【大阪府】いちばんキケンな乗りものを争う!? ライダーの意識向上だけでは“間に合わない”死亡事故状況

大阪府警の過去10年間の統計で、バイク乗車中の事故が歩行者よりも多い年が3回あることがわかりました。バイク乗車中の事故は自損事故も多く含まれ、いつの間にか歩行者よりも高止まりし、大阪府内で最も“キケン”な乗りもののポジションを占めつつあります。

自転車乗車中を下回ったのは1年だけ

 交通事故におけるバイク乗車中の死亡事故状況が深刻です。他の状態別死者数の減少傾向と比較しても鈍化しているため、交通統計で「最もキケンな乗りもの」という見方が定着しつつあります。

 大阪府警察本部交通総務課が2016年~2025年の10年間にさかのぼって交通死亡事故を分析した結果、深刻な事実が分かりました。

 発生時の状態を「四輪車」「バイク」「自転車」の運転中と「歩行者」「その他」に分けると、「バイク」乗車中の事故は2018年、2021年、2025年の3年間で、どの状態別よりも多い割合を占めていました。

 例年のバイク構成率は約30%です。これを超える年で「最もキケンな乗りもの」となっています。「その他」は、道路以外の駐車場などで起きた死亡事故の割合です。

・2018年=バイク(36.1%)、歩行者(32.0%)、自転車(19.0%)、四輪車(12.9%)、その他(なし)

・2021年=バイク(32.1%)、歩行者(30.7%)、自転車(19.3%)、四輪車(17.1%)、その他(0.7%)

・2025年=バイク(35.0%)、歩行者(34.2%)、自転車(20.8%)、四輪車(10.0%)、その他(なし)

 全国的には、歩行者が遭遇する死亡事故が最多です。また、歩行者に次いで「自転車」が多い傾向があります。

 しかし大阪府内の場合、自転車乗車中の事故は例年「バイク」より少なく、自転車がバイクを上回ったのは2024年の1年だけです。

 運転免許教育を受けていることは本来、事故抑止に役立つはずですが、その常識が覆されています。数々の安全運転施策がとられているバイクで、この結果は深刻です。

メーカーも含めた四輪ドライバーの意識改革が必要

 振り返ると、四輪車ではシートベルト義務化やエアバッグ装備、運転支援システムを搭載したサポカーなどの普及で、ドライバーをはじめとする乗員の死亡が激減しました。

 運転支援システムの向上は、自転車や歩行者の被害も減少させました。交通弱者の事故は、四輪車による衝突がほとんどで、対人や対自転車の対策が進むと、その分野の被害は減少傾向をたどります。

 では、なぜバイク事故では死亡事故の抑制が鈍いのか。過去3年間(2023年~2025年)のバイク死亡事故を大阪府警が事故発生状態を見極める類型別で分析しています。

事故現場検証イメージ(撮影=中島みなみ)
事故現場検証イメージ(撮影=中島みなみ)

 バイク死亡事故は、自損事故と他車と衝突する車両相互事故の2つの原因があります。「車両単独」の平均は17%です(※2023年は42%)。この大きな事故をなくすために、安全運転講習会などを通じた、ライダーの意識向上で、単独事故の抑制を目指しています。

 車両相互の事故は、「追突」、「右折時」、「出合頭」の3類型だけで60%以上を占めます。前述の出合頭を含めると80%です。

 これらの事故はいずれも重傷・死亡事故につながりやすいので、例えば、交差点通過時にはバイク(直進車)が減速し、右折車に注意を向けることが対策として、ライダーに呼びかけられています。しかし、これらの抑制は、ライダー単独では簡単にはいきません。

 交通事故分析センターの論文『二輪車と追突』(浜田信治主任研究員)によると、対二輪車「追突」事故の約80%は、停止中や走行中のバイクに四輪車が追突する、という結果が示されています。

 また警察庁の分析では、対バイクの「右折時」の死亡事故(2023~2025年)の85.5%は、直進するバイクの進路に、右折しようとする四輪車が入ることで、事故が起きていることが分かっています。

 つまり、バイク死亡事故の抑制は、同時に四輪車ドライバーの意識改革がなければ、抑制することはできないのです。

 例えば、「追突」や「右折時」の事故では、四輪車ドライバーから見るとバイクは車体が小さくドライバーがスピードを誤認しやすいと説明されることが多いです。

 もしこれが主要な見落とし原因とされるのであれば、ライダーの右直事故による死亡は、昭和の時代から変わらない課題と言えますが、四輪車ドライバーへの働きかけは進んでいません。

 また、四輪車メーカーも運転者の本質的な課題を認識し、バイク対策を急ぐ必要があります。対歩行者、対自転車に限定した運転支援システムはサポカーとしても評価させる水準にありますが、対バイク「追突」「右直」時のシステム回避は発展途上です。

 二輪車メーカーとも連携して、技術的な対策を進める段階にきているのではないでしょうか。

 もちろん、ドライバーからはバイクの四輪車の死角を突くような無理な割り込みなど、ライダーの運転に問題があることも指摘されています。

 ライダー自らが重大事故を回避するため、プロテクターの装着や確実な安全確認は、他の車両の不注意を補う意味でも必要です。

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Writer: 中島みなみ

1963年生まれ。愛知県出身。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者を経て独立。行政からみた規制や交通問題を中心に執筆。著書に『実録 衝撃DVD!交通事故の瞬間―生死をわける“一瞬”』など。

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