部分からペイント作業を進めていきます。エキパイのスタッドボルトもしっかりマスキングしました。至近距離から吹いても、ガンの吹き付けセッティング次第でタレにくいです
1液仕様のガンコートだから塗る作業が楽しいです。ネタ切れになり、カップ内に塗料を補充する際にも、補充前の容器缶は必ずシェイク、濾過フィルターを通してゴミの混入を避けましょう。ガンコートの顔料は一般ペイントと比べて沈殿しやすい特徴があります
シリンダーやシリンダーヘッドのように奥深く見え難い部分のペイント時には、ガンノズル口径φ0.6mm仕様の方が扱いやすかったです。一方、クランクケースのように大型部品で平面部分が多いパーツは、やや太いノズルのφ1.0mm仕様が塗りやすかったです
ガンノズル正面のパターンを90度切り替えることで、縦吹き&横吹きのパターンチェンジを簡単に行うことができます。それがペイントガンの機能です。ガンノズル先端の洗浄が行き届いていないと、パターン調整できなくなることもあります
ペイント後の各パーツは長机作業台の上で常温乾燥させました。塗膜が薄いので、常温でも15分程度待つと、指先で優しく触れられるほど表面が乾いてくれるのがガンコートです。ある程度の常温乾燥後に、いよいよ高温乾燥工程です
常温乾燥時のサテンブラックは、完全な真っ黒ながらツヤありの見た目になりました。乾燥後は、真っ黒でも半ツヤ仕様になります。乾燥後は塗膜が締まり、密着度が高まって、アルミ鋳物部品特有の風合いが、より一層再現される仕上がりになります
平面部分が多いクランクケースも仕上がりましたが、平面部分が広いクランクケースやヘッドカバーなどは、ノズル口径φ1.0mmの方が絶対的に塗りやすくキレイに仕上がり、作業性が良いと思います。ガン交換すれば良かったです、反省
20分くらい経過したところで、全ペイントパーツのマスキングテープをすべて剥がしました。一般のマスキングテープなので、このまま高温乾燥させると紙テープが部品に焼きついてしまい、剥がすのが大変になってしまいます
シリンダーフィン端面のアルミ地肌露出部分も忘れないように剥がします。マスキングしないままペイントして、乾燥後に削って地肌を露出されることもできます。しかし、このやり方の方が仕上がりは良いように思います
テープ幅が足りずマスキングミスしてしまった部分には、残念ながらペイントが回りこんでしまいました。こんなときは、ウエスにアセトンを染み込ませ、ミスした部分を拭き取ってしまいます。乾燥前の状態なら、アセトンで簡単に拭き取り可能です
シリンダーヘッドの奥まった部分にマスキングを施したスタットボルトの座などは、ピンセットで取り除くのがベストです。くれぐれも剥がし忘れが無いように注意しましょう。マスキングテープを剥がし忘れると、後々の処理がとにかく大変になります
常温の乾燥機にパーツを並べてスイッチONにすると、180℃に達するまでには45分程度必要でした。一気に温度上昇してしまうと、塗膜が湧いてしまうことがあるため、ゆっくり温度上昇します。乾燥後は、自然放置で温度が下がるのを待ちましょう
シリンダーヘッドとシリンダーの左右冷却フィンエッジには、敢えてペイントが施されていないカワサキZ2Eエンジン。その純正スタイルを踏襲して、ガンコートペイントのサテンブラックで仕上げてみました。DIYペイントながら、仕上がりは上々です
プロペインターはガンさばきが上手で、吹き付け過ぎてタラしてしまうようなことはありませんが、我々のような素人のDIYペイント作業では「そうは問屋が卸さない」といった感じです。失敗から少しでも回避できるように、パーツは事前温め=プリヒートによって温め、タレや流れの防止と密着促進を図ってみることにしました。プリヒートは間違いなく効果的です
深い冷却フィンが並ぶシリンダーに関しては、奥深くの見え難い部分からペイント開始して、徐々に露出部分(外側へ)へ移行しながら吹き付けていくのが良いようです。プリヒートに助けられ、塗料がタレることはありませんでした
シリンダーを横置きにしてフィンの奥を塗る場合は、ガンノズル正面の吹き付けパターンを横吹きにして、ムダ無く密着するように奥から吹き付けるのが良いようです。プリヒートでパーツが温まっていると、重ね吹きしてもタレにくい印象です
カーベック製高温乾燥器CV-600を使って焼き付け乾燥させました。クランクケースの上下セットとそれ以外の部品の組み合わせで、2回に分けてすべての部品を乾燥できました。さらに大きな乾燥器なら、1度にすべての部品を焼き付け乾燥できます
設定温度の180℃に達してから、1時間の乾燥時間になります。板ものパーツは温度が上がりやすく乾燥状況も良いですが、エンジンパーツのように複雑な形状で熱が均一に入り難い場合は、同じ設定で2度焼きすれば確実に乾燥すると思います
ヘッドカバーは比較的塗りやすい部品です。ペイント部品で唯一ポリッシュ仕上げが入るカムシャフト部の両外側のバフ掛けは、カバー類の仕上げと一緒に磨き業者へ依頼して、仕上げて頂きました

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