「自動車関係功労者大臣表彰」 国交相から表彰されたバイク関係者5人の横顔

自動車関係功労者237人の表彰が2022年10月25日と26日の両日、国土交通省で開催されました。陸送、四輪関係者に混じり、26日にバイク関係者が表彰されました。バイクショップの4人の経営者と、自動車整備士1人の計5人が選ばれました。

バイク表彰でも珍しい、整備士の表彰

 国土交通大臣が自動車関係者功労者を表彰する「自動車関係功労者大臣表彰」は、その前身である部門ごとの表彰が1960年から始まり、2022年で62年目。近年は毎年約200人が表彰されています。ただ、バイク関係者が表彰されるようになったのは最近、2014年からです。

2022年10月25・26日、国土交通省にて自動車関係功労者に対して表彰式が行なわれた
2022年10月25・26日、国土交通省にて自動車関係功労者に対して表彰式が行なわれた

 2022年に整備士として表彰されることになった「スガワモーターサイクル」林敦司代表(61)は、整備士としてこの店に働いていました。林代表は表彰を受けて、決意を新たにしています。

「18歳から整備士となり、この店で働いていて整備士として43年。その間、表彰された先代も2年前に亡くなりました。後を引き継ぎ、整備士として安心安全を心がけてきました姿勢を、今後も貫いていきたいと思っています」

 このショップの当時の代表である須川健仁さんは2014年、バイク関係者として初めて表彰された対象者の1人でした。

 永年表彰を受けるためには、30年以上整備士を続けていることが大前提です。そのほかにもいくつかの条件があり、そのため表彰者の年齢構成は高くなるのですが、その中でも林代表は一番若手です。

 ほか4人の表彰者は、販売部門で法人や業界団体の役員を続けて、事業功労表彰を受けた人たちです。

「オートランド札幌」の山崎隆士社長(87)は、2022年バイク部門の最高齢です。1978年にバイク専門店としてスタートし、北海道初のバイク総合イベントを毎年開催しながら、スズキ軽四輪の総代理店として事業拡大も進めてきました。グループ全体で売上高16億7000万円(2021年6月期)を誇ります。

 山崎社長は次のように語ります。

「身に余る光栄。ありがとうございます。多くの人にご愛顧いただき、厚く御礼を申し上げます。過ぎてしまうと苦労はあっという間ですが、今も現役。どこまでできるか。さらに努力してご期待に応えたいと思います」

 地域に自転車屋もなくなり、自転車の修理や車椅子の修理まで、夫婦二人三脚で地域を支えているバイクショップからも表彰されました。石川県内灘町唯一のショップ「ホンダウイングあらき」の荒木正勝代表(77)は、「数多くの販売店の中から推薦を受けて光栄です。長くやってきた甲斐がありました」と言います。

 妻の恵美子さんは、荒木氏の仕事ぶりについて「うちのお父さんの取り柄はまじめだけ。地域仲良くで55年、地元郵便局の整備をして、うちに来るバイクはパンク修理で来ても、全部見てあげる。磨いて渡しているんです。そんなところを見ていただいてるのかなあ」と話します。

 埼玉県本庄市の「オートショップたけうち」は60年目を迎えます。表彰を受ける竹内孝夫代表(79)は二代目ですが、すでに四代目までスタッフに加わり、孝夫さんに代わって三代目が積極的にツーリングを主催しています。

「私の代で自転車からバイクに切り替えて経営してきました。本庄市内にも多くのバイク店がありましたが、もう6、7件。私のところが一番古くなりました。今は評判を聞いて遠方からお客さんが整備を来てくれるのがうれしい」(竹内孝夫代表)

 大阪市旭区の「共栄モータース」の山岡岩雄社長(72)は、ショップ経営と共に、大阪オートバイ事業協同組合が主催するバイク・オークションの委員長を29年間務めた業績が評価されました。

 バイク市場は中古車が占める割合が大きく、オークション取引の充実がバイクショップの魅力にもなりますが、業者間取引の重要性がなかなか理解されませんでした。山岡社長はこう話します。

「バイク・オークションも今やコンピューター取引が主流ですが、手ぜりから初めて、とにかく組合員のためにやるオークションだからとPRや説明をして、参加を増やしてきました」

 現在は相談役に退きましたが、はじめた時と姿勢は変わらないと言います。

「バイクショップやっている人は我が強いから、お互いににらみ合ってたら前に進まない。出品台数は減ります。来たらおもしろい、いろんな勉強になると、とにかく会場内を楽しくすることを今も考えています」(山岡岩雄社長)

表彰状を手渡した斉藤鉄夫国交相
表彰状を手渡した斉藤鉄夫国交相

 表彰状を手渡した斉藤鉄夫国交相は次のように謝辞を延べ、式が終了した後も平場で表彰者に頭を下げていました。

「社会のインフラとして重要な役割を果たしています。自動車の各分野に関わる人たちは、人や物の移動を支えるエッセンシャルワーカーとして大きな役割を果たしていただいています。改めて敬意を表するとともに感謝申し上げます」

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Writer: 中島みなみ

1963年生まれ。愛知県出身。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者を経て独立。行政からみた規制や交通問題を中心に執筆。著書に『実録 衝撃DVD!交通事故の瞬間―生死をわける“一瞬”』など。

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