名車ホンダのレジャーバイク「ダックス」の歴史に注目

ホンダの名車「ダックス」が23年ぶりに復活!どのような歴史を歩んできたモデルなのか。

語り継がれる名車、ホンダ「ダックス」の歴史とは?

 2022年3月19日に開催された大阪モーターサイクルショーにて、ホンダ「ダックス」の復活が発表されました。初代モデル発売から、23年目となる今でも語り継がれているダックスは、どのような歴史を歩んできたバイクなのでしょうか。

モーターサイクルショーで世界初公開されたホンダの新型「DAX」
モーターサイクルショーで世界初公開されたホンダの新型「DAX」

 そもそも、ホンダ「ダックス」は、レジャー産業の需要が高まりつつあった高度経済成長期に、同社の「モンキー」に続くレジャーバイクとして、1969年に登場しました。

 現在ではダックスと呼ばれていますが、発売当初の正式名称は「ダックスホンダ」として販売されていました。小さな車体と低重心、かつ長いホイールベースが特徴で、猟犬のダックスフンドに似た胴長短足のスタイルから、その名がつけられたと言われています。

 初代ダックスは、マイナーチェンジを繰り返しながら製造されましたが、国内での販売は1981年で一旦終了しています。その後、1995年に初期デザインを限りなく再現した復刻モデルが復活しました。

1969年に販売を開始した初代ダックス
1969年に販売を開始した初代ダックス

 また、1969年に販売を開始した初代ダックスは、クルマに積めるレジャーバイクとして登場しました。50ccの「ST50」と、72ccの「ST70」の2つの排気量に加え、「スタンダード」と「エクスポート」の2種類モデルをラインナップしていました。

50ccのダックス ST50 エクスポート」
50ccのダックス ST50 エクスポート」

 脱着できるフロント部分や折りたためるハンドル、横倒しになっても漏れないガソリンタンクなどの機構を備え、クルマのトランクに積み込むことを想定したコンセプトをアピールしたモデルといえます。

 まず、スタンダードは兜(かぶと)のような形状の通称「カブトフェンダー」が特徴のモデルです。一方、エクスポートは前後ショートフェンダーやアップマフラーを採用したモデルで、異なる2つのスタイルが存在しました。ミッションには3速の自動遠心クラッチを搭載し、前後のホイールには10インチサイズが採用されています。

 また、1971年にはグレードが追加され、自動遠心クラッチからクラッチ付き4速ミッションに変更した「ダックス スポーツ-Ⅰ」が登場しています。 折りたたみ式ハンドルから、強度を高めたバー付きの固定ハンドルに変更し、タイヤ幅を3.50から4.00に拡大させていることに加え、盗難防止のハンドルロックを装備しています。

 さらに、翌年の1972年には、不整地での走破性能を高めた「ダックス スポーツ-Ⅱ」が追加されました。ダックス スポーツ-Ⅱは、オイルダンパー式フロントフォークやエンジンガード、別体式スピードメーターなどを装備し、スポーツ走行を意識した「スポーツ-Ⅰ」の上位版モデルとなっています。

 ちなみに、1971年からのエクスポートモデルとスポーツモデルには、白いボディに花柄のシートを施した「ホワイトダックス」というスペシャルカラーバージョンが存在しました。

ダックスVl(1978)
ダックスVl(1978)

 そして1976年には、マイナーチェンジをおこない「ST50」と「ST70」に「Vl型」と「Vll型」をラインナップしました。

 70年代終盤には、アメリカンモデルの流行とともに、ダックスも1979年にフルモデルチェンジをおこない、スタイルを一新し、バックレストシートにチョッパースタイルが採用されました。

3速自動遠心クラッチを搭載した「ST50-C(1979)」
3速自動遠心クラッチを搭載した「ST50-C(1979)」

 これにより、3速自動遠心クラッチの「ST50-C」と4速マニュアルクラッチの「ST50-M」の2種類となり、70ccモデルは廃止されました。あわせて、ロングストロークフロントフォークやメガフォン型アップマフラー、透過式メーターなど大幅に改良され、DAXのロゴも変更されています。その後、1981年まで生産されたのち、このモデルを最後にダックスは販売終了となります。

1995年に初代モデルの復刻版として復活した「DAX」
1995年に初代モデルの復刻版として復活した「DAX」

 それから14年後の1995年に、初代モデルの復刻版として復活し、名前もダックスホンダから「ダックス」に変更されました。車体サイズやデザインを初代に限りなく近づけていますが、MFバッテリーや12VのCDIマグネット点火など電気系統に現代的な変更がされています。

 しかし、最高出力2.6psと過去モデルよりもパワーダウンしたせいもあり、販売は振るわず1999年に生産終了となっています。

1972年にオフロード仕様の「マイティーダックスST90」
1972年にオフロード仕様の「マイティーダックスST90」

 その他にも、派生モデルとして1972年にオフロード仕様の「マイティーダックスST90」が発売されました。低中速域を重視した、スーパーカブ90系のエンジンを搭載し、14インチのスポークホイールや正立フロントフォーク、前後アップフェンダーを備え、ダート走行を可能にしたモデルです。

1973年に新設計のダイヤモンドフレームに角目ライトを装備した「ノーティダックスホンダCY50」
1973年に新設計のダイヤモンドフレームに角目ライトを装備した「ノーティダックスホンダCY50」

 また、翌年の1973年には、CB50の縦型エンジンを搭載し、新設計のダイヤモンドフレームに角目ライトを装備し、既存モデルと大きく異なる外観の「ノーティダックスホンダCY50」が登場しています。

原付二種クラスの新型「ダックス125」を世界初公開
原付二種クラスの新型「ダックス125」を世界初公開

 そして2022年3月19日から開催された大阪モーターサイクルショー2022にてホンダは原付二種クラスの新型「ダックス125」を世界初公開しました。23年ぶりの名車の復活に心を踊らせながら待つ時間も、良いものかもしれません。

※ ※ ※

 登場以来、時代の変化とともに少しずつ改良を重ねてきた「ダックス」ですが、1999年の復刻版を最後に残念ながら生産を終了しています。

 しかし、新型「ダックス125」が世界初公開されたことで、今後もさまざまな派生モデルが発表されるかもしれません。日本での販売日や価格は未発表ですが、今年中の販売が予想されており、楽しみに待つユーザーも多いことが予想されます。

【画像】ホンダ「DAX(ダックス)」の画像を観る(15枚)

画像ギャラリー

最新記事