スズキ「Vストローム」末弟が双子になり250アドベンが2023年はトレンドに!? 油冷エンジンの“SX”で確信!!

Vストローム、ヴェルシス、CRFラリー、大排気量でなくとも充分じゃないかと人気を集める250ccアドベンチャーが、さらに熱気を帯びてきそうです。バイク館イエローハットのメディア向け試乗会に参加し、VストロームSXに乗った青木タカオさんが太鼓判を押します!

スズキ「VストロームSX」(インド仕様)を試乗する筆者(青木タカオ)
スズキ「VストロームSX」(インド仕様)を試乗する筆者(青木タカオ)

インドからやってきた!

 ゆったりとした穏やかなハンドリングに加え、落ち着きのある車体に搭載され、軽快に回って扱いやすいエンジン。トータルバランスに優れ、さすがは玄人好みと高く評されるVストロームシリーズの末弟ではありませんか!

 乗ってニンマリ。インドで2022年春にデビューすると、日本でも人気となっている250ccアドベンチャーとあって注目を集めた『VストロームSX』です。

 国内発売を望む声が上がり、2022年11月にスズキ本社(静岡県浜松市)にておこなわれた「Vストロームミーティング」では実車を本邦初披露し、日本導入も明らかにしました。今回、バイク館イエローハットのメディア向け試乗会にて、一足先にインド仕様に乗ることができましたのでレポートいたしましょう。

スズキ「VストロームSX」(インド仕様)と筆者(青木タカオ)
スズキ「VストロームSX」(インド仕様)と筆者(青木タカオ)

伝統のくちばしスタイル

 実車を見てまず感じるのは、250ccクラスのシングルモデルにしては大きくて立派であること。クチバシのようにノーズが目立つデザインは、長兄『Vストローム1050/XT』譲りであり、ファラオの怪鳥「DR-Zeta」から受け継ぐスズキ・アドベンチャーモデルの伝統です。

スズキ「Vストローム250 ABS」
スズキ「Vストローム250 ABS」

 スズキの軽二輪クラスには『Vストローム250 ABS』があるものの、棲み分けはしっかりできそうです。Vストローム250が前後17インチの足まわりを持つ車体に水冷SOHC2バルブ並列2気筒を積むのに対し、SXはフロントを大径19インチにし、エンジンもジクサー250譲りの油冷SOHC4バルブ単気筒エンジンと別モノ。国内ラインナップに名を連ねるのは共存できるからこそで、合点がいきます。

スズキ「VストロームSX」のシート。クッション厚のしっかりとあるセパレートシートが採用されています
スズキ「VストロームSX」のシート。クッション厚のしっかりとあるセパレートシートが採用されています

ゆとりあるライポジで長旅も◎

 シート高はVストローム250が800mmであるのに対し、835mmと若干高め。クッション厚のしっかりとあるセパレートシートで、乗り心地を重視しているのがツーリング派にも嬉しいところです。

 身長175cmの筆者が跨ると、両足を出してもカカトが若干浮く程度でつま先はしっかり着地。絞り込まれたシート形状で足を地面におろしやすく、足つき性に不安はありません。

 Vストローム250がそうであるように、クロスオーバーモデルらしいクラスを超えた大柄な車体で、ライディングポジションはゆったりとしたもの。シングルモデルになっても、シャシーを小ぢんまりとコンパクトにしなかったのは英断と言えるでしょう。

 車体重量は167kg(インド仕様)で、Vストローム250より22kg軽くなっています。片足立ちならカカトまでベッタリと足が地面に届き、取り回しも苦にしません。

 ちなみに同系エンジンを積む『ジクサー250』は154kg、フルカウルの『ジクサーSF250』でも158kgと、ライトウェイトスポーツを追求していることが改めてわかります。スズキの軽二輪には、さらに軽い『ジクサー150』(139kg)もありますから、このセグメントの充実ぶりには眼を見張るものがあります。

スズキ「VストロームSX」に搭載された油冷エンジン
スズキ「VストロームSX」に搭載された油冷エンジン

ついにアドベンにも活用、スズキの油冷!

 ジクサー250シリーズの油冷単気筒エンジンは乗り手の意志に従順で、扱いやすくも元気ハツラツとした爽快感で定評のあるパワーユニット。スロットル操作に忠実なレスポンスを見せつつ、高回転域までフラットによどみなく回り、低回転でもトルクをしっかり発揮してくれます。

スズキ「VストロームSX」
スズキ「VストロームSX」

 フロントに大径19インチホイールを履き、ハンドリングはおらかな。スイングアームはジクサーシリーズより95mm長く、ホイールベースをVストローム250より15mm長い1440mmとしたことで、車体に落ち着きを持たせています。

正立式のフロントフォークやモノショック式のリヤサスペンションはジクサーと共通と見られ、セッティングもシャキッとしていて、ペースを上げても踏ん張りが効く足まわりとしています。タンデムや荷物の積載を考慮しても、この味付けに異論はありません。

スズキ「VストロームSX」
スズキ「VストロームSX」

このクラス、活性化の予感!!

抜群の人気で、バイク館での予約が順調に埋まっているというのも頷けます。「機能的に見ても充分」と好評を博する250ccアドベンチャーが、新星登場でさらに活性化すること間違いなしでしょう。

こうなってくると、フロント21インチでスポークホイールにした、よりオフロード寄りの軽二輪アドベンチャーの登場も期待せずにいられません。今後ますます、目が離せないセグメントになりそうです。

【画像】スズキ「VストロームSX」を画像で見る(27枚)

画像ギャラリー

Writer: 青木タカオ(モーターサイクルジャーナリスト)

バイク専門誌編集部員を経て、二輪ジャーナリストに転身。自らのモトクロスレース活動や、多くの専門誌への試乗インプレッション寄稿で得た経験をもとにした独自の視点とともに、ビギナーの目線に絶えず立ち返ってわかりやすく解説。休日にバイクを楽しむ等身大のライダーそのものの感覚が幅広く支持され、現在多数のバイク専門誌、一般総合誌、WEBメディアで執筆中。バイク技術関連著書もある。

最新記事