歯磨きでお馴染み? あの「サンスター」は自転車用ディスクローターも製造している

歯磨きでお馴染み、日本の老舗メーカー「SUNSTAR(サンスター)」は、モーターサイクル用のディスクローターやスプロケットのほか、自転車用のディスクローターやパッドも製造しています。

じつは自転車からはじまった「サンスター」の歴史

「SUNSTAR(サンスター)」と聞くと、バイクユーザーならディスクローターやスプロケット、一般的には歯磨き粉を連想するかもしれませんが、そのイメージは間違っていません。

SUNSTAR(サンスター)社は1932年の事業スタート以来、90年も続く日本の老舗ブランド。自転車用ブレーキローターやブレーキパッドも製造している
SUNSTAR(サンスター)社は1932年の事業スタート以来、90年も続く日本の老舗ブランド。自転車用ブレーキローターやブレーキパッドも製造している

 サンスター社は1930年代に自転車タイヤ・チューブ用ゴム糊を開発し、1946年にはゴム糊のチューブ技術をもとに、チューブ入り練り歯磨きを発売しています。同時に、自転車やモーターサイクルのスプロケット事業に参入し、現在モーターサイクルにおいてはシェア60%を確立しています。

 自転車に縁のあるサンスター社は2005年、イタリアのディスクブレーキブランド「BRAKING(ブレーキング)」社をグループ傘下企業とし、サンスターの製造技術と融合した「SUNSTAR BRAKING(サンスター・ブレーキング)」が新しいプロダクツの開発を進め、2010年にはMTB(マウンテンバイク)ダウンヒル用のウェーブディスクとパッドを発表し、これまで140個以上の世界タイトル獲得に貢献しています。

 特殊耐熱鋼をレーザー加工により、高い精度を実現しています。カットしたエッジは鋭く、ブレーキパッド表面を均一に剥ぎながら安定した制動力を発揮し、またパッドの消耗も左右均一となります。

 そんなサンスター・ブレーキングが作り出す自転車用ディスクローターには、「WAVE(ウェーブ)」、「BATFLY(バットフライ)」、「EPTA(エプタ)」というテクノロジーが投入されています。

サンスターブレーキング「EPTA-STAGE 0(エプタステージゼロ)」は、ダート系(エンデューロ、クロスカントリー、フリーライド、ダウンヒル、e-BIKE)に向けた異なる素材を組み合わせた2ピース構造のディスクローター
サンスターブレーキング「EPTA-STAGE 0(エプタステージゼロ)」は、ダート系(エンデューロ、クロスカントリー、フリーライド、ダウンヒル、e-BIKE)に向けた異なる素材を組み合わせた2ピース構造のディスクローター

 ウェーブはその名の通り、ローターの外周を波形状とし、摩擦による熱でローターが膨張した際の歪みを防ぎます。バットフライはディスク面に溝加工を施し、放熱性、泥などを排出するクリーニング性を備えます。そしてエプタは、過酷なモーターサイクルレースから生まれたハイエンドモデルに採用される技術で、異素材との特別な接続構造により、ハブへのストレスが少なく、ダイレクトで強い制動力を発揮し、ディスク全体の温度が一定に保たれるため熱コントロールの最適化も実現しています。

 ウェーブ形状や肉抜き、溝の向き、トラスの組み方はすべて放熱性、クリーニング性、制動力につながり、サンスター・ブレーキングの製品はカタチそのものが優れた性能を表していると言って良いでしょう。

 最新のラインナップとしては、「EPTA-STAGE 0(エプタ・ステージ・ゼロ)」をハイエンドモデルに、「LIGHT WAVE(ライト・ウェーブ)」、「WAVE FIX (ウェーブ・フィックス)」など、ダートからロード、e-BIKE向けまで、ハードな使用環境でも優れた性能を発揮するモデルを揃えています。

【画像】SUNSTAR BRAKINGの自転車用ディスクローターをもっと見る(6枚)

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Writer: 山本健一

サイクルジャーナリスト(人力バイクのほう)。ジャーナリスト歴20年、自転車競技歴25年の公私ともに自転車漬け生活を送る。新作バイクレビューアー、国内外レースイベントやショーの取材、イベントディレクターなど、活動は多岐にわたる。

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