船外機の占有率は日本メーカーが圧倒!! ヤマハが全体の40%を占める理由とは?~木下隆之の、またがっちゃいましたVol.4~
日本のバイクメーカー4社は、水の上でも強かった!船外機は3メーカー(ヤマハ・スズキ・ホンダ)で占有率61%!! カワサキもジェットスキーで世界を席巻しています。
デザイン性も高いヤマハの船外機は、世界で大人気
たびたびヤマハから届く「デザインインフォメーション」なるリリースを読みふけっていたら、知らぬ間に惹き込まれてしまっていた。ヤマハマリンが開発した船外機のデザインに関する考察が深く熱く語られており、僕の向学心を刺激したのである。
そう、僕は案外、勉強熱心なのだ。
船外機は、ボートに取り付けることで推進力を発揮する。船内に搭載するエンジン式とは違って、エンジンとスクリューが一体となり樹脂製のカバーで覆われている。それゆえにデザイン性が求められる。というのがリリースのメインシナリオだ。
カジキやマグロを狙うトローリングでは、魚が集まる漁場まで、誰よりも早く到達できるのかが重要になる。釣果を競うトーナメントであれば、スタートの合図とともに最も早くその場にたどり着いた船に、糸を流す権利が発生するからだ。
それでいて、エンジントラブルは命すら危険にさらす。だから船外機に求められるのは、強靭な推進力に加えて、高い信頼性である。そしてさらに、大海原に対峙してもへこたれないであろうデザイン性が求められるのだ。
ちなみに、船外機の占有率は日本メーカーが圧倒している。ヤマハが40%、スズキが15%、ホンダが6%とも言われており、3強が圧倒的なシェアを誇る。カワサキはジェットスキーの専売特許である。そう、日本の4大バイクメーカーがマリン業界でもブイブイと幅を利かせているのである。
というのも、考えてみれば当然のこと。バイク用のエンジンは船外機用エンジンとしても汎用性がある。ヤマハの「F425A」はV型8気筒5.5リッターというバイクでは存在しない大排気量ユニットだが、バイク開発で得た内燃機関の技術が用されていることはいうまでもない。その威風堂々たるデザインが目を惹く。ホレボレする。
閑話休題。
ヤマハ製船外機のデザイン的な特徴がもうひとつある。それは「担く(かつぐ)」である。アフリカや南米や東南アジアでは、船外機は大切な財産の一つなのだ。小さな船に船外機を括り付け、息子と2人で漁に出る。そんな小規模漁師にとっては、船外機は生活費を生む大切な道具なのだ。
だがら、盗難を嫌う。海から上がれば、船外機を取り外して自宅に保管。だから、担ぎやすいデザインであり軽量であることがことさら重要だというのだ。
担ぎやすいことが注目されるなんて、バイクの世界では考えられないよね。でも、ヤマハの船外機は、そこまで考えてデザインされているのだ。感心しきりです。
【了】
Writer: 木下隆之
1960年5月5日生まれ。明治学院大学卒業後、出版社編集部勤務し独立。プロレーシングドライバーとして全日本選手権レースで優勝するなど国内外のトップカテゴリーで活躍。スーパー耐久レースでは5度のチャンピオン獲得。最多勝記録更新中。ニュルブルクリンク24時間レースでも優勝。自動車評論家としても活動。日本カーオブザイヤー選考委員。日本ボートオブザイヤー選考委員。