「あれ? エンジンがかからない」そんな時こそ焦らず慌てず確認すべき5カ所
さっきまで調子よく走っていたバイクが、休憩後に乗ろうとしたらエンジンがかからない……。どうにも焦ってしまいますが、そんな時こそ落ち着いて、各部をチェックしましょう。
意外と多い、操作ミスや思い込み
何カ月も動かしていないバイクに乗ろうとしたらエンジンがかからない……そんな場合は様々な原因が考えられます。バイクショップにお願いして点検と整備、修理しなければ復活できず、むしろ簡単にエンジン始動できるケースの方が少ないかもしれません。
それとは別に、普通に走っていたのにパーキングに停めて休息したり、用事を済ませて再び走ろうとしたら、なぜかエンジンがかからない! というケースがあります。
すると「ドコが壊れたんだろう!?」と大いに焦りますが、じつは故障したのではなく、ちょっとした操作ミスや思い込み、もしくは軽微なトラブルの場合も少なくありません。慌てずに、まずは「安全装置」の系統からチェックして行きましょう。
5カ所チェックすればエンジンがかかる……かも
まずはメインキーがONの位置になっているか確認します。少し以前のバイクだと、メインキーに「P(パーキング)」がある車両も多く、キーがPの位置になっているとエンジンはかかりません。なので、いま一度キーの位置を確認したり、とくに雨天後等はメインキーの内部で接触不良を起こしている場合もあるので、何度かONとOFFを繰り返して見ましょう。
次にチェックするのは、ハンドル右側の「キルスイッチ」が「ON(RUN)」になっているか。これは自分で切った(OFFにした)つもりが無くても、駐車中にイタズラされたり、ミラーにかけたヘルメットが当たってOFFになっている可能性もあります。
近年のバイクはキルスイッチがOFFになっているとセルボタンを押してもセルモーターが回らないのが主流ですが、旧いバイクの中にはセルモーターは回るのにエンジンがかからない(点火プラグの火花を飛ばさない)タイプもあるので要注意。気づかずにセルを回し続けると、バッテリーが上がったり点火プラグがガソリンでカブって、本当に始動できなくってしまいます。
ギアが「N(ニュートラル)」に入っているかも確認しましょう。ニュートラル以外だとクラッチレバーを握らないとセルモーターが回りません。
そして車種によっては、ギアがニュートラルに入っていてもクラッチレバーを握らないとセルモーターが回らない場合もあります。クラッチレバーを根元までしっかり握ってクラッチを切りましょう。
また安全措置として、ギアがニュートラルに以外に入っている時にクラッチレバーを握っても、サイドスタンドが上がっていないとセルモーターが回りません。足で跳ね上げたつもりが途中で止まっているコトは意外と多いので(グリス切れやサビ・汚れで動きが悪くなっている)、最後まで上がっているか確認しましょう。
ということで、さっきまで調子よく走っていたのに、いったん停めた後にエンジンがかからない場合は、(1)メインキー、(2)キルスイッチ、(3)ニュートラル、(4)クラッチレバー、(5)サイドスタンドの5カ所を確認しましょう。これでエンジンが始動できる可能性が高まります。
とはいえ、すでにバッテリーが弱っていて充電不良を起こしていたり、タイミング悪く電装系が故障することも無いとは言えません。上記の5カ所をチェックしてもエンジンがかからない場合は、バイクショップに連絡して対処方法を仰ぎましょう。
キーが原因でかからないコトも!
バイクでも最近増えつつある「スマートキー」は、電池を内蔵しています。電池切れを起こすと車体側が検知できないので、車両に近づいてもメインキーがONにならず、当然エンジンは始動できません。また、かなり丈夫とはいえ電子部品なので、落としたり強い衝撃が加わると調子が悪くなることもあります。
近年は盗難抑止として「イモビライザー」を持つバイクが増えています。これはキーに内蔵した電子チップを車体のキーシリンダーが検知して、正しいキー以外ではエンジンが始動できないようになっています。
じつはその機能が影響し、イモビライザー機能を持つキーを何本か束ねた状態で使うと、車体側が誤ったキーの信号を認識してエンジンがかからない場合があります。イモビライザー付きのバイクを複数台所有している人は、ひとつのキーホルダーでキーを束ねるのは止めた方が良いでしょう。
Writer: 伊藤康司
二輪専門誌『ライダースクラブ』に在籍した後(~2005年)、フリーランスの二輪ライターとして活動中。メカニズムに長け、旧車から最新テクノロジー、国内外を問わず広い守備範囲でバイクを探求。機械好きが高じてメンテナンスやカスタム、レストアにいそしみ、イベントレース等のメカニックも担当する。