日本市場で人気急上昇中のロイヤルエンフィールド。アジア太平洋地域市場の事業責任者、アヌージ・ドゥア氏が語る日本市場戦略の3つのポイントとは?【東京MCS2023】

「東京モーターサイクルショー」でNEWモデル「Super Meteor(スーパーメテオ)650」を日本初公開したロイヤルエンフィールド。日本で人気急上昇中で、好セールを記録しています。そこで、アジア太平洋地域市場担当事業責任者のアヌージ・ドゥア氏にロイヤルエンフィールドの日本市場戦略について伺ってみました。

日本市場で注目度急上昇中のロイヤルエンフィールド

 インドのロイヤルエンフィールドは、イギリスで発祥した現存する世界最古のモーターサイクルブランド。排気量250〜750ccの中排気量クラスで世界ナンバーワンのシェアを誇っています。今年から加わったという日本自動車輸入組合(JAIA)によると、1月からの累計では輸入車ブランドのシェア5位にランクイン。日本でも人気を集めています。

ロイヤルエンフィールドの新型「Super Meteor 650」とアジア太平洋地域市場担当事業責任者のアヌージ・ドゥア氏
ロイヤルエンフィールドの新型「Super Meteor 650」とアジア太平洋地域市場担当事業責任者のアヌージ・ドゥア氏

 ユニークなブランドで、そのラインナップのすべてに空冷エンジンを搭載。排ガス規制など時代の変化に対応したテクノロジーを取り入れつつも、伝統的な設計やデザインを守り続けています。

 そんなロイヤルエンフィールドが、3月24〜26日に東京ビッグサイトにて開催された「東京モーターサイクルショー」で最新モデル「Super Meteor(スーパーメテオ)650」を日本初公開!

 新設計のシャシーを採用したロイヤルエンフィールドの最上級クルーザーで、倒立フォークやLEDライトなどを初採用しています。

ロイヤルエンフィールドのアジア太平洋地域市場担当事業責任者のアヌージ・ドゥア氏
ロイヤルエンフィールドのアジア太平洋地域市場担当事業責任者のアヌージ・ドゥア氏

 今回の発表に合わせて、ロイヤルエンフィールドのアジア太平洋地域市場担当事業責任者のアヌージ・ドゥア氏が来日。そこで日本市場の評価、戦略、展望などについて伺ってみました。

ロイヤルエンフィールドが取り入れていくテクノロジーと守っていくレガシー

「バイクに乗るようになったのは8歳くらいの頃から。それは法整備が進んでいなかった昔の話で、今はすごく厳しくなってるからダメですが…。当時はインドの法律はママがつくると言われていたんですよ(笑)」

冗談を交えながらバイク愛を語るアヌージ・ドゥア氏
冗談を交えながらバイク愛を語るアヌージ・ドゥア氏

 冗談を交えながらバイク愛を語るアヌージ・ドゥア氏。免許制度におおらかだったという幼少期からバイクに親しんできたという生粋のモーターサイクリストです。

「モーターサイクルの楽しさ、繋がりをより広めるためのフィラー(空間や隙間を埋めるもの)でありたいと考えています。バイクを愛する友人として日本中に『ライド』する楽しさをもっと広めていきたい」

 そこでロイヤルエンフィールドが持つ『強みのあるユニークな設計』、『ライダーのコミュニティー』、『カスタマイズのしやすさ』の3つが重要だと考えているそう。

「まずはロイヤルエンフィールドのユニークな設計。見た目はクラシックで、シンプル。イージーで親しみやすいのが強みです。そのために、どのような新しい要素を取り入れ、いかに伝統的な部分を残していくかを毎月のように議論しています」

ロイヤルエンフィールドには、3つの要素が重要だと考えていると語るアヌージ・ドゥア氏
ロイヤルエンフィールドには、3つの要素が重要だと考えていると語るアヌージ・ドゥア氏

 特に新しいデザインや技術の採用には慎重で、開発チームが新しいプラットフォームを構築する時、何をどのように取り入れていくかを常に考えているという。

「新しいデザインについてはスケッチ、図面の段階から、どこを残してどうしていくのかを話し合っています。例えばカスタマー(顧客)はクラシックなデザインにこだわりがあります。なので、丸いシェイプやティアドロップのフューエルタンクなど、見た目の部分はなるべく変えないでいきたい」

東京都杉並区にあるロイヤルエンフィールド東京ショールーム
東京都杉並区にあるロイヤルエンフィールド東京ショールーム

 ブランドがよりよく進化する方向性を探るために、コンシューマー(消費者)、マーケット(市場)、そしてライダーの声に常に耳を傾けていると語ります。

「新しいテクノロジーは、ライダーにとって操作しやすく、簡単になるならば採用します。しかし、エンジンのサウンドやキャラクターは変えたくありません。ハイとローの強いトルクがあって、シングルエンジンの回転がグーッと上がっていく心地よさがあるんです」

ライダー仲間と走る楽しみを広げるグローバルなコミュニティー

 2つ目のポイントがライダーのコミュニティーです。日本でロイヤルエンフィールドに乗る楽しさを広めていくのには、さらに3つのプランがあるそう。

「日本中のライダーの方々、そのリージョン(地域)の人たちにライダーのコミュニティーに入ってもらうことが最初の糸口だと思います。ディーラーを拠点として、地元のライダーの友達が集まるような場を提供したい」

日本中を走って楽しめるコミュニケーションの場を提供することも考えている
日本中を走って楽しめるコミュニケーションの場を提供することも考えている

 さらにブランドが主体となって、日本中を走って楽しめるコミュニケーションの場を提供することも考えています。

「日本には富士山をはじめ、歴史的、文化的な背景を持つランドマークとなる場所がたくさんあります。そういった場所へ、ロイヤルエンフィールドで集まってみんなで行くことを指揮したい。ツーリングやミーティング、それらを一緒にしたイベントをどんどんやっていきたいんです」

 そして3つ目のプランは日本だけに留まらず、世界的な規模でライダーのコミュニティーを形成していくことを目標としています。

「世界にあるコミュニティーの拠点から日本に走りに来てもらいたい。逆に日本のライダーにも海外を走ってもらいたいと考えています。その一環としてヒマラヤでヒマラヤを走るというイベントも行っています。インターナショナルな形でやっていきたい」

カルドゥン・ラをめぐる約1000kmを8日間でツーリングするイベント「Moto Himalaya 2022(モト・ヒマラヤ 2022)」を開催
カルドゥン・ラをめぐる約1000kmを8日間でツーリングするイベント「Moto Himalaya 2022(モト・ヒマラヤ 2022)」を開催

 昨年、ロイヤルエンフィールド初のアドベンチャーモデル「HIMALAYAN(ヒマラヤ)」で、インド北部レーを拠点に、ヌブラ渓谷、パンゴン湖、モリリ湖、カール湖、海抜5,359mのカルドゥン・ラをめぐる約1000kmを8日間でツーリングするイベント「Moto Himalaya 2022(モト・ヒマラヤ)」を実施。多くの日本人ライダーも参加しています。

「世界にライダー同士の繋がりを作りたい。我々のバイクに乗っていただいてコミュニティーづくりをする。そのコミュニティーを介して、バイクに乗る楽しみを広めていきたい。私たちがするのはその手助けで、いつか世界中のライダーが友となり、我々の役目がいらなくなったら嬉しいと思っています」

カスタムで愛車をパーソナライズする楽しさを知ってほしい

 モーターサイクルの楽しみを広めるためにロイヤルエンフィールドが提案する最後のフィラーが、現在注力しているカスタムです。

「我々のバイクは非常にカスタムしやすい作りになっています。カスタマイゼイションが、愛車をパーソナライズすることに繋がります。昨年は日本最大級のカスタムイベント『ヨコハマホットロッドカスタムショー』に出展しました」

愛知県名古屋市の「AN-BU Custom Motors」の代表、藤田浩一氏が製作した「ロイヤルエンフィールド改」を展示(写真左から:デザイン部門を率いるエイドリアン・セラーズ氏と藤田浩一氏)
愛知県名古屋市の「AN-BU Custom Motors」の代表、藤田浩一氏が製作した「ロイヤルエンフィールド改」を展示(写真左から:デザイン部門を率いるエイドリアン・セラーズ氏と藤田浩一氏)

 オフィシャルにカスタムプログラム「Custom World(カスタム・ワールド)」を実施し、世界的にカスタムを推進。今回のショーでは初めて日本のビルダーとコラボレーションし、愛知県名古屋市の「AN-BU Custom Motors(アンブ・カスタムモータース)」の代表、藤田浩一氏が製作した「ロイヤルエンフィールド改」を展示しました。

「日本は私たちにとって重要な存在です。日本においてロイヤルエンフィールドがブランドとして確立していると感じています。日本人はロイヤルエンフィールドの歴史やストーリーをよく理解しています」

 それはビジネスにおいても同様で、ロイヤルエンフィールドが日本に受け入れられているという手応えを感じています。

「日本のマーケットが非常に伸びています。新しくブランドを広めようとする時、浸透するまでには時間がかかります。今ようやくその準備が整い、フライトに例えるならテイクオフする時が来ました。実は昨年まではそう言えなかった(笑)。今年になったら自信満々で言えます。グッと上がっていきますよ!」

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