ホンダ「RC45(RVF750)」 ワークスレーサー譲りのスペックを市販車に投入したV4マシン!
レースで勝つために開発されたホンダのRC45(RVF750)は、750ccV4型エンジン搭載の最強マシンです。スーパーバイク世界選手権や鈴鹿8時間耐久で活躍しました。
レースに勝つために市販されたRC45
市販車がベースのスーパーバイク世界選手権は、1000ccまで許されていた2気筒マシンを採用するドゥカティの台頭がホンダを苦しめましたが、97年にはカストロール・ホンダチームでRC45(750ccV4)を駆る米国人ライダー、ジョン・コシンスキーがシーズン9勝を挙げライダーズタイトルとマニュファクチャラーズタイトルの2冠を獲得します。また、鈴鹿8時間耐久においてRC45(RVF750)は、5度優勝しています。
RC45(RVF750)は、RC30(VFR750)の代わりになる車種として1994年に登場。スーパーバイク世界選手権のレギュレーション変更に伴いレースに勝てずにいたホンダが開発したマシンです。SBKのレギュレーションでは、市販車改造での参戦のみ可能だったためフレームやエンジンはレースに対応する新設計のものが採用されています。
エンジンは、新設計の水冷・4サイクル・DOHC・4バルブ・V型4気筒・749ccで、ホンダ独自のカムギアトレーン(カムシャフトを歯車で駆動する方式)を従来のエンジン中央から右端に配置変更し、カムシャフトの長さを短くし、ギア枚数やベアリング数を減少させることで、高剛性化とフリクションロスの低減を実現。さらに、エンジンを隅々まで見直しワークスチューニングではなく、HRCキットパーツを使い150psを発生させていました。
フレームは、ホンダ独自の薄型のアルミツインチューブのダイヤモンド形式、フレーム剛性や軽量化も両立させるために、ヘッドパイプ廻りやピボット部にアルミ鋳造パーツを採用し、フレームのねじれや、たわみの均一化を図りながら剛性感のある操縦性を実現させています。
外観は、ワークスマシン「RVF750」のイメージを踏襲、V型4気筒エンジンのスリムでコンパクトな特徴を活かし、空気抵抗を極力抑えながら各部に徹底したエアマネジメントが施されています。
RC45(RVF750)の国内販売価格は、200万円(1994年)でした。
ケニー・ロバーツの秘蔵っ子とも言われたジョン・コシンスキーは、1990年に世界グランプリ250ccチャンピオンを獲得、翌年から500ccクラスにステップアップするもチャンピオン獲得には至りませんでした。1996年からスーパーバイク世界選手権に参戦、1997年カストロール・ホンダへ移籍し、参戦2年目ホンダにとって8年ぶりにチャンピオンを獲得します。コシンスキーは、翌年世界グランプリ500ccへ復帰しますが、成績を残すことはできず1999年に現役を退いています。
■RC45(RVF 750)諸元
全長×全幅×全高:2110mm×710mm×1100mm
車両重量:211kg
エンジン形式:水冷・4サイクル・DOHC・4バルブ・V型4気筒
最高出力(国内仕様):77ps/11500rpm
最大トルク:5.7kgm/7000rpm
燃料タンク容量:18リットル
フレーム形式:ダイヤモンド
【了】