エンジンを搭載した自転車 ペダルが付いたバイク「モペット」とは?

ペダルで漕ぐ自転車にエンジンを載せたモペットは「原動機付き自転車」です。人によっては懐かしくもあるモペットですが、実際に乗るにはどのような注意が必要なのでしょうか。

モペットの本当の意味

「モペット」という乗りものは、ペダルで漕ぐ自転車にエンジンを搭載し、ペダルで漕いだり、エンジンの動力で走行可能です。

ホンダ「カブF型」(1952年)

 その呼び名はエンジンを示す「Motor(モーター)」と「Pedal(ペダル)」を合わせた「Moped(モペット)」とされています。そのまま読むとモペッ「ド」ですが、日本ではモペッ「ト」と呼ばれることが多いようです。

「原付」は「原動機付自転車」のことですが、まさにペダルの付いたモペットを示したことが始まりです。

 現在は似たような乗りものに電動アシスト自転車がありますが、あくまでアシストであってペダルを漕がなければ前に進みません。ペダルを漕がなくても前に進むのがモベットになります。公道を走るためにはナンバープレートや保安部品、運転免許、そしてヘルメットの装着が必要です。

 日本では戦後に登場した自転車に取り付けるためのエンジンが人気を集め、ホンダの「スーパーカブ」の前身となる「カブF型」もそのひとつです。市販の自転車を改造して「カブF型」を装着し、モペットとして多くの人が乗っていた歴史もあり、当時を知る人には懐かしい乗り物でもあります。

モペットの歴史は原付の歴史

 日本の原動機付自転車の歴史は長く、登場当時は免許不要、ヘルメット不要で乗ることができる手ごろな乗り物として親しまれてきました。

ホンダ「A型」(1947年)

 現在のスバルやホンダもモペットづくりに参加し、何百という企業が生き残りをかけて熾烈な争いがあったといわれ、2輪業界に活気があふれた時期のひとつとも言われています。

 その後も1974年発売のダイハツ「ソレックス」や1984年のホンダ「ピープル」など、ペダル付きの原動機付自転車が販売されました。

 しかし自転車のような外見で原動機を搭載したスタイルが主流になることはなく、その数は徐々に減少し、原動機付き自転車の多くはペダルの無いエンジンのみの車両へと移行していきます。ただしモペットが完全に消滅したわけではなく「Tomos」など輸入車の一部は国内で入手可能です。

ホンダ「ピープル」(1984年)

 近年では動力をガソリンエンジンではなく電気モーターとしたものや、インターネット通販でモペット化キットを入手できるようになりました。また、自転車へ後付けエンジンを取り付けたものもあり、かつてのモペットの姿がリバイバルしたとも言えます。

 なかには電動アシスト自転車の見た目に近い、自走する電動自転車もあり、これもモペットのひとつと言えます。

モペットは、あくまでバイク

 モペットは気軽に乗れて非常に便利な乗り物です。しかし、エンジンやモーターを使用して走行するときはもとより、ペダルを漕いで走行していても原動機付自転車であり、免許やヘルメットが必要というルールになっています。

 もちろん車両には原付と同様にウインカーやスピードメーターなどの装備や、原付の交通ルールを守る必要があります。

 その一方で、販売店が「原付」であることをあまり説明せず自走する電動自転車を販売してしまう事例もあり、取締が強化されています。

 ナンバーを付けずに公道を走行したり、免許を持たない、ヘルメットをかぶらないなど、厳しく罰せられることになります。

 原動機付自転車は歴史が長く、見た目も個性的なものが多い乗り物ですが、あくまでバイクということを忘れないことが重要です。

【了】

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