今や西日本で一番「アツい」旧車の運動会!? 「鉄馬withベータチタニウム」とは?
10年前の初開催から着実にファンを増やし続けている旧車がメインのレース「鉄馬withベータチタニウム」とはどのようなイベントなのでしょうか。自身もサンデーレースに参戦する後藤武さんが解説します。
初開催から10年を迎えた旧車の「運動会」
鉄馬withベータチタニウムは九州のHSR九州(HONDA SAFETY & RIDING PLAZA Kyushu)で開催されている旧車がメインのレースです。10年前の初開催から着実にファンを増やし続けて来ました。今、西の方面で最も熱いと言われているこのレースのことを紹介することにしましょう。
旧車のレースといえば日本で最もメジャーなのが筑波サーキットで開催されているテイスト・オブ・ツクバでしょう。九州から遠征しているライダー達もいました。そんな人達から九州でも旧車のイベントをやりたいという声があがるのは当然のこと。
「皆で集まってイベントをやろうということで九州の色々なショップが集まり、HSR九州に協力してもらってレースを開催することができました」(上野R&D上野さん)
記念すべき第一回は2014年の7月でした。
「テイスト・オブ・ツクバみたいなレースを九州でもやりたいという思いはありましたね。最初はすでに開催されていたアイアンホース・ドリームカップというレースの中に鉄馬のクラスを作ってもらったんですが、鉄馬単独で開催できるようになりました。」(モトジャンキー中尾さん)
鉄馬は毎年開催されて着実に人を増やしていきました。2016年は熊本地震に襲われましたが、コースの補修を行って間に合わせたこともありました。そして2020年からは主催がHSR九州から鉄馬実行委員会へと移管され、レースの名称が鉄馬 withベータチタニウムとなったのです。
その後、シングル、ツイン、3気筒も出場したいという声があがり、2021年5月には鉄馬フェスティバルwithベータチタニウムも開催しています。
初期の参加台数は70台ほどでしたが、今回撮影でお邪魔した2024年9月の大会では約140台がエントリーするまでになりました。
大事なのはお祭りであること
鉄馬withベータチタニウムの特徴は、アットホームで楽しげな雰囲気とお祭り感にあります。これは主催する実行委員回の人達が最も大事にしている点です。
「関東から遠征してきたライダーに聞くとアットホームな雰囲気が良いと行ってもらえることが多いです。家族ぐるみで手伝いに来ている人達も多いし、ライダーも勝つことよりも出場することを楽しみにしています」(中尾さん モトジャンキー)
「鉄馬でレースにデビューするというライダーは予想していたよりも多いですね。50代からレースを始める人もいるんですよ。ウチのお客さん達の間では『50になったら鉄馬。60になったらドラッグレース』なんて言っているくらいです」(上野R&D上野さん)
参加者にとってはレースというよりも、バイクで遊ぶ壮大なお祭りという感じなのかもしれません。
今回撮影でおじゃましたPOP近藤も「草レース感が強くて、とても楽しめるイベントだった」と言っていました。
ではこれから鉄馬 withベータチタニウムはどのようになっていくのでしょう?
「今はとても良い雰囲気になっています。だからこの状態で長く続けていきたいというのが一番ですね。これからは観戦しに来る方々が滞在しやすいように休憩場所なども考えてイベントを充実させていきたいと思っています。」(上野R&D 上野さん)
「買い物やマッサージ、地元グルメなどマルシェコーナーの充実は考えています。バイクに興味がない奥様や彼女さんと来ていただいても楽しんでもらえますから。いずれは子どもが楽しめるキッズバイクなんかもやってみたいですね」(モトジャンキー 中尾さん)
アマチュアレースの理想的な姿が鉄馬withベータチタニウムにはあるのかもしれません。
Writer: 後藤武
クラブマン誌や航空雑誌の編集長を経て現在はバイク、食、飛行機などのライターと
して活動中。飛行機とヘリの免許を所持しエアレースのTV解説も担当していたことも。2スト、旧車、V8のアメ車など多数所有。