「やたらとブレーキレバー握ってない?」 自転車屋のスタッフに見られる不思議な行動の理由とは

自転車を修理などで専門店に預けると、ほぼ100%の確率でブレーキレバーを握るスタッフの姿が気になったことはないでしょうか。これは遊んでいるわけではなく、ブレーキの状態をチェックしているのです。

真面目にブレーキをチェックしています

 自転車の修理を専門店へ持ち込んだ時に、なぜかスタッフが修理とは関係のないブレーキレバーをカチャカチャと握っている姿を見たことはないでしょうか? これは決して遊んでいるわけではなく、頼まれたわけでもないのにブレーキの状態もチェックしているのです。

専門店のスタッフはブレーキレバーの動きで状態をチェックしている
専門店のスタッフはブレーキレバーの動きで状態をチェックしている

 自転車屋のスタッフは、どのような修理で持ち込まれた自転車でも、新車であっても、プライベートでもブレーキレバーをカチャカチャ握りがちです。これは自転車が安心・安全に走行するための最重要部品であるブレーキに対して、その状態を把握することがクセのようになっているのです。

 自転車のブレーキは、基本的にはレバーに鉄製のワイヤーが接続されており、そのワイヤーで各種ブレーキ部品の可動部分を引っ張ることで制動力が発揮される構造になっています。

 ブレーキレバーを握ってまず確認しているのは、レバーが程よい力で握れる状態になっているかどうかです。

 ワイヤーの張りが緩いとレバーを握ってもブレーキが利かない、いわゆる「遊びが大きい」状態になります。種類によって異なりますが、ママチャリ(シティサイクル)の場合はグリップとレバーの間隔がだいたい3分の1から2分の1あたりでブレーキが利き始めるのが目安と言われています。

 逆にレバーの遊びが無い状態も問題です。少し握っただけでブレーキレバーに抵抗を感じる場合、ワイヤーの錆やほつれ、折れ曲がりなどが原因で引っかかっている可能性が考えられます。

 また、そのような場合はブレーキが利いている状態で走っていることもあり、車体に負担をかけ続けていたり、最悪の場合は車輪がロックしてしまう可能性もあります。

 ブレーキレバーの握りは緩くても固くても制動力に影響が出るため、ちょうど良い状態になっているかを確認しているのです。

毎日使う自転車のブレーキ、正常に作動していますか?
毎日使う自転車のブレーキ、正常に作動していますか?

 同様に、ブレーキレバーの「戻り」もチェックしています。多くのブレーキは板バネなどの部品により、握ったレバーを離すと元の位置に戻る仕組みになっています。手を離してもレバーが戻ってこない場合も、ワイヤーに何らかの不具合が発生している可能性が考えられます。これも制動力に悪影響を与えるので、レバー自体が問題なく動いているかどうかもチェックしています。この時、勢いよく手を離すので、ついカチャカチャと音がなってしまうことが多いのです。

 このように、自転車屋がブレーキレバーを何度も握る動作には理由があり、カチャカチャ音が耳について「客の自転車を弄んで……」と不快に思うことがあるかもしれませんが、自転車屋はいたって真面目です。もし修理の提案があったら、ぜひ耳を傾けてください。

【画像】自転車のブレーキを見る(6枚)

画像ギャラリー

最新記事