車検が通らない?バイクのエンジンの載せ替え費用とは

バイクにとって最も重要な核パートであるパワーユニット、エンジン。バイクの心臓部分と言ってもいい部分です。そのエンジン、チューンアップなどの限界や寿命による性能低下など、さまざまな理由から載せ替えを検討されているユーザーもいるでしょう。では、バイクのエンジン換装は、どのように進めていけばいいのでしょう。

バイクのエンジンを勝手に換装すると、車検は通らない?

 バイカーにとっての楽しみのひとつに、愛車のカスタマイズが挙げられます。そのカスタム化の大きな理由・目的は、エクステリアのドレスアップや快適性・利便性の追及など、さまざまでしょう。今のバイクに愛着があって、寿命を迎えたパーツを新調して寿命を延ばそうとする場合もあるでしょう。

寿命を迎えたエンジンを載せ替える方法もあります

 しかし、もちろんそこにはルールがあり、なんでも好きなように改造していいものではありません。しっかりと法規基準を満たす必要があります。となると、そこで気になるのが、改造・カスタマイズしたバイクは、車検が通るのかという問題です。

 そもそも車検は、軽自動車検査協会によると、車体の使われ方やドライバーの車体への考え方が多様であることから、個々の車両が保安基準に適合していることを確認するのが目的である、とされています。これらは『道路運送車両法』、すなわち国の法律に記されています。つまり、保安基準に適合していればいいのです。

 では、どうすれば保安基準に適合していることが証明されるのでしょうか。エンジンを載せ替えるということは『改造自動車(バイク)』ということになります。独立自動車自術総合機構(NALTEC)によると、「改造自動車」とは、自動車製作者により製作された自動車の車枠及び車体、原動機、動力伝達装置などの各装置を変更や加工など改造を行ったものを指します。

 自動車の改造内容が、「安全上重要な部分又は目視等で容易に確認できない部分にわたっている自動車は、事前に届出書面を審査することにより適合性審査を行います」と記されています。つまり、事前の届け出が必要となります。

改造概要等説明書

 届け出書類の内容は、?改造自動車届出書?改造概要等説明書?その他添付書類(自動車を特定する資料、技術基準等への適合性を証する書面、保安基準適合検討書、改造部分詳細図、外観図、改造部分詳細図、強度検討書等)です。

 改造自動車届出書と改造概要等説明書に関しては、NALTECのサイトからダウンロードできるのですが、その他添付書類を集めるのは困難かと思います。少しでも分からない部分があれば、ディーラーやカスタムショップに相談してから載せ替えを実行するのがいいでしょう。

 ちなみに「バレなかったらいいのでは?」「250cc以下のバイクだから車検はないし別に大丈夫じゃないの?」と思うかもしれませんが、改造内容が、安全上重要な部分又は目視等で容易に確認できない部分にわたっている場合は届け出が必要です。エンジンは安全上とても重要な部分です。また、素人目に見て目視で載せ替えしているかどうかを判断するのも困難です。必ず載せ替えを行った際には届け出を提出しましょう。

エンジン載せ替えにかかる費用の目安とは

 ここまで、エンジンを載せ替えた時、どのような手続きがあるかなどをお伝えしました。次に肝心なのは、どの程度の費用を想定しておくかということです。

 バイクと言っても排気量はさまざまです。50ccのエンジンなのか1000ccを超えるエンジンなのかによって、エンジン単体の価格、工賃も変わってくるでしょう。それでも換装を検討する場合の工賃の目安は、東京に店を構える片山モータースによると、ヤマハ「マジェスティ250」を例に見積ると、工賃のみで4万円だそうです。そこに別途ホースなどの部品代、そしてエンジン価格が必要です。

ヤマハ「マジェスティ250」

 排気量はもちろん、ストリート用なのかレース用なのかによっても金額が変わってくるそうです。今回のマジェスティ250だと、仮にエンジンを5万円で購入したとしたら、10万円程度の金額が必要なわけです。その他のパーツは大丈夫なのか、エンジンは変えたけど他の部分の耐用年数は何年なのか。全体のバランスを見て判断することが大切でしょう。

 今のバイクに愛着がとてもあって、どうしてもエンジンを載せ替えてでも走り続けたい!という思いがあればいいのですが、場合によってはエンジンの載せ替えではなく、新車に乗り換えた方が安い場合もあります。そのあたりも十分に吟味すべきでしょう。

 費用が分かったところで、エンジンの選択です。重要なのは、購入予定のエンジンが合法製品なのか、ということです。違法製品を積むとその時点で違法改造車両になってしまいます。また、メーカーの純正品であっても車種や年式、メーカーのリコール対応前後かどうかの確認も必要だそうです。どの年式のエンジンなのかによって作業内容が変わることもあるようなので、オークションで落札する際など、あらかじめ出品者に確認しておくべきでしょう。

※ ※ ※

 バイクのエンジン換装というのは、事前の手続きも必要で、とても大変な作業というイメージを持たれるかもしれません。たしかに複雑な部分・行程があります。が、それだけバイクの重要な部分だと言えます。

 工賃も決して安くはありません。安くて10万円は見積もっておいた方がいいでしょう。ですが、バイカーにとって金額云々ではないということは、重々承知しています。思い出が詰まったバイクなので、エンジンを載せ替えてでも走らせ続けたい思いもあるでしょう。エンジンを載せ替えたほうがいいのか、バイクを乗り換えたほうがいいのか、費用対効果はもちろん、自分が後悔しない選択を是非心がけてください。

【了】

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